日本エネルギー学会誌
Online ISSN : 1882-6121
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96 巻 , 10 号
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目次
特集:バイオマス(総説)
  • 山口 渉, 今村 壮輔
    2017 年 96 巻 10 号 p. 408-416
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    近年,バイオマス由来糖類は石油資源に代わる新たな炭素資源として注目されている。これまでに糖類から有用化成品原料へと変換する触媒の開発が盛んに行われてきたが,得られる生成物は構造的に大きく制限されてきた。本論文では,バイオマス由来糖類から多様な有用化合物を与える高選択的変換プロセスについて紹介する。まず,我々はグルコースから得られる1,3-ジヒドロキシアセトンの高付加価値化を目指し,1段階で有用化合物へと変換する新しい製造プロセスを開発した。さらに,藻類由来のバイオマス資源の有効利用にも着目し,オイル抽出残渣に含まれる糖質からレブリン酸メチル及び乳酸メチルを与える新たな化学変換プロセスを開発した。

特集:バイオマス(論文)
  • 渡邉 賢, 松田 誌穂, 北島 治之, Richard Lee SMITH, Jr.
    2017 年 96 巻 10 号 p. 417-429
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)は来たるバイオマス社会においてセルロースから誘導できる基幹物質である。セルロースからHMFへと変換するプロセスは,(1)セルロースからグルコースへの加水分解,(2)グルコースからフルクトースへの異性化(3,)フルクトースからHMFへの脱水反応の3段階とみなすことができる。ステップ1および3は酸性触媒により加速され,またステップ2は塩基性触媒により促進される。HMFの収率を高めるためにはいずれのステップも最適化する必要がある。本研究では,HMF収率の向上を目指し,イオン液体-水共存系におけるグルコースの異性化反応(ステップ2)ならびに酸触媒を用いたフルクトースの脱水反応(ステップ3)に与える水の影響を検討した。35 wt%の水が共存した系において異性化を検討したところ,炭酸マグネシウムが本研究で採用した塩基性添加物の中では最も効果が高く,120℃,30 minの反応において23.1 mol%の収率でフルクトースが得られた(選択率85.3 mol%)。Amberlyst 15を添加した系でのフルクトースの脱水反応は,水の添加により反応速度が低下したものの,グルコースの共存により反応が阻害されることはなかった。本研究の成果をもとにセルロースからHMFへの3ステップ連続プロセスに対し収率を試算したところセルロース基準で32 mol%のHMFを生産できる可能性が示された。

特集:バイオマス(技術論文)
  • Kaede TEJIMA, Masao YUKUMOTO, Tsuneo YAMANE
    2017 年 96 巻 10 号 p. 430-435
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    以前報告した粗バイオディーゼル燃料(BDF)から残留メタノールを取り除く窒素ガス放散の原理(Yamane et al., Eur. J. Lipid Sci. Technol., 115, 1183-1192(2013))に基づいて,スケールアップの研究のために仕込み容量が5 Lと25 Lである2つの規模のガス放散装置を製作した。スケールアップの指標として,(窒素ガス通気量)/(粗BDF の容積)であるQ/Vは,3つの指標(Q/V(,エアーポンプの動力)/(粗BDFの容積)であるPg/V,および線速度u = Q/(装置断面積)の中で最も相関が良かった。2つのガス放散装置の総消費電力量Ptotalに影響を及ぼす3つの項目について測定した。25 Lガス放散装置でQ/V = 1.5 [1/min]であるとき,Ptotal/Vはおよそ0.1 [kWh/L] であった。安価で簡潔な精製工程として,窒素によって残留メタノールを徹底的に除去するガス放散装置の次にろ過助剤の助けによるろ過とで構成される精製工程を提案した。

特集:バイオマス(資料)
特集:JCRENⅡ(論文)
  • Takanori KOBAYASHI, Leo MATSUOKA, Keiichi YOKOYAMA
    2017 年 96 巻 10 号 p. 441-444
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    セシウム交換反応133CsI (v = 0, j = 0) + 135Cs → 133Cs + I135Csの反応断面積と速度定数を評価するため,準古典的トラジェクトリー計算を行った。トラジェクトリー計算は,MP2/def-QZVPPDレベルのab initio電子状態理論計算より得たポテンシャルエネルギー曲面上で行った。得られたポテンシャルエネルギー曲面より,このセシウム交換反応では活性化障壁無く容易にCs2I中間状態が形成されることが示唆された。このCs2I中間状態の2つのCs-I結合長は同じであり,化学的に等価である。セシウム交換反応の反応断面積は,衝突エネルギーが高くなるにつれて小さくなる傾向を示した。反応速度定数は温度500 Kから1200 Kの間で約3×10-10 cm3 molecule-1 s-1と計算され,わずかな負の温度依存性も確認された。

  • Ali AWAD, Abdus SALAM, Bawadi ABDULLAH
    2017 年 96 巻 10 号 p. 445-450
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    Thermocatalytic decomposition of methane (TCD) is a promising method for producing hydrogen. However, the main concerns of this process are very high reaction temperature and fast deactivation of the catalyst. In this work, a positive approach has been made to minimize both effects by using Pd-promoted catalyst prepared by the co-precipitation and impregnation method. Pd has a high affiliation with carbon, thus instead of encapsulating Ni, it diffuses in promoter hence the catalytic lifetime is prolonged. EDX and XRD analysis confirmed the presence of NiAl2O4, Al2O3, Pd, and Ni. BET analysis depicts that the surface area is decreased as the amount of metal content impregnated on the support is increased. FESEM analysis shows the nano particles are synthesized while carbon nanofibers are produced as by-product. The highest conversion of CH4 was given by Cat 1 (24.7 wt%Ni-0.3 wt%Pd/Al2O3) i.e. 45%.

  • Fadhli SYAHRIAL, Kazuki TANGE, Shinfuku NOMURA, Shinobu MUKASA, Hiromi ...
    2017 年 96 巻 10 号 p. 451-455
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    There is an imperative need to explore new technologies for hydrogen energy production without sacrificing life and environment. A 27.12 MHz radio-frequency plasma in liquid was used to decompose cellulose suspension for hydrogen production. The experiment was conducted to investigate the effects of sodium hydroxide and ultrasonic irradiation pretreatment. Molar concentration of sodium hydroxide was varied to 0.001 M, 0.01 M and 0.1 M and ultrasonic irradiation time was varied between 15 and 60 minutes in order to observe the hydrogen production rate and hydrogen yield. Hydrogen production had no significant enhancement at lower than 0.01 M sodium hydroxide. On the other hand, the hydrogen production rate increased dramatically to 23.0 µmol/s at 0.1 M sodium hydroxide. Typical optical emission spectrum of 0.001 M sodium hydroxide solution showed that radical species including OH (281.1 nm), Hβ (486 nm), Hα (656.3 nm) and O (777 and 845 nm) were generated which are very beneficial in attacking and decomposing organic molecules for hydrogen production. The highest production rate was obtained at 30 minutes of pretreatment. A longer than 30 minutes pretreatment with ultrasonic irradiation reduced the hydrogen production rate. Thus, ultrasonic irradiation pretreatment between 15 and 30 minutes was the potential condition for hydrogen production without sacrificing greenhouse gases effect.

特集:JCRENⅡ(資料)
  • Muhammad AYOUB, Aamir Hussain BHAT, Sami ULLAH, Mushtaq AHMAD, Yoshimi ...
    2017 年 96 巻 10 号 p. 456-462
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    The demand for energy and its resources is increasing daily due to the rapid outgrowth of population and urbanisation. Petroleum is a non-regenerate source of energy. The increasing price of petroleum and environment concerns making the search for alternative renewable fuels is gaining considerable attention. Biodiesel is among the most promising alternative fuel to replace petroleum-based diesel. In this work, biodiesel was produced via transesterification of palm oil with methanol in the presence of heterogeneous catalyst alkaline based clay KOH/MK-10. The surface and structural properties were measured via latest techniques of SEM and BET surface analysis. The characterisation of prepared catalyst showed that surface area and pore volume of modified clay decreased but the morphology of clay was observed as the same after potassium modification. The results showed that prepared KOH/MK-10 is highly active for transesterification reaction under optimized condition. The maximum conversion of triglyceride was noted 98% after 3 h of reaction at 60 °C with a 15:1 molar ratio of methanol to palm oil and 3 wt % of the prepared catalyst.

特集:エネルギーシステム(論文)
  • 島崎 洋一
    2017 年 96 巻 10 号 p. 463-469
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,山梨県の農業地域における太陽光発電の導入可能量を分析した。農業地域の最重要課題のひとつとして,耕作放棄地の有効利用がある。例えば,ソーラーシェアリングシステムは,営農を継続しながら再生可能エネルギーを生産することが可能である。筆者は,地理情報システムを用いて,耕作放棄地における太陽光発電の導入可能性を評価する方法を提案した。山梨県の農業集落は農林業センサスに基づき,不定形の1,687地域に分割された。本研究では,定形のメッシュデータを適用し,山梨県をより詳細な4,500地域に分割した。最大傾斜角度が20度未満かつ最大傾斜方向が南向きの条件を満たす地域を重ね合わせの分析により抽出した。さらに,太陽光発電の導入潜在量は自然公園地域と自然保全地域を除いたメッシュとした。年積算日射量を用いることにより山梨県の年間発電潜在量998 GWhを算出した。送電線から耕作放棄地までの距離に関する感度分析により215 のメッシュデータを太陽光発電の導入可能量として抽出した。その結果,年間発電可能量394 GWhを算出した。これは2014年度の山梨県における電力消費量の6.4%に相当することがわかった。

特集:エネルギーシステム(技術論文)
  • 大野 陽太郎, 八木 宏
    2017 年 96 巻 10 号 p. 470-477
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    豪州の褐炭利用を例にCO2を含む褐炭ガス化ガス,および風力発電による水の電気分解で発生する水素を利用して,クリーンで,輸送が容易な燃料であるDMEの製造プロセスの概念設計を実施した。褐炭からDMEを製造する段階で発生するCO2をCCSで処理する基本ケースに対し,風力発電による水素を導入し,CO2と共にDME製造原料とすることにより,発電に利用できるDME製造量が増加し,CCS処理量が減少することが明らかになった。このことは,CCSが技術的,社会的に制約される場合の石炭資源の利用に関して,一つの有効な対策と考えられる。DMEを豪州からわが国に輸送し,発電に利用する際に発生するCO2はLNG利用の発電とほぼ同様であり,従来の石炭火力に比較して大幅なCO2の削減を図ることが可能であると考えらえる。

論文
  • 小野 優輔, 羽田 貴英, 池上 貴志, 秋澤 淳
    2017 年 96 巻 10 号 p. 478-486
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/10/31
    ジャーナル フリー

    CO2の排出削減に必要な解決策の一つとして,燃料電池自動車(FCV)の普及が期待されている。しかし,2017年1月現在,全国の水素ステーションは81ヶ所のみであり,水素供給インフラ建設の必要性が増してきている。本研究では,家庭用燃料電池内部に組み込まれている改質器が持つ未活用の水素製造能力に注目した。改質器と燃料電池スタックがそれぞれの効率の良い部分負荷率で独立に運転され,改質器の余力を用いてFCV 用水素を製造するシステムを提案した。改質器と燃料電池スタックの最適運転計画モデルを構築し,24世帯を対象にFCV用水素製造可能量を計算した。24世帯すべてにおいて少なくとも年間8,000 km走行分の水素1,040 Nm3を製造可能であることが分かった。さらに,東京都多摩地区を対象としたケーススタディにより,集合住宅の各世帯に本システムを導入した場合の水素供給ポテンシャルを評価した。多摩地区内の10ヶ所の集合住宅に本システムを導入した場合,2025 年のFCVの普及目標に対して80.9%のFCVの水素需要を満たすことができることが示された。

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