中東原油は一般に2~4%のイオウを含んでいる。これを原料としてテキサコ法のような加圧油ガス化を行ない, 一酸化炭素変成前に脱硫を行なわずに熱炭酸カリ法, エタノールアミン法などにより脱炭酸を行なうと, 原料油中のイオウ分はほとんど全部再生炭酸ガス中に入り, その硫化水素含有量は約1~2% (15~309/m
3) に上る。この炭酸ガスの脱硫法として拡吸収法ではアルカチットDik法以外には経済的に実施できる適当な方法が見当らず, 乾式脱硫法は設備費, 操業費が高価になる。またクラウス法によりイオウに転化するには硫化水素濃度が低すぎる。著者は硫化水素を酸素により接触的に酸化して亜硫酸ガスとし, これを精製後亜硫安溶液で洗滌回収し, 吸収液を硫酸添加分解して亜硫酸ガスを回収後分解液を硫安製造原料として利用する方法を確立し, 実装置の建設運転を行ない, あらゆる合成化学原料に適する精製炭酸ガスを得る方法について研究した。本報においては接触酸化反応条件の検討, 酸化触媒の研究についてのべるが, 500℃ 以下において酸化亜鉛系触媒, 酸化鉄系触媒を用いれば, 0.1~0.2%の残留酸素の下で99.8%以上の硫化水素転化率を得, SO3ガスミストの発生なく, 有機イオウの生成は僅少であることを認めた。
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