パワーデバイスの過電流検知を目的に,MEMS技術を用いてTSV構造配線のロゴスキーコイル型電流センサを作製した。デバイスは,デバイス上下に通電するためのTSV構造の電流端子と,電流端子に流れる電流を検出するTSV構造配線からなるロゴスキーコイルで構成されている。TSVは,via径100 μm,137ターンで,デバイスサイズ10 × 10 × 0.3 mm3である。高比抵抗(>10,000 Ωcm)のシリコン基板を用いて作製し,TSV電流端子に通電したところ,安定した電流検知を実現した。
脱炭素化に向け急速に進む自動車の電動化では,駆動システムの小型軽量化が求められており,電力を制御するパワー半導体から生じる発熱を効率良く冷却する必要があった。筆者らは,パワー半導体の両側から放熱グリースを介さずに効率良く伝熱する直接水冷型両面冷却パワーモジュールを開発し,インバータ出力パワー密度を1.6倍に向上した。本報告では,冷却水へ浸漬可能なパワーモジュール構造を実現するためにアルミ製の缶(CAN)状金属ケースへパワー半導体を収納しながらもパワー半導体の両側をケース内面と高信頼に密着させる実装技術について報告する。尚,開発技術は従来比約2倍の高信頼化に成功し世界各国で採用されている。
機械学習アルゴリズムを用いた官能検査の自動化が進みつつあるが,実用化については多くの課題を残している。われわれは自動車部品に対するオンライン打音検査システムの研究開発を行ってきた。オンライン処理では1部品当たりの検査完了時間に上限が与えられるため,少ない計算リソースで高速演算可能なサポートベクターマシンを使用した。現在,リアルタイム制約を遵守しつつ,検査の正解率が99.8%を達成した。打音検査システムの実装における打音採取の方法,機械学習モデル作成の方法,装置化の方法,に関して報告する。
本研究では高圧電源を装置内に実装可能にするため,極性反転機能を有するメンテナンスフリー超薄型高圧電源を開発した。すなわち,スイッチングデバイスとしての極薄ベアチップおよび低線膨張係数フレキシブルプリンテッドサーキット(FPC)を高信頼性はんだ接合するための新接合プロセスを開発した。高揮発性フラックスの使用条件の最適化およびFPC上のSn-3.0Ag-0.5Cuはんだ表面の酸化膜除去プロセスを検討し,FPCとベアチップ間の微細,狭隙間の高信頼性はんだ接合を可能にした。本接続技術を用いて超薄型高圧電源を試作し,十分な高圧特性および信頼性を有することを確認した。
パワーエレクトロニクスシステムのフロントローディング開発において3次元熱流体解析シミュレーションを活用したパワーモジュールの熱設計が開発効率化に有益である。本稿では,IGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor) と FWD (Free Wheeling Diode) が実装された非対称構造を持つ2-in-1両面放熱パワーモジュールを対象とし,過渡熱測定から得られた構造関数をもとに3次元熱流体解析モデリングを行い,劣化解析事例として,はんだの劣化による剥離を想定したシミュレーション事例を示す。
われわれはリチウムイオン二次電池の充放電特性を向上させるための導電助剤として機械的剥離グラフェン(以下,剥離型グラフェン)を用いることで,一般的に使用されているカーボンブラック系のナノカーボン粒子やグラファイト粒子などの炭素材料と比較して,充放電サイクル特性の改善に有効であることを明らかにした。剥離型グラフェンは,二軸独立制御の三次元回転式ボールミルを用いてグラファイトから製造され,鱗片状の独特な形状を有する。繰り返し充放電による粉末ケイ素の急激な体積変化により負極構造,特に活物質であるケイ素本体の形態が崩壊しても,活物質との物理的な接触を確保でき,導電助剤として有効であることを確認した。
フィジカル・コンタクト(PC)方式による光コネクタは,フェルール端面の微小変形によって温度変動があっても光ファイバの接触を維持することによって長期安定性を保持している。マルチコアファイバ(MCF)の場合は,中心以外にコアを有するため,安定なPC接続条件は新たに検討する必要がある。標準外径を有する4コアMCFを取り付けたフェルール端面の微小変形について有限要素法による解析を試みた。IEC61755-3-1およびIEC61753-1 Category OP+HDの条件下による,偏心およびファイバ引込みを有する光コネクタの微小変形解析結果より,一部を除いて全ての端面状態のPC接続を確認した。以上のことから標準外径4コアMCFの場合のPC条件におけるフェルール端面条件について,曲率半径15 mm以上であれば,従来通りの条件で問題ないことを確認した。
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