表面実装に使用するためのプリント配線板の表面処理は, はんだ濡れ性, はんだ接合信頼性, 実装の作業性を考慮すると, 銅箔素地配線板に防錆処理およびプリフラックス塗布による保護方法から今後重要となることが予想される。本研究において, 防錆剤の種類, 脱脂処理後のソフトエッチング処理の効果, プリフラックスの耐熱性について検討した結果, ほぼソルダレベラと同等程度の保護効果をもつ処理工程および処理剤の開発が可能となった。その工程は, 脱脂→イオン交換水による洗浄→ソフトエッチング→イオン交換水による洗浄→防錆処理→イオン交換水による水洗→温風乾燥→プリフラックス塗布の順である。ソフトエッチングはエッチング深さを0.5~3.0μmの範囲に管理すること, 防錆処理剤ははんだ付け温度以下, 望ましくははんだ融点以下の融点をもつ錯体を形成するもの, プリフラックスは銅と反応することなく, 熱的に安定な合成樹脂が望ましいことが判明した。さらに安定した有機保護コートを開発するためには, より熱的に安定で, しかも酸素透過性の小さな樹脂を探すことが今後重要となると共に, より熱的に安定な防錆剤の開発が必要となろう。
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