1. 選択的局所持続動注26症例, 5Fu 250mg one shot 静注8症例, FT207内服投与16症例, FT207坐薬投与20症例, 計70例について, それぞれ5Fu血清内濃度と腫瘍組織内濃度を高速液体クロマトグラフィーによる化学的定量法によって測定し, 得られた値について, 著者らによって提唱されている5Fu有効濃度と比較検討して, 各種投与法の有効性について考按した.
2. 5Fu腫瘍組織内濃度と血清内濃度との割合は局所動注例では血清内濃度は腫瘍組織内濃度の約1/7と低く, これに反し, 全身投与例では投与法にかかわらず, 約2倍と高い値を示した.
3. 全身副作用を少く, 腫瘍に高濃度の制癌剤を維持するには局所動注療法が理にかなっており, 全身投与法によれば副作用のために適確な効果を得るにはなり得ない.
4. 血清内濃度を測定することによって組織内濃度を推定することが出来, 効果が推定されるであろう.
5. 投与法別による有効性は, 局所動注では5Fu 1日量250mg持続動注によれば多くの部位で有効レベルが確保出来るが, 放射線併用によればさらに有効となる. しかし, 部位による濃度差を考慮しつつ治療をすすめることが安全である. 静注投与は one shot によれば, その薬効は60分程度しか持続しない. 持続点滴によって有効レベルを維持するには1日量1000mgが必要である. FT207内服では1日量2000mg投与によって有効レベルが維持される. この量は持続経口内服は不可能である. しかし, 坐薬によれば1日量2000mg投与が可能である.
6. 内服投与によって組織内濃度を高く, 血清内濃度を低く, 副作用が少い薬剤が開発されて来ているので今後検討したい.
7. 有効レベルの5Fu濃度を維持しながら, 副作用発現に到らない投与量をコントロールするには, 5Fu血清内濃度をモニターしながら治療をすすめることによって安全に治療効果を挙げうるようになるであろう.
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