先端巨大症は, 成長ホルモン (growth hormone: 以下GH) の過剰分泌によって起こり, 顔貎変化や手足肥大の他, 糖尿病, 高血圧, 睡眠呼吸障害 (sleep disorder breathing: 以下SDB) など, 臨床症状は多岐にわたる. SDBが重篤な症状となるのは周知されているが報告は少なく, 治療評価方法において明確なコンセンサスが提示されていないのが現状である. 今回, 先端巨大症症例に対する外科治療を施行し, その前後で血液学的検査および終夜ポリソムノグラフィ (polysomnography: 以下PSG) による効果判定を行ったので報告する.
対象は当院で先端巨大症と診断され, SDBを合併し, 経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出手術 (transsphenoidal surgery: 以下TSS) を施行した6例である. TSS前後においてPSGを解析した. 血液検査にてGH, インスリン様成長因子 (insulin-like growth factor-1: 以下IGF-1) 値の変化をTSS前後で確認した. 4例にMRIを撮影し, TSS前後での上気道断面積を計測した.
PSGでは統計学的有意な差は認められなかったが, 平均値は改善しており, より重症例が改善している傾向にあった. 血液学的検査ではGHおよびIGF-1において共に統計学的有意差を以て改善を認めた. MRIでは統計学的有意な差は認められなかったが, 4例中3例において上気道断面積の増加を認めた. さらにTSSによりSDBの改善を認めた1症例を提示する.
以上より, SDBを伴う先端巨大症の6症例において, TSSで内分泌学的な改善を血液検査で確認できた. しかし, SDBにおいてPSGの指標では有意な改善を認めなかった.
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