石炭の生成に関しH.Potonieに始まる諸説, すなわちF.Eisoherな.どのリグニシ説F.BergiusならびにR.V.Wheelerのセルローズ説, J.Marcussonのオキシセルローズ説などを紹介し, 次でこれらの中主要なる説を詳説すると共に, セルローズ説の根拠となつたとも考えられるBergiusなどの人造石炭法を説明し, またこれに関するBergius, Erasmusの研究を述べ, さらにTropsch, Berl-Schmidt, Horn-Sustsmann, Fuchs-Hornの諸研究の概要, を述べた。次でセルローズ, リグニン, 脂肪酸, オキシ酸, アルコール類, フェノール類, 芳香族酸, 炭水化物, フェノール樹脂等を何れも中性, 酸性或はアルカリ性の水媒体で人造石炭化しその生成物の元素分析, 工業分析, 抽出試驗, 坩堝でのコークス化試驗などに関する筆者などの実驗結果を述べ,, 石炭の生成にはセルローズ, リグニン共にその原料になつたと考えるのが妥当であり, またセルローズから粘結成分が生成したと考えるべきだとして, セルローズの分解生成物が或る程度残存して適当な石炭化度に達したときに粘結状態が生球し, 石炭化度が適当でないとき, またはこれが著しく失われた場合には不粘結炭が生成するものと結諭した。
抄録全体を表示