シクロヘキシルベンゼンの液相酸化によつてシクロヘキシルベンゼンハイドロパーオキサイドを生成する反応において, 誘導期, 定常連鎖反応速度, および反応系内の生成物最高濃度などの諸点からみて, 反応の最適条件を求めた。その結果反応温度は攪拌を強力に行なうならば, 110℃で充分であり, これに添加剤として本反応で得られるパーナキサイドを少量加えることにより好結果を与える。つぎに酸素分圧を上げることも本反応を有利に導く一手段である。本酸化反応の見掛けの活性化エネルギーは, 約20kcalである。その他添加剤としては, ステアリン酸ソーダ1%, ホルマリン2%を加えることも効果がある。
酸化反応における, 吸収酸素量とパーオキサイド生成速度の関係, および反応系の酸性度の増加速度よりみて酸化の定常状態の途中から, 2次的な反応が起り, 酸, アルデヒドなどの生成副反応が主反応を次第に圧迫していることが判明した。なお吸収酸素に対するパーナキサイドの収率は90.8%であつた。
上記で得た反応液を分解して, フェノールとシクロヘキサノンを得る分解反応において, 3弗化硼素または過塩素酸2~3%を添加し, 20℃, 22時間で完全に分解は終結し, フェノール約80%, シクロヘキサノン約78%収率で得られる。
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