電気製品を構成する部品中には, 様々な有害金属元素が含有されており, 特にプリント配線板上には, はんだ成分である鉛や電子部品材料に使用されているアンチモン等の有害金属元素が多量に存在している。現在, 廃電気製品はほとんど回収されることはなく, 埋め立て地等に投棄されている, それら廃電気製品が酸性雨などに長期的にさらされることによって, 電気製品中に存在する有害金属元素が溶出し, 土壌や水質の汚染を引き起こす原因の一つになることが予想される。廃電気製品の回収方法や再利用等についてはかなり検討されているが, システムとして稼働するには, まだかなりの時間を要すると推測される。本研究では, 電気製品を廃棄する前処理として, プリント配線板上に溶着しているはんだの回収を試みた。また, はんだ回収処理後のプリント配線板を使用して, 鉛の溶出実験を行い, 回収処理による鉛溶出変化を調べた。はんだ回収操作は振動を与える方法で行い, プリント配線板から60%以上のはんだを回収することに成功した。さらに, はんだ回収処理前後におけるプリント配線板からの鉛溶出実験を行った結果から, はんだ回収処理をすることによって, プリント配線板からの鉛の溶出をある程度減少させることができるものと考えた。電気製品を廃棄する前処理として, 電気製品の回収処理やリサイクルシステムの確立が望まれる。
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