要旨: -主要なコークス殿用炭について各種試験を行つたのち, つぎにそのうちから弱粘結炭代表として山野炭を, 膨脹粘結炭代表として双子炭および端島炭を, 強粘結炭代表として矢岳炭および米国轍炭を選び, これら5種の石炭のピリジン, クロロフォルムを使用して分離したalpha-, beta-, gamma-各化合物こついて各種項目にわたる比載試験を実施した。
その結果, 石炭の特性は炭化度の順に連続性を保ちながら変異しており, その傾向が各抽出物のすべてにそのままあらわれていることが明らかになつた。このことから, 石炭の粘結性を支配するものは, ある特定の成分でなくalpha-, beta-, gamma-各化合物の量ならびに質のすべてが関与するとの結論に達した。
著者は石炭の粘結性について成分別に (1) 適量のgamma-化合物を有し, その融点高く, 熔融温度以下での分解が比較的少ないこと,(2) beta-化合物の酸素が少なく, しかもそのミセル結合が弱いこと,(3) alpha-化合物のガス発生が比較的少ないこと, 以上の3項目を粘雛炭の具備すべき質的条件としてあげるものである
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