慢性期めまい患者の転倒リスクに関するわれわれの研究において, 頭部回転を伴う歩行での評価では75歳以上の患者の70.8%が転倒リスクありと判定された. 比較的容易な歩行での評価でも25.0%が転倒リスクありと判定された. 心理面からの転倒リスク評価と歩行による転倒リスク評価との間で結果に乖離が見られ, 高齢のめまい患者は身体能力を過大評価している可能性が示唆された. 慢性期めまい患者のサルコペニア併存率は地域居住者の約2倍, 前庭障害患者のフレイルの併存率は地域居住者の約2.5倍であった. めまい・前庭障害患者では前庭機能低下によるバランス・歩行の不安定さに加えて, 歩行速度の低下, めまいによる日常生活のつらさ, 活動量の低下, 不安・抑うつによるフレイルの悪循環が相まって, 転倒リスクが高まり骨折や要介護に移行し健康寿命が脅かされることが明らかとなった.
前庭リハビリテーションガイドライン2024年版では, 前庭リハビリテーションは一側末梢前庭障害患者による慢性期のめまい症状, バランスや歩行障害の改善に効果があり, 行うことを強く推奨している. 前庭障害の早期発見と前庭リハビリテーションの早期介入が前庭障害患者の健康寿命延伸の鍵となる. 課題として, 一般市民への理解促進, 診療体制の充実, 保険制度の整備を進める必要がある.
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