鼻腔拡張テープ, Breathe Right®は, 使い捨てで, 外鼻に貼り, 侵襲なく鼻前庭の外側壁を引き上げることによって, 鼻弁部の断面積を増加させ, 鼻腔の通気を増加させるものであり, 鼾, 鼻閉の改善に効果のあるものとして, 広く認識されている. しかし, 外鼻の形態は, 人種によって差があり, 鼻弁部の形態も日本人と白人とでは差を認める. 白人では, 鼻弁角は, 10度から15度, 日本人で約30度と, 白人と比較すると, 日本人では角度が大きいことが判明している. このように. 鼻弁の角度が, 比較的大きい日本人においても, Breathe Right®は, 白人と同様に有効であるのか. 特に, 鼻閉に関してはどうか. 日本人におけるBreathe Right®の効果を検討した結果を報告した. 目的は, 1) Breathe Right®による鼻腔開存効果を, コントロールであるnonBar-Breathe Right®と比較検討する. 2) Breathe Right®による鼻腔開存効果に対するnasal cycleの影響を調べることであった. 対象は, 18歳以上の健常者35例, 男性20例, 女性15例であった. 測定は, 音響鼻腔計測法によって行った. 結果は, (1) Breathe Right®は, C-Notchの断面積, および鼻腔入口部より1-3cmの容積において, コントロールと比較して有意に鼻腔を拡張する効果を認めた. (2) C-Notchにおいて, Breathe Right®群では, 経時的に断面積の変化率が減少する傾向が見られたが, コントロール群では認めなかった. 外鼻皮膚と鼻腔粘膜との間のコンプライアンスの変化が影響している可能性が考えられた. (3) nasal cycleによる容積変化率とBreathe Right®による容積変化率とは, 有意な相関性を認めなかった. すなわち, Breathe Right®の鼻腔開存効果は, nasal cycleによって影響されなかった.
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