1) 腎透析患者の詳しい問診で, 41名中30名, 73%の患者がめまいを訴えていることがわかった.
2) めまいを訴えた患者のうち, 聴力の異常のあった耳は40耳で66%に相当した.
3) めまいを訴えた者のうち, 19人は赤血球数が150万以下であり, 200万以下の者が多かった. したがって, 人工透析患者でめまいの発生を予防するためには, 赤血球数を200万以上に保つことが大切と考えた.
4) めまい感の中でも, 目の前が暗くなる感じが一番多く, 次いで回転性のめまい, 意識そう失感などの順で, これらも貧血が大きな役割をしていると考えた. ただ, 内耳性の末梢性の障害と考えられる者も4名と, 多くいた.
5) めまいの起きる時期は, 立ち上がった時が多く, めまいを訴えた者の70%がこれに相当した. ただ, 頭位変換眼振の症例も2例含まれており, 必ずしもすべてが貧血によるものともいえなかった.
6)めまいの随伴症状としては, 冷汗, 顔面蒼白などの自律: 神経症状を伴っていた. 耳鳴と難聴を訴えたメニエル型を思わせるものもあった.
7) 平衡機能検査で異常を認めた者は, 誘発眼振4名, カロリック検査で2名いた.
8) 腎透析のあと, 一過性ではあるが, 中枢性のめまい, 視標追跡の悪いものも6名と多くいた.
9) 今後さらに長期にわたり観察する必要を認めた.
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