パーフルオロ液体を熱媒体として用いるVPS法は, 電子部品の実装技術として重要な位置を占めている。パーフルオロトリペンチルアミン (PFTPA) を主成分とするパーフルオロ液体は, 優れた物性を有するためVPS法に広く用いられている。しかし, はんだ付け温度において有害ガス (パーフルオロイソブチレン (PFIB) とフッ化水素 (HF) ) が発生する問題があったため, 十分な安全対策が必要であった。本報では, パーフルオロ液体の沸点における有害ガス発生量の分析方法と公知の方法で合成したPFTPA系液体の測定結果を示した。この結果, 高沸点留分からのPFIBとHFの発生量が多いことから, 高沸点留分に含まれる微量成分がPFIBとHFの発生の主原因物質であり, PFTPA自体は有害ガスの発生源ではないことが明らかになった。これらの知見に基づき, 有害ガス発生量が無視し得るほど少なく, 安心して使用することができるVPS用パーフルオロ液体を開発した。
抄録全体を表示