1950年以来, 筆者らは三池炭に関して種々の研究を行つているが, それらの中から石炭組織学に関する部分を報告とした。石炭組織学が石炭の構造解明上役立つことは言をまたないが, 筆者らの主たる目的は, これを以て利用工業上に寄与せんとするものである。もちろん, 組織学の応用によつて石炭利用工業上のすべての問題点が解決し得るとは考えていない。しかし, 分離技術と相まつて, それぞれの組成に適した利用法の選択や, 石炭利用時における反応の解明などにおいて, 従来の物理的, 化学的分析法と並び甚だ有効な手段であることを信じて疑わないからである。
今後, 本問題に関する一連の報告を行う予定であるが, 今回は, 三池炭における2種類のドリットの発見と, 組織成分区分上の判定基準に対する試案を提出する。
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