Allergic fungal sinusitis (AFS)は真菌に対するアレルギー炎症がその病態と
考えられ,再発率が非常に高い難治性の副鼻腔真菌症と言われている.欧米では
AFSの有病率は,手術に至った慢性副鼻腔炎症例の4~7%程度であると報告
されているが,現在までのところ日本においては我々の報告した症例も含め5例
報告されているのみであり,現時点では非常にまれな疾患であると言える.今回
我々は日本人におけるAFSの有病率とその病態,診断法について調査研究すべ
く,手術適応の慢性副鼻腔炎症例を対象に研究を行った.手術に至った慢性副鼻
腔炎症例102例中,Bentらの診断基準の下,AFSと診断された症例は4例(3.9%)
であり,欧米の報告よりもやや少ない傾向にあった.AFS症例4例の診断•治
療•経過について報告する.またこの4例の内承諾の得られた2例に対し,それ
ぞれの検出真菌に対する抗原誘発テストを施行し,即時相は陽性であった.IgE
抗体を介するI型アレルギーが今回のAFSの病態の一部に関与している可能性
が考えられた.
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