石炭の一研究方法として, 茅沼炭田及び石狩炭田の炭層別試料を用いて反射顯微鏡下にビトリット及びドリットの各石炭組織成分を分離し, 各種の物理化学的試驗を行い, それらの結果と炭化度並びに石炭化現象との関係を求めた。先づ各種試料のビトリット並びにドリヅトの微細構造に就て詳論し, 家に同一炭化度と思われる炭層のビトリット及びドリヅトの炭化度と炭素量酸素量及び揮発分との炭化速度曲線を求めた結果曲線の逆転する「炭化の変移点」の存在することを認め, 其の原因を炭素量少く揮発分の多いエキジニヅトの存在の有無にあることを明かにした。また一般に此の変移点には揮発分による多少のズレのあることを示し, 石炭化の進むに從いビトリット及ゲドリットは夫々水分の減少, 発熱量の増加及び輝度の増加があることを知り, ホ素, 窒素, 硫黄分には大した差異がないことを認めた。斯くしてビトリット中の炭素量が炭化度決定の一規準となることを実驗的に明かにした。
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