日本耳鼻咽喉科学会会報
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95 巻, 7 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 聴性脳幹反応への影響
    後藤 裕一, 富山 俊一
    1992 年 95 巻 7 号 p. 963-968,1139
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    内リンパ〓局所免疫反応が聴覚系にどのような影響を及ぼすかを明らかにするためにモルモットで聴性脳幹反応 (ABR) を指標とした検討を行った. KLH抗原全身感作後に, KLH抗原を内リンパ嚢に注入した群では, 注入前と比較して注入後3日目と17日目にABR閾値の有意な上昇が認められた. これに対し, 全身感作後にPBSを内リンパ嚢に注入した群や全身感作をせずに直接内リンパ〓のKLH抗原を注入した群ではABR閾値に変化はみられなかった. また, N1-N3波間潜時は, 各群とも, どの時期にも有意な変化がなかった. 以上より, 可逆的な聴覚障害は, 内リンパ〓局所免疫反応による蝸牛障害に起因すると推測された.
  • 津田 哲也, 川本 浩子, 田中 誠史, 西田 功, 渡部 浩, 多田 渉, 平川 勝洋, 鈴木 衛, 原田 康夫
    1992 年 95 巻 7 号 p. 969-973,1139
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    過去15年間に, 4例の先天性真珠腫と思われる症例を経験した. 患者の年齢は4歳から17歳であった. すべての症例で真珠腫は中耳より発生していた. 1例は真珠腫が乳突洞まで進展していた. コルメラIII型の鼓室形成術が施行された. 術後聴力改善度は20から30dB程度であった. まれではあるか, 鼓膜所見正常の伝音性難聴の治療にあっては, 耳鼻科医は先天性真珠腫に留意しなければならない
  • 男女差及び年齢変化について
    金子 功
    1992 年 95 巻 7 号 p. 974-987,1139
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    男女による違いや加齢により嚥下時の舌骨運動がどのように変化しているかを解析し, 嚥下動態を定量的に評価することを今回の研究目的とした. 対象は咽喉頭異常感症の男性44例, 女性27例とした. 頸部側面からX線映画撮影を行い, 舌骨体下端の測定点の運動をモーションアナライザーで分析した.
    〈結果〉
    1. 舌骨の安静時位置は男女差があり, 女性が男性よりも高位にあった.
    2. 舌骨の安静時位置は, 男性女性とも加齢により下降が認められた.
    3. 嚥下時間, 挙上距離は加齢により延長し, これは挙上第一相時間, 挙上第一相距離の延長によると考えられた.
  • 矢野 健二, 秦 維郎
    1992 年 95 巻 7 号 p. 988-995,1139
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    片側埋没耳症例の患側と健側耳介の計測結果を分析検討し, さらに自験例と本邦報告例の統計学的観察を行った. その結果, 埋没耳は下向きと内向きに働く力のべクトルの総和により生じる耳介上1/3の変形であると定義され, 内向きのベクトルよりも下向きのベクトルの方が強いことが判明した. 片側埋没耳症例の健側耳介に耳輪癒着症様変形が3例に認められ, 軟骨の変形により二次的に耳介上部が埋没するという説が有力と考えられた. 本邦集計例における男女比, 右左両側比はそれぞれ2: 1, 5: 2: 3であった. 家族内発生が, 自験例で母親に2例, 従兄弟と叔父に1例ずつ認められ, 遺伝的関与の強い疾患であることが示唆された.
  • 山越 隆行
    1992 年 95 巻 7 号 p. 996-1004,1141
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ハウスダスト・ダニで減感作療法施行中の鼻アレルギー患者血清より, 単クローン抗体を用いて, ダニ抗体価の高いIgEおよびIgG4を精製した. IgE受身感作後ダニによりヒスタミンを遊離する末梢血白血球に, IgG4の受身感作を加えることによりヒスタミン遊離は抑制された. 一方, IgG4単独で受身感作を行い, ダニ抗原または抗IgG4抗体で刺激したが, ヒスタミン遊離はほとんど認められなかった. また鼻アレルギー患者末梢血白血球を抗IgG4抗体で刺激したが, 20例中3例で10%程度のヒスタミンを遊離したのみであった. I型アレルギー標的細胞上においてIgG4抗体は遮断抗体として働く可能性が高いことが示唆された.
  • 船井 洋光, 田島 文司, 田久保 正道, 太田 康, 小川 恵子, 飯沼 壽孝
    1992 年 95 巻 7 号 p. 1005-1011,1141
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    上鼓室型真珠腫75例の術前高分解能CTから中耳換気通路の含気状態を調べ, 術中の真珠腫進展所見と比較した.
    1) 上鼓室に真珠腫が限局する場合, ほとんどの例で乳突洞まで含気が保たれていた.
    2) 乳突洞口まで進展した例では, 乳突洞の空気陰影率が減少した.
    3) 真珠腫が乳突洞や後部鼓室に観察された例で, 鼓室峡部の軟部組織陰影率が増加した.
    4) 後部鼓室へ入りこんでいた例では前より, 鼓室峡後部の軟部陰影充満率が高かった.
    5) 高度進展真珠腫で空気陰影が最も保たれる率が高いのは, 前, 中鼓室であった.
    換気通路の軟部組織陰影は真珠腫発生の原因ではなく, 進展の結果現れる所見である.
  • 関 はるみ, 大塚 博邦, RUBY PAWANKAR
    1992 年 95 巻 7 号 p. 1012-1021,1141
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼻茸組織分離マスト細胞のほとんどはホルマリン感受性で, calcium ionophore A23187によってヒスタミンを遊離したが, compound 48/80, SPとは反応せずMMCと推定された. アレルギー性鼻茸は抗IgEでヒスタミンを遊離した. しかし, もっとも多い非アレルギー鼻茸のマスト細胞は, 抗IgEと反応させてもヒスタミンを遊離せず免疫組織学的にも細胞表面にIgEを証明できなかった. これは, Fcεレセプターの数が少ないか, レセプターにIgEが結合しにくいことが考えられた. また, 鼻茸組織マスト細胞はアナフィラトキシンC5aと反応してヒスタミンを遊離しなかった.
  • 森 敏裕
    1992 年 95 巻 7 号 p. 1022-1034,1141
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    小型体内トランスデューサーによる嚥下圧測定と表面筋電図を同時測定する新しい方法を開発し, 正常者30名および嚥下困難症例130例における嚥下庄の圧値と時間因子の解析から, 3つの嚥下動態の評価法を考案した. 嚥下圧曲線を5型に分類することにより嚥下圧の異常亢進・低下の診断を容易にした. 嚥下圧伝搬曲線は嚥下関与筋の協調運動を反映するもので, 嚥下時の筋活動プログラム異常症例の診断を容易にした. 食道入口部圧波形の分析では食堂入口部の内, 咽頭端の平圧化 (弛緩) 時間が最も短いことを明らかにし, 平圧化時期異常症例と平圧化時間異常短縮症例の存在を初めて客観的に示した. 以上3評価法を総合すれば嚥下第II期の動態とその障害を客観的に把握できることを示した.
  • 岡本 牧人, 設楽 哲也, 佐野 肇, 古沢 慎一, 平山 方俊
    1992 年 95 巻 7 号 p. 1035-1041,1143
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    純音聴力の加齢変化の様式をみるために, 人間ドック受診者の同一人の8KHz純音聴力の5年間の変化を検討した.
    聴力分布は加齢とともに2峰性の分布を形成する過程を示した.
    高齢になるにつれて5年間の聴力差は大きくなった. 5年間の差の分布は50歳までは0dBがもっとも多く, 55歳以降は5dBの悪化がもっとも多かった. このことから徐々に悪化するものがいちばん多いということが分かった.
    1年間に20dB以上悪化するものは若年で4%, 高年で8%にみられた. このような大きな変動が聴力分布における第二の山への移行に関与していた.
  • 外乱に対する反応および視覚の影響を中心に
    中川 肇
    1992 年 95 巻 7 号 p. 1042-1052,1143
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    加齢の姿勢制御への影響について重心動揺を周波数分析の手法で検討した. 対象は, 75歳から86歳までの健康高齢者16名とした. 一点固視の開眼時, 閉眼時および下腿三頭筋に振動を負荷した状態, CRT上に自己の重心を表示させた状態での重心動揺を記録し, 周波数分析も加えた. この結果, 開眼時に軌跡長, 面積, 周波数スペクトラムは, 若年者に比べて有意な増加がみられた. 振動を負荷してもパラメータの増加はみられず, 高齢者では固有受容体からの入力の寄与が減弱しているものとみられた. 自己の重心を表示させた状態では若年者では約1-2Hzの周波数帯域でのパワーが増大するが高齢者は1Hz前後のみで姿勢制御を行っているとみられた. 前後方向に強い加齢の影響がみられた.
  • 丹波 さ織
    1992 年 95 巻 7 号 p. 1053-1062,1143
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼓膜写真, 側頭骨連続切片の再構成, 側頭骨標本を用いてヒト鼓室神経叢の形態学的研究を行った. 鼓室神経の主幹は1本の型と分岐型とが約50%ずつ観察された. 耳管枝と頸鼓神経の観察される率はそれぞれ約90%ずつであった. 鼓室神経叢には多数の神経節細胞が分布しており, 微細構造から自律神経系であると考えられた. この神経節細胞はおそらく副交感性で, 鼓室粘膜の血管拡張や腺分泌に関与すると推測された. 鼓室神経と舌咽神経舌枝の神経線維分析の結果, 鼓室神経には舌枝に比べ著明に多数の無髄神経が認められた. この無髄神経は自律神経と一部内臓知覚系を含む知覚神経であると推測された.
  • 1992 年 95 巻 7 号 p. 1063-1071
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 95 巻 7 号 p. 1071-1081
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 95 巻 7 号 p. 1081-1090
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 95 巻 7 号 p. 1090-1098
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 顔面神経と顔面表情筋
    高橋 宏明
    1992 年 95 巻 7 号 p. 1100-1103
    発行日: 1992/07/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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