新 cephalosporin 系抗生物質 Cefotiam に関して, その基礎的ならびに臨床的検討を行なった結果, つぎのとおりの結論がえられた.
1) 試験管内抗菌力: Cefotiam は, 各標準菌株のグラム陽性, 陰性菌に対して強い抗菌力を示し, broad spectrum であった. 耳漏分離の coagulase 陽性ブドウ球菌80株に対する抗菌力は, ≦0.2~3.13μg/mlにMICが分布し, 0.39μg/mlはMICの peak が認められた. 病巣分離の Escherichia coil, Proteus mirabilis および Klebsiella pneumoniae などは, ≦0.2~3.13μg/mlに感受性分布がみられ, 他比較 cephalosporin 系薬剤より抗菌力が著しくすぐれていたが, Pseudomonas aeruginasa には抗菌力を示さなかった.
2) 血中濃度: Cefotiam の血中濃度は, 薄層カップ法で250mg筋注30分後に9.7μg/m1と最高値に達し, 1時間後に8.9μg/mlと消失し始め, 筋注4時間後に1.4μg/mlと著しく減少し, 6時間後には0.1μg/mlの活性値を測定した.
3) 臓器組織内濃度: Cefotiam の臓器組織内濃度は, 250mg筋注1時間後にヒトロ蓋扁桃 (4例) に1.2μg/g (血中濃度8.9μg/ml), 上顎洞粘膜 (4例) に0.8μg/g (血中濃度8.7μg/ml) の組織内活性値を測定した.
4) 耳鼻咽喉科領域の感染症31例に対する Cefotiam 静注療法の臨床効果は, 著効25例, 有効5例およびやや有効1例となり, その有効率は著効, 有効例を合算すると30例96.7%の成績がえられ, かつ副作用の発現はまったく認められなかった.
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