1967年から1982年までに大阪大学耳鼻咽喉科, 放射線科を受診した中咽頭癌患者212名のうち, 重複癌が24名にみられ, その24名の重複癌患者について検討し, 以下の結果を得た.
1) 発生頻度は, 中咽頭癌患者全体の11%にみられ, すでに報告されている下咽頭と並び, 中咽頭も重複癌が多い.
2) 年齢, 性差は, 中咽頭癌患者全体と比較し差がない.
3) 第1癌と第2癌の発生間隔については, 1年以内の同時発生が25%にみられ, 8割が7年以内にみられた.
4) 部位の組合せでは, 喉頭が8例, 食道5例, 胃4例, 以下, 下咽頭, 舌がつづき, 呼吸器, 上部消化器との組合せが多い. また, 中咽頭の発癌の亜部位は, 軟口蓋9名, 扁桃7例と多かったが, 中咽頭癌はもともと扁桃に最も多いので, 発生頻度としては, 軟口蓋, 中咽頭後壁に多い.
5) 組織学的には, 扁平上皮癌どうしの組合せが63%と多い.
6) 放射線癌と考えられるものが5名にみられた.
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