滲出性中耳炎に対するエリスロマイシン (EM) の作用機序を解明するためにアラキドン酸代謝産物の経時的変化と, 好中球の接着分子, LセレクチンやMac-1の発現量の変化に対するEMの影響をラット滲出性中耳炎を用いて検討した.
その結果, EMは, 末梢血好中球の接着分子L-セレクチンをdownregulationさせ, Mac-1のIL8刺激によるup-regulationを抑制した. またEMは, 滲出性中耳炎局所への白血球の浸潤, タンパク滲出ならびに滲出液中のLTB
4, C
4, PGE
2量をLPS刺激後5日目以降に抑制した.
以上のことから, EMは, 白血球の接着分子の発現量の変化, 中耳局所への白血球の滲出やケミカルメディエーターの産生に影響することにより, 滲出性中耳炎を和らげる可能性が示唆された.
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