日本エネルギー学会誌
Online ISSN : 1882-6121
Print ISSN : 0916-8753
97 巻 , 2 号
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目次
論文
  • 土肥 英幸, 杉村 丈一
    2018 年 97 巻 2 号 p. 23-30
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    今日,低炭素化へ向けたエネルギーに関する研究において,3E+S で示されるエネルギーセキュリティ(Energy security),経済効率性の向上(Economic efficiency),環境への適合(Environment),安全性(Safety)の4つの因子を考慮することが求められる。これらの因子の内,エネルギーセキュリティの評価には,セキュリティインデックスが広く用いられているが,経済性,環境性とあわせて費用として評価した例は少ない。そこで,本研究ではリスクの変化に対し一次エネルギーの備蓄日数の増減で対策可能という前提に立ち,エネルギーセキュリティの費用化手法を提案,その手法を用いエネルギーミックスに関わるケーススタディを実施し,その解釈について検討を行った。その結果,2030年想定の電源構成が,CO2価値として$60~80/t-CO2のときに発電費用,CO2価値およびセキュリティ費用からなる総費用最小を与える火力発電構成に近いという解釈が,また,CO2価値が$160/t-CO2を超えると,エネルギーセキュリティを含めた総費用低減への石炭火力発電の寄与が困難になることが示唆された。

  • A. Muaz HAPIPI, Md. Azhar UDDIN, Yoshiei KATO
    2018 年 97 巻 2 号 p. 31-39
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    砂糖キビバガスは乾燥後,物理的,生物的または熱化学的なプロセスでエネルギーに変換されるとき,高熱量(HHV)となるバイオマスの一種である。過熱水蒸気および窒素ガスを用いた場合の砂糖キビバガスの炭化挙動と伝熱特性を研究した。炭化実験では,過熱水蒸気の場合のチャー収率,HHVおよび炭化割合は,実験温度が491-702 Kの間で窒素加熱と同様の傾向を示した。これは,特別な酸化が過熱水蒸気の炭化および熱分解の時に生じないことを意味する。伝熱特性において,サンプル温度の経時変化の計算と実験結果は,過熱水蒸気,窒素ガス過熱時ともよく一致した。過熱水蒸気雰囲気下でのサンプル温度は窒素ガス雰囲気下の場合よりも早く設定の炭化温度に達した。これは過熱水蒸気の伝熱特性が対流に加えて放射によるからである。以上のように,過熱水蒸気は,窒素雰囲気と同様熱分解過程で砂糖キビバガスを酸化させずに炭化し,窒素加熱より優れた伝熱特性を有することから,有用な炭化手段の一つといえる。

  • Ayumi IWAMOTO, Shohei MATSUO, Yukinori MIYAMOTO, Yasuhiro SAITO, Yohsu ...
    2018 年 97 巻 2 号 p. 40-44
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    乾留過程における原料炭およびコークスの性状を把握するために,性状の異なる4種類の原料炭,脱灰処理を施した原料炭および種々の温度で熱処理したコークスを対象に,XRDおよび13C-NMRを用いて石炭中の炭素の積層構造と芳香族炭素分率の変化を評価した。XRDの結果から,提案した手法で灰分由来のピークを除去できることを示した。また,熱処理を施すと,平均積層枚数は炭種によらず400-500 °Cで増加し,500-700 °C付近で若干減少した。さらに,熱処理温度によらず各原料炭の炭素の平均積層枚数は炭素含有率が高いほど多い傾向を示した。13C-NMRの結果から,芳香族炭素分率は熱処理温度が高いほど大きな値を示した。また,高温での芳香族炭素分率の序列は収縮率とほぼ一致した。

技術論文
  • 佐藤 信也
    2018 年 97 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    Cold Lake産オイルサンドビチューメンよりカラムクロマトグラフィー法(JPI-5S-22-83)で分画した飽和分(CL)の数平均分子量(Mn)を蒸留ガスクロマトグラフィー(GCD,ASTM D 7169 準拠),凝固点降下法,ゲル浸透クロマトグラフィー (GPC)で比較した。 GCD法でMnを推算する場合には,GCDで得られたクロマトグラムがベースラインに戻っていること,および沸点と分子量の相関が事前に分っていることという条件が必要である。後者については,アルカンおよびアルキルベンゼンで式量の対数と沸点の間に一次の相関があることが利用できる。CLの試料ではクロマトグラムの終点がほぼベースラインに戻っていることから,最初の条件も満足していると見なした。CLのH/C原子比(1.78)はアルカンよりもアルキルベンゼンの値に近いことから,アルキルベンゼンの沸点-分子量の関係を用いてMn = 400と推算された。 凝固点降下は較正曲線を用いないので,より基本的な分子量測定法である。本報告では17.2,8.63,1.57 g/kgの濃度のp-キシレン溶液,約10 mLを用い,凝固点降下による分子量測定を行った。その結果,CLの分子量は370と推算された。 さらに,従来法であるゲル浸透クロマトグラフィーによる測定を行った結果,ポリスチレンを標準物質とした場合の分子量は490と推算された。 これら3種類の測定法を比較すると,GCDによる方法は,現状では飽和分にしか適用できないが,最も簡便な方法である。凝固点降下法は原理的にどのフラクションにも適用できるが,多量の試料が(約150 mg)必要,概ね分子量約500 以下の試料にしか適用できないという制約がある。GPC法によるMnはこれらの測定法の中で最も不正確であり,GPC法で信頼性の高い分析を行うためにはポリスチレンに代わる標準物質が必要である。

資料
  • 迯目 英正, 小島 紀徳, 伊藤 拓哉, 鈴木 誠一
    2018 年 97 巻 2 号 p. 53-63
    発行日: 2018/02/20
    公開日: 2018/02/28
    ジャーナル フリー

    OTECは安定性や資源が無尽蔵など,基幹電源としての特性を有するものの,発電コストが高く実用化に至っていない。 筆者らは前報1)で,取水設備および発電装置の諸元の最適化により発電コストを出力1,250 kWで43.4 ¥/kWhに下げられると試算した。しかしこのコストでは石炭火力発電の5 ~10 ¥/kWhに比べて高く,本格的普及には至らない。発電コストが高くなる主因に高温側熱源温度が低いこと,スケールメリットを得るに至っていないことがある。 本報ではOTECの高温側熱源の補助装置として“非集光型太陽熱集熱装置”を新たに概略設計し,取水装置,発電装置のコストエンジニアリングとともに仕様を最適化し,スケールアップしたいくつかのケースについて発電コストを試算した。 本補助装置を用いた場合,高温側熱源温度の最適値は約95℃となり,久米島の条件の下で概算発電コストは出力1 万kWで11.3 ¥/kWh,10 万kWで7.0 ¥/kWh,100 万kWで4.6 ¥/kWhとなった。これは比較した再生可能エネルギーに依る他の発電方式に比べても安価で,石炭火力発電に対しても競争力を持つ。 本発電方式は既往技術の組み合わせであるが,異業種・多分野の先端技術を融合し,コストエンジニアリングと最適化を行えば,発電コスト低減に大きく寄与することが分かった。更には日射量に恵まれたサイトを選ぶことで発電コストは大幅な低減が期待できる。世界的には本発電方式に適したサイトは多く,再生可能エネルギーの基幹電源としての本格的普及につながることが示唆された。

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