第198回通常国会において成立した電気通信事業法の一部を改正する法律は、①モバイル市場の競争の促進に係る禁止行為の新設、②電気通信事業者及び販売代理店の勧誘の適正化に係る禁止行為の新設、③販売代理店への届出制度の導入を行うものである。
①については、現在のモバイル市場は大手3社が約9割のシェアを占める寡占的状況であり、市場競争が機能していないとの指摘がなされていることを踏まえ、モバイル市場の競争を促進するため、総務大臣が指定する「移動電気通信役務」を提供する総務大臣が指定する電気通信事業者及びその販売代理店に対して、
・端末の販売等に関する契約の締結に際し、利用者に対し、電気通信役務の料金を当該 契約の締結をしない場合より有利なものとすることその他電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれのある利益の提供を約し、又は約させること
・電気通信役務の提供に関する契約の締結に際し、利用者に対し、契約の解除を行うことを不当に妨げることにより電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがあるものとして総務省令で定める料金その他の提供条件を約し、又は約させること
を禁止するものである。
②については、利用者の利益の保護に関する規律を大幅に強化した平成27年の電気通信事業法改正の後、電気通信役務に関して寄せられる苦情・相談の件数が高止まっている状況にあることを踏まえ、電気通信事業者及び販売代理店に対して、
・利用者の利益を保護するために特に必要性が高いもの等として総務大臣が指定する電気通信役務の提供に関する契約の締結の勧誘に先立って、その相手方に対し、自己の氏名若しくは名称又は当該契約の締結の勧誘である旨を告げずに勧誘する行為
・その他利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがあるものとして総務省令で定める行為
を禁止するものである。
③については、販売代理店における適正な業務の確保の重要性の増大等を踏まえ、販売代理店について総務大臣への届出制度を導入するものである。
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