日本耳鼻咽喉科学会会報
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96 巻, 5 号
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  • 相原 康孝
    1993 年 96 巻 5 号 p. 739-744,871
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    線条刺激とランダムドット刺激で視運動性眼振 (OKN) を解発し, その差異を観察することにより, より反射的なヒトOKNの発現機構について検討した. 60, 80°/secの刺激速度では, とくにランダム刺激で, OKNの立ち上がりにサルやネコ等他の動物でみられるようなbuilt upの現象がみられた. 視運動性後眼振 (OKAN) 第1打目の利得は刺激速度によらず, ランダム刺激の方が大きかった.
    これまでヒトのOKNの解発にはdirect pathwayが強く関与すると考えられてきたが, これらの結果から, ヒトでもOKNの解発にはindirect pathwayも関与しており, ランダム刺激の方がその働きが大きいと考えられた.
  • 外リンパ抗原特異的抗体価と前庭感覚細胞変性との関係
    富山 俊一, 野中 学, 八木 聰明
    1993 年 96 巻 5 号 p. 745-750,871
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    この研究では前庭系感覚細胞の変性が内リンパ嚢免疫反応の強さに依存した現象であることを明らかにした. 球形嚢感覚細胞の変性数は卵形嚢や半規管膨大部の約2倍多く観察された. KLH抗原全身感作モルモット内リンパ嚢にKLH抗原を二次刺激し, 外リンパ抗KLH抗体価を測定した. 変性耳の外リンパ抗体価平均値は非変性耳のそれと比較して有意に上昇した. 血清抗KLH抗体価も変性耳の外リンパ抗体価平均値は非変性耳のそれと比較して有意に上昇した. 変性耳への進展あるいは回復するかは, 全身感作状態と, さらに二次刺激後1週以内外リンパ抗体価に依存していた.
  • 出島 健司
    1993 年 96 巻 5 号 p. 751-760,871
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Whole-mount法及び画像解析法を用いて, ラット鼻中隔粘膜における, 杯細胞数, 粘液量の定量解析を行った. 正常状態では, 前方で多くの杯細胞が認められ, かつ大型であった. これは, 加温・加湿などの鼻粘膜の生理的役割と合目的的と考えられた. また, 杯細胞の分布は鼻腺開口部と相補的で鼻粘膜粘液層の恒常性を保っているものと考案した. アセチルコリン灌流実験では, 負荷直後より杯細胞に含有されるアルシアンブルー陽性粘液の面積が減少し, イソプロテレノールでは, 負荷30分後に減少した. 杯細胞が自律神経系薬剤で分泌亢進を来したことより, 腺細胞と分泌に関して同じ性格を有している可能性があることが示唆された.
  • 沖田 渉, 田中 利善, 飯沼 壽孝, 市村 恵一
    1993 年 96 巻 5 号 p. 761-766,871
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    従来より血管の張力制御の主体とされてきた中膜平滑筋に加え, 最近その重要な関与が確認されている内皮由来の諸因子のうち, 内皮由来血管弛緩因子 (endothelium-derived relaxing factor, EDRF) の存在について, イヌ鼻粘膜内血管を用いて検討した. 内皮細胞の選択的障害因子を投与すると, 投与前にみられた標本の持続的収縮下でのアセチルコリン (ACh) による弛緩反応が消失したが, cyclo-oxygenase inhibitorを前投与してもAChによる弛緩は不変であった. これらの結果はAChの弛緩反応に内皮細胞が必須であることを示し, 既にEDRFの存在が確認されている他臓器の血管と同様に鼻粘膜血管にもEDRFが存在する可能性を示唆する.
  • 堤 康一朗, 星川 智英, 鈴木 毅, 竹山 勇
    1993 年 96 巻 5 号 p. 767-773,873
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    喉頭腫瘍組織におけるヒトパピローマウイルス (HPV) 遺伝子の発現及び初代無血清培養された正常声帯上皮細胞におけるHPV遺伝子制御領域の活性について検討した. 成人喉頭乳頭腫組織では, HPV-11型初期遺伝子群の発現は腫瘍表層で強く, 不均一であった. また, HPV-16型遺伝子が細胞遺伝子に組み込まれた形で存在し, トランスフォーム活性のあるE6/E7領域を発現する喉頭癌症例を見いだした. 喉頭上皮細胞に導入されたHPV-11, 16型の遺伝子制御領域は転写活性を認めた. これらの結果から喉頭上皮細胞及び腫瘍はHPV-11, 16型遺伝子発現の標的細胞であることが明らかとなった.
  • 横島 一彦, 大西 正樹
    1993 年 96 巻 5 号 p. 774-779_1,873
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    鼻Inverted papilloma組織中の肥満細胞, 好酸球の分布について検討した.
    鼻Inverted papilloma組織内には, 対照の慢性副鼻腔炎の上顎洞粘膜, 下鼻甲介粘膜に比して有意に多くの肥満細胞が存在し, 特に基底膜から50μm以内の腫瘍側に多く存在した. 基底膜上では粘膜型肥満細胞, 基底膜下では結合織型肥満細胞の増加が主であった.
    好酸球も対照に比して増加を認めたが, 肥満細胞のような偏在を認めなかった.
    以上の結果は, 鼻粘膜上皮細胞の増殖が粘膜型肥満細胞の分化, 集積に重要な役割を果たしている可能性を示唆した.
  • 小口 直彦, 平野 敏一, 浅野 伍朗
    1993 年 96 巻 5 号 p. 780-786_4,873
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    多形腺腫を特徴づけている組織多様性の中での腫瘍細胞群とそれに介在する細胞外基質の関連性を検討する目的で免疫組織化学的検索を行った. その結果, 細胞内骨格蛋白としてケラチン (AE1) は内層細胞や扁平上皮様細胞に, α-平滑筋アクチン (1A4) は紡錘形細胞や平滑筋様細胞に陽性でそれぞれ導管上皮細胞・筋上皮細胞への分化を示し, ビメンチン (V9) は主として立方状細胞に陽性で脱分化状態を示唆する所見と考えられた. また, 細胞外基質成分としてIV型コラーゲン・ラミニン・フィプロネクチンはV9, 1A4が陽性の細胞周囲に局在しこれらの細胞は細胞外側に存在する基底膜成分を含む細胞外基質の産生に関与している可能性が考えられた.
  • 家根 旦有, 田中 治, 宮原 裕, 松永 喬, 北堀 吉映, 日浅 義雄
    1993 年 96 巻 5 号 p. 787-790_1,873
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ヒト甲状腺腫瘍におけるepidermal growth factor receptor (EGFR) およびエストロゲン・レセプター (ER) の発現を, 凍結標本を用いて免疫組織学的に検索した. 対象は, 癌19例, 腺腫12例, 腺腫様甲状腺腫7例, 正常甲状腺10例の計48例である. 結果はEGFRの染色強度は癌が最も強く, 次いで腺腫, 腺腫様甲状腺腫, 正常甲状腺で, 悪性度に伴い染色強度は増強する傾向がみられた. また, ERは腺腫様甲状腺腫および正常甲状腺では認められず, 腫瘍化に伴い発現する可能性が示唆された.
    ERとEGFRには明らかな相関はみられなかったが, ER強陽性の1症例は, EGFRの染色強度は弱く, EGFRとERの発現は相反することが示唆された.
  • 千葉 恭久, 古屋 信彦
    1993 年 96 巻 5 号 p. 791-795,875
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    視運動性眼振パターン (OKP) の左右差が評価できる二変量正常値 (BVN) の設定を行った. 設定に用いたデータは, OKPを解析して得られた数値データであり, 正常者とみなした1482名の臨床データから抽出した. BVNの設定を行った変数は, 総眼振数, 総緩徐相振幅, 総緩徐相速度, および平均急速相速度である. 正常値は, 平均値からのマハラノビスの距離により95%の信頼眼界で設定した. また, その距離の軌跡を二次元平面上に楕円として描き, これを正常範囲とした. 正常値を設定することで, OKPの左右差を定量的にまた定性的にも評価することが可能となった.
  • 基礎実験と臨床応用
    大原 奎昊
    1993 年 96 巻 5 号 p. 796-809,875
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    超音波法を用いて頸動脈壁の粘弾性を非観血的に評価することを目的とし, ヒト生体の加齢による血管壁の変化と高血圧者の治療例, 未治療例における壁の変化を観察した. 壁の微細なインパルス励振を検出するため当教室で開発した超音波M-mode変法を用いた. 持続時間0.5msの単発短形波を加振器で血管壁にあて, 壁のある一点のエコーの輝度の高低を電位に変換 (M-mode変法) し減衰振動曲線を得, その振動曲線からYerzley Resilience, 共振周波数, 共振の鋭さQを測定した結果, 1) 加齢とともに上昇傾向がみられた. 2) 高血圧者の未治療例では同一年代の正常者と比較して高値を示した. 3) 高血圧者の治療例では未治療例に比較して減少傾向がみられた.
  • 扁桃γδT細胞の組織内分布と機能
    川口 隆明
    1993 年 96 巻 5 号 p. 810-817_2,875
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ヒトロ蓋扁桃組織における, γδ型T細胞抗原レセプター陽性細胞の免疫組織学的検索および機能的検討を行った.
    陰窩上皮, 扁桃自由上皮, 濾胞間隙の順にγδT細胞が多く見られ, 各々の部位で加齢とともに減少する傾向が見られた. 陰窩上皮は自由上皮, 濾胞間隙に比較して各疾患ともにγδT細胞が多く見られ, 陰窩上皮内におけるγδT細胞の割合は習慣性扁桃炎症例では扁桃肥大症例よりも高い傾向にあり, 病巣感染症との比較では有意に高かった. また扁桃γδT細胞は, SEAおよびSEBによってIL-2産生の増大を示した. 以上の成績は, 扁桃γδT細胞のmucosal immnityへの関与を示唆するものであると考える.
  • 伊藤 浩一
    1993 年 96 巻 5 号 p. 818-826,875
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    Non-Allergic Rhinitis with Eosinophilia Syndrome (NARES) は, 通年性鼻アレルギー症状があり鼻汁中好酸球陽性であるが, アレルゲンの同定できない慢性鼻炎で, 病因はI型アレルギーではないといわれている. 著者は, 鼻アレルギーを含む通年性慢性鼻炎患者 (101人) に対し, アストグラフによるメサコリン鼻誘発試験とアレルギー検査を施行し, NARESの診断を試み, 気道過敏性に主眼をおきNARESと他の慢性鼻炎との比較検討を行った.
    NARESではメサコリンに対する過敏性は上, 下気道ともに認められなかった.
  • 矢後 忠之, 佃 守, 持松 いづみ, 三上 康和, 作本 美樹
    1993 年 96 巻 5 号 p. 827-832_2,877
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
    ICAM-1は細胞間接着分子の一つであり, 種々の細胞膜上に発現している. 特に最近では腫瘍細胞上にも発現していることが確認され, 腫瘍免疫や腫瘍細胞の遠隔移転にも重要な働きをしていると考えられている.
    今回, われわれは頭頸部扁平上皮癌培養細胞株においてICAM-1の発現を免疫組織化学的に観察し, 細胞株の分化度および部位との相関関係を調べた. またIFN-γによる発現の変化も調べた.
    (-) は4, (±) は3, (+) は1, (++) は7種類であった. また部位および分化度とは相関関係は認められなかった. さらにIFN-γ処理によりICAM-1の発現は, 未処理時の発現の差にかかわらず (++) に増強した.
  • 1993 年 96 巻 5 号 p. 833-843
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 96 巻 5 号 p. 843-853
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • コレステリン肉芽腫
    森満 保
    1993 年 96 巻 5 号 p. 854-857
    発行日: 1993/05/20
    公開日: 2010/10/22
    ジャーナル フリー
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