上鼓室型真珠腫75例の術前高分解能CTから中耳換気通路の含気状態を調べ, 術中の真珠腫進展所見と比較した.
1) 上鼓室に真珠腫が限局する場合, ほとんどの例で乳突洞まで含気が保たれていた.
2) 乳突洞口まで進展した例では, 乳突洞の空気陰影率が減少した.
3) 真珠腫が乳突洞や後部鼓室に観察された例で, 鼓室峡部の軟部組織陰影率が増加した.
4) 後部鼓室へ入りこんでいた例では前より, 鼓室峡後部の軟部陰影充満率が高かった.
5) 高度進展真珠腫で空気陰影が最も保たれる率が高いのは, 前, 中鼓室であった.
換気通路の軟部組織陰影は真珠腫発生の原因ではなく, 進展の結果現れる所見である.
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