日本耳鼻咽喉科学会会報
Online ISSN : 1883-0854
Print ISSN : 0030-6622
ISSN-L : 0030-6622
111 巻 , 12 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
総説
  • 泉川 雅彦, 河本 光平, 八木 正夫, Raphael Yehoash, 山下 敏夫, 友田 幸一
    2008 年 111 巻 12 号 p. 727-733
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    高度感音難聴は主に蝸牛コルチ器にある感覚細胞 (外有毛細胞と内有毛細胞) の消失による内耳障害によって起こるとされている. いったん失われた有毛細胞は自然に再生することができないため, 有毛細胞消失による高度感音難聴は不可逆性であり半永久的に存続する. このような疾患は根治的治療が望めず, 患者のQOLを著しく損なうことになる. そこで損失した聴力を回復させるには, 聴覚機能を持つ有毛細胞を再生させることが必要になると考えられる. 有毛細胞を再生させる方法として, ウイルスベクターによる遺伝子導入法を用いて, 内耳障害後の蝸牛に残存する支持細胞の形態を有毛細胞へと形質変換させることが考えられる. 以前よりMath1として知られ, A basic helix-loop-helix転写因子の一つであるAtoh1 (a mouse homologue of the Drosophila gene atonal 1) は胎生期の原始細胞から有毛細胞へ分化させるのに必要な遺伝子である. われわれは内耳障害後のモルモットの蝸牛内にアデノウイルスベクターを用いてAtoh1遺伝子を導入し, 有毛細胞の再生および聴覚閾値回復の可能性について検討した. その結果, 内耳障害後の蝸牛に有毛細胞の再生が観察され, さらに聴覚機能が回復することが証明された. 本研究はAtoh1遺伝子導入による難治性内耳疾患治療の可能性を示唆している.
原著
  • 喜井 正士, 猪原 秀典, 赤埴 詩朗, 山本 佳史, 富山 要一郎, 竹中 幸則, 久保 武
    2008 年 111 巻 12 号 p. 734-738
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    1999年から2007年までの8年間に大阪大学医学部附属病院耳鼻咽喉科で初回治療を行った原発不明頸部転移癌の15例についての治療成績を検討した. 全症例の初診時年齢は中央値60歳 (43~77歳), 男女比は4:1, 病理組織型は扁平上皮癌が11例, 未分化癌が3例, 腺癌が1例であった. 臨床N分類別ではN2b症例が8例と最も多く, 以下N2a症例4例, N2c症例2例, N1症例1例であったが, N3症例は認めなかった. なお, 全例で上頸部 (レベルII) に転移癌を認めた. 治療方針は原則として患側の頸部郭清術と術後放射線全頸部照射とし9例に施行した. また, 治療開始時には治癒切除不能と判定したが, ドセタキセルとシスプラチンを用いた化学放射線同時併用療法の施行後に治癒切除可能となり頸部郭清術を施行し得た症例を2例認めた. 初回治療開始後に原発巣の判明したものは3例で, いずれも患側の口蓋扁桃が原発巣であった. 全症例の治療開始後の平均観察期間は3年1カ月であり, Kaplan-Meier法による5年累積粗生存率は88.9%であった. 治療後の経過観察中, 初回治療に放射線療法のみを施行した1例が原病死 (リンパ節死) したが, その他の14例は非担癌生存しており, またすべての症例において頸部リンパ節再発は認めなかった. これらの結果より, 原発不明頸部転移癌に対しては手術療法 (患側の頸部郭清術) と放射線療法の併用が有効であることが示唆された.
  • 佐藤 公則
    2008 年 111 巻 12 号 p. 739-745
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    破折歯による歯性上顎洞炎6例を検討した.
    1) 破折歯による歯性上顎洞炎の病態を考える上で破折歯の分類 (歯冠, 歯冠と歯根, 歯根の破折) は有用であった. 2) 歯髄腔が開放された破折歯による歯性上顎洞炎と歯髄腔が開放されていない破折歯による歯性上顎洞炎の病態は異なっていた. 3) 歯髄が開放されていない破折歯では, 外傷による外力により根尖孔部で歯髄が損傷され, 根尖性歯周炎を来し, この根尖病巣が原因で歯性上顎洞炎を来すと推測した. 4) 歯髄が開放された破折歯では, 開放された歯髄が感染することにより根尖性歯周炎を来し, この根尖病巣が原因で歯性上顎洞炎を来すと推測した. 5) 歯の外傷の一つである破折歯による歯性上顎洞炎の可能性も念頭に置いて, 上顎洞炎の診療にあたる必要があると考えられた.
専門講座
feedback
Top