わが国石炭の賦存状態からみて, 低品位炭活用の重要性は言をまたない。すなわち年間精炭4, 000万tに対し3, 000万t前後の低品位炭が附随する。もちろんこの中から特殊の選炭を行つて利用する面は若干あるが, この採掘費処理費の石炭原価に占める割合は大きい。
本研究は, 在来, 多くその有機物 (炭素) の利用に主眼が向けられたのに対し, その大部 (60~70%) を占める灰分に着目し, これを肥効性の高い硅カル肥料とし, かつ完全ガス化を計つた。すなわち低品低炭を原料として, 2%クエン酸およびN/2HCIに可溶性に富む硅酸石灰化合物の生成条件, 添加物の影響, 並に生成物の結合状態などについて実験を行い, その結果最適製造条件として塩基度1.2, 処理温度1, 200~1, 250℃ であることを確めた。また生成物の主体はCa
3Si
2O
7と推論した。また小規模工業試験の結果, 配合試料を小粒状にして完全ガス化, 残留炭素皆無の硅カルを得た。なお生成ガス組成に関してもある程度の見通しを得た。
水稲に対する肥効試験の結果, 塩基度1.2, 温度1, 200~1, 300℃ における生成物が著しい効果を示し, 製鉄スラグのものに比し顕著な効果を確認した。
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