ランドスケープ研究
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60 巻 , 5 号
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  • 多々良 美春
    1996 年 60 巻 5 号 p. 387-390
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    「作庭記」の評価にとってマイナス面が大きいとされてきた様々な禁忌事項の中でも, 特に水に関する記述を対象にして, その禁忌に内包された本質的な意味についての解釈を試みた。まず「作庭記」の文章構成の特徴を解析することにより, 水に関する禁忌事項は「庭園の立地する地形に従って導排水を行うこと」を規定していると判断した。さらにその規定は,(1) 排水や凌深を意味する「作庭記」中の記述 (2) 平安貴族の水に接近した庭園生活, 及び (3) 現代において理解されている水塊中の物質循環モデル, との一致により, 水質を良好に保つための技術的経験の蓄積が, 禁忌として表現されたものであると推察するに至った。
  • 飛田 範夫
    1996 年 60 巻 5 号 p. 391-394
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    禁忌は信仰・俗信上で禁止されている行為だが, 「もし… すると, … になる」という言い方で, 人々の日常生活の行動を束縛している。鈴木巣三編『日本俗信辞典』は最もよく禁忌事例を集めていて, 100種類ほどの悪いとされる庭園用植物が挙げられている。この事例を分析してみると, 禁忌を犯した場合は病気や死, 家の没落を招くとするものが多い。その根拠は, 植物の名称との語呂合わせ, 植物の形状からの連想, 信仰や家相との関連, 山野の植物の拒否, 偶然からのもの, 利用面の嫌悪などである。将来起こりうる災難を可能な限り逃れようとして, 身の回りの事物に気を配っていたことが, 庭園植栽の禁忌にも現れているといえる。
  • 小野 佐和子
    1996 年 60 巻 5 号 p. 395-398
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    駿河原宿植松家の帯笑園の訪問者の内, 高家大名等身分ある人々の訪問の具体的な有り様を, 植松家に残された日記と立ち寄り記録により明らかにした。彼らにとり帯笑園は, 園内の植物と共に, 富士の眺めや書画のコレクションが魅力であり, 植木好きの訪問者には, 植物や栽培法の知識を得情報を交換し, 珍しい植物を手に入れる場であったこと, さらに, 植松家は訪問者を通じて書画の収集を行っており, 身分ある人々の訪問は, 植松家にとって, 書画を集める有効な機会であったとする知見を得た。
  • 丸山 宏
    1996 年 60 巻 5 号 p. 399-404
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    江戸後期の戯作者, 滝沢馬琴は日記に日常生活を克明に綴っていることで著名である。馬琴は庭造りと園芸を趣味とし, 日記あるいは『後の為の記』『改過筆記』等に日常生活の記述を残した。文政7年 (1824) から天保7年 (1836) の12年間, 馬琴は神田明神下同朋町の80坪の住居に暮らし, 鑑賞と実用の庭を造った。庭には多くの樹木草本類の品種が植えられた。江戸の園芸文化の-端が窺える庭であった。庭造りには実学的な植物の知識が求められるが, また, 江戸後期に見られる家相学が庭造りにも影響をあたえた。馬琴も庭造りに吉凶を見ている。俗信・迷信であっても庭造りに一つの拠り所として家相が機能していたことは留意すべきことである。
  • 永橋 為介
    1996 年 60 巻 5 号 p. 405-408
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    1910年代後半から30年代前半にかけての大阪では人口稠密化, 煤煙問題, 不況による失業者の増大などの都市社会問題が顕在化していた。本稿では社会状況を踏まえ, 空間政策, 社会政策の専門分野で展開された公園論に注目し, 当時の公園が果たそうとした, もしくは果たさざるを得なかった意味と機能を構造的に捉える。当時の公園論は社会政策的な空間装置として公園を位置づけていながらも, 大阪市社会部の公園論には, 利用者像として「無宿者」の存在を想定し得ない言説構造が内在化されていた。しかし, 当時の状況下においては, 公園は社会構造から生じる「無宿者」のとりあえずの居場所としての機能を果たさざるを得なかった。
  • 小野 良平
    1996 年 60 巻 5 号 p. 409-412
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    東京の上野公園は, 明治初期に内務省の主導の下, 博物館事業や内国勧業博覧会を推進する国家的公園として開設された。本稿では, 明治期の国家的イベントとして最も重要である天皇が臨幸した儀礼的行為に着目し, たびたびその会場となった上野公園を対象に明治期の公園の空間構造の形成に及ぼした影響について考察した。現在に至る空間の骨格は明治初期に形成され, はじめに上野に国家的性格を与える儀礼が行われ, つづいて天皇を視覚化して国民に示すという政治的要請が, 公園の空間的特性を規定する一要因となったこと等が明らかになった。
  • 高橋 理喜男
    1996 年 60 巻 5 号 p. 413-416
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    明治初年に計画された札幌は, 格子状の街区パターンをもち, その中に広幅員の大通 (火防線) を設定した。それが現在の大通公園である。この大通計画の目的は二つあった。市街地を大きく官地と民地に分け, 両者の空間的分離を図ること。同時に, 民地から頻発する火災による官地への延焼防止の役割を担わせることにあった。
    この大通火防線の計画は, 都市火災の予防という観点から, 近代的都市計画としての評価を受けてきたけれども, 支配, 被支配の構造が色濃くあらわれている近世城下町的な都市計画の論理を踏襲していることは, 角館や大野の事例からも明らかである。
  • 佐々木 邦博
    1996 年 60 巻 5 号 p. 417-420
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 明治4年から6年にかけて明治新政府により欧米諸国へ派遣された岩倉使節団の公式報告書である「特命全権大使米欧回覧実記」の中で, 都市公園に関して用いられている多くの用語の使われ方の相違を明らかにすることにある。そのために「実記」中にあるそれらの用語の使用箇所をすべてピックアップし, 分析した。都市公園をあらわす用語は公園の形態・施設により使い分けが見られる場合もあるが, 一方でひとつの公園の表現に特定の用語があてられたわけではない。実見者にとって, 実見しているがゆえに, 多様な用語の使用が見られ, 「公園」の概念の理解についてはまだ流動的な状況にあったといえよう。
  • 鈴木 誠
    1996 年 60 巻 5 号 p. 421-424
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    宮澤賢治の残した「装景手記手帳」と「装景手記」ノートの詩句草稿を検討対象とし, 賢治のとらえた 「造園家」と「装景家」の概念について考察した〇賢治は広義の 「造園」に同じ意である田村剛の用いた 「装景 (Landscape Archltecture) 」のもつ意味を認識しつつ, 詩 「装景手記」の構想を発想したこと。 「この国土の装景家たちは/この野の福祉のために/まさしく身をばかけねばならぬ」という一節に感じる, 賢治が思ったランドスケープ・アーキテクトという職能の重要性。そして, 園芸や造園にも興味を持ち, 語感の優れた宮澤賢治でさえ, 1927年当時に 「造園」 「造園家」の役割, 職能の重要性を感じつつも適切な呼称に迷っていたことを指摘した。
  • 西田 正憲
    1996 年 60 巻 5 号 p. 425-430
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    昭和初年, 瀬戸内海国立公園の選定に携わった脇水鐵五郎と田村剛は, 鷲羽山から見る備讃瀬戸の多島海景を絶賛し, 国立公園の核心部を得たと自信をもった。この多島海景がそれ以前のものとどこが異なるのか, 中世から近代にかけての紀行文等に記された多島海景を分析し, 多島海景の変遷を考察することによって明らかにした。多島海景は, 江戸後期にシーン景, パノラマ景, シークエンス景として賞賛されたが, 明治後期にシークエンス景への傾斜がみられ, その後パノラマ景への転換の兆しが現れ, 脇水と田村がこの転換を押し進め, 新しいパノラマ景を見いだしていった。しかし, このパノラマ景を見いだした視覚も徐々に準備されていたものではあった。
  • 西村 公宏
    1996 年 60 巻 5 号 p. 431-436
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    明治期, 大正前期における東京帝国大学本郷キャンパスの外構については, 下記の2点が指摘できる。
    1. 明治前期においては, 既存庭園の改修が主体であり, 営繕掛西郷元善や内科教授ベルツ等が関係しているが, ケヤキ並木等, 複数の庭園を並木で結ぶ手法も見られる。
    2. 明治後期, 大正前期では, 外構の継承と拡充がなされているが, これらは, 浜尾新, 本多静六等により進められ, 学生が学業に親しめる環境がイメージされている。特にクスノキ並木 (1903) やイチョウ並木 (1906) は, 東京帝国大学における造園学の成立期に実現した造園事例としても位置付けられる。
  • 渡辺 達三
    1996 年 60 巻 5 号 p. 437-440
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    総理府が1983から95年にかけて実施した緑に関する世論調査の結果からつぎの点をみた。調査は選択肢を呈示し, 該当事項を選ばせ, 回答させている。1) “快適な生活環境における重要な要素” として回答量を増やしてきた “豊かな緑” が, 91年調査から95年調査にかけて回答量を減らしている。2) 緑への回答量が全体的に増えるなかで都市的・施設的な緑で減少するものがあり, 91年調査から自然指向への動きが顕著にみられるようになる。ただし, 3) “大都市” では自然指向への動きは “守り増やしたい緑” で顕著に現れるが, 日頃よく “見受けられる緑” でははっきり現れていない。そして, 2) ~3) の知見をもとに, 1) の原因についての考察を行った。
  • 野嶋 政和
    1996 年 60 巻 5 号 p. 441-446
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    わが国の都市空間の近代化の歴史構造の把握に必要な知と権力の関係を検証するために, 明治後半期・東京における長屋建築への規制の検討・実現プロセスを事例として, 内務省衛生局・東京府などの衛生行政や森鴎外らの衛生思想家にみられる衛生思想の展開と, 警察の取締による秩序形成との関係を考察した。明治期後半の都市空間の基底的秩序は, 警察による個別・具体的な強制力を伴った取締によって物理的にも制度的にも実現されたが, 取締を通じた警察による近代都市空間の秩序形成は, 認識論的な側面にも影響を及ぼしていた。その結果, 知と権力の相互依存関係が都市空間の近代化に重要な役割を果たしていたことが明らかになった。
  • 村上 暁信
    1996 年 60 巻 5 号 p. 447-450
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    近代都市計画の始点であるとされるエベネザー・ハワードの田園都市論を農学の立場から最初に日本に紹介したのは農学者横井時敬であった。横井は, 田園都市論は都市に田舎の趣味を持ち込んだものであるが, 自らは農村本位の立場にたつとした。そして明治42年に自身の計画思想を小説模範町村にまとめた。横井は, ハワード「田園都市論」とはまったく異なるものであるとしているが, 両者を詳細に比較することにより, その実現の方法は異なるものの, 地域環境と共存したかたちで都市と農村を融合させ, 自足的な協同社会を目指していたという点では共通点の多い提案であったことが考察された。
  • 皆方 訓久
    1996 年 60 巻 5 号 p. 451-454
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    戦前の東京市に指定された風致地区では, 地元住民の組織する風致協会の活躍が良好な風致の維持に寄与したとされているが, 風致協会の具体的な活動とその成果は明確にされていない。そこで, 風致保全と開発の調和を目指し, 風致地区の指定目的にあげている近郊行楽地としての整備や良好な住宅地の形成に, 協会はその活動を通してどのようなかかわりを持ったのか検証した。その結果, 前者は近郊行楽地として便益施設等の整備によって, レクリエーション利用の促進を図り, それが将来の公園化につながった。後者では, 風致地区にふさわしい緑豊かな住宅地の形成を導くような積極的な活動はみられず, 一般住宅地と大差のない市街化を許してしまった。
  • 安場 浩一郎
    1996 年 60 巻 5 号 p. 455-458
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    関東大震災後の復興事業におけるオープンスペ-ス計画に対する住民の意識について明らかにするため, 第10区画整理地区を例として, 住民の対応について考察した。その結果, 住民は, 幹線街路の新設に対しては, 車両交通の増加による, 営業上の不利を懸念しており, 一方, 保健・衛生・防災, および児童の教育・体育の施設としての公園の意義については, 住民も認識していたが, 公園用地に多大な敷地をとられることから, むしろ生活・営業の再建に対して障害になるとして, 新設に反対したことがわかった。また, これらの計画に対して, 住民間で地域の実情に基づいた代替案をつくる等の対応も行われていたことがわかった。
  • 内田 和伸
    1996 年 60 巻 5 号 p. 459-464
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    明治以降に移築された近世城郭建築遺構 (以下移築遺構と呼ぶ) 276件の内, 社寺や民家にあるものを除いた70件について, その種類や保存状況の調査を全国的に行った。調査結果から移築遺構の保存のために必要な原則を5つ例示した。1.移築遺構の建造物調査および本来位置の発掘調査により移築遺構の改変状況や歴史的文化的意義を明らかにすること, 2.城内への移築時には移築遺構だけでなく, 地下および地上遺構の保存を図ること, 3.本来位置になくても現状の歴史的景観・文化的利用状況を評価すること, 4学校施設では生活史的視点からの評価すること, 5.まちづくりに積極的な意味を持たせること, である。
  • 楊 舒淇, 進士 五十八
    1996 年 60 巻 5 号 p. 465-470
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    中国杭州の「西湖十景」は, 南宋時代 (1127~1278) に南宋画院の画家らに画題として描かれることによって成立した風景地である。本研究は, 「西湖十景」が成立するまでの背景や形成要因ならびにその発展と変化を史実から明らかにすると共に, このような人文的景勝地 (名所) の発展条件について考察した。その結果「西湖十景」は,(1) 南宋の都としての杭州の発展 (2) 杭州と西湖の風土 (3) 西湖らしさというイメージの固定化と定着 (4) 権力者の芸術愛好による風景画の興隆と需要増 (5) 南宋画院における山水画の構図の改変などを背景として成立し, そして媒体の宣伝によって景名が保存されたり, 時代とともに見直され, 現在にいたっていることが判明した。
  • 李 樹華
    1996 年 60 巻 5 号 p. 471-476
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    1971年陳西省乾県で発掘された唐の章懐太子李賢の墓の東壁に残る壁画に見られる盆景により, 中国盆景は少なくとも1300年の歴史のあることがわかる。それ以来現在まで, 盆景植物材料の増加と樹形の変化につれ, 整姿技術と道具・材料即ち樹形を作る手法は, 各時代ごとに異なってきた。本稿では多数の関連ある文献・絵画資料を収集・分析し, その整姿技術, なかでも最も重要な勢定と掛け技術の変遷と発展について検討し, 明らかにしようとするものである。唐・宋及び元時代には縄掛け・剪定・芽摘みが現れた。明・清時代には椋欄縄掛け・針金掛けが現れた一方, 多様の勢定方法が総括された。民国時代からは現在の技術とあまり変らない。
  • 劉 軍, 矢橋 農吾, 雨宮 悠
    1996 年 60 巻 5 号 p. 477-480
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    緑地造成のための植栽用土は小規模緑地が多いため, 園芸用土・人工土壌などの利用が可能であり, 不適用土との代替や育成管理の面からその積極的応用を図るべきであろう。本論ではそうした立場から団粒性用土である赤玉と他用土との混合の問題を動的水分消費の面から実験的に調べ, 恒率蒸発期間内ではその継続期間は初期水分に依存すること, 恒率・減率遷移点水分と萎凋点水分との強い相関ならびに混合土が構成土の中間の性質を示すこと, 萎凋点までの減率期間内の消費水分量と経過時間の間に一定の関係があり, 混合土はその中間の性質を示すことなどを明らかにした。
  • 養父 志乃夫, 中島 敦司
    1996 年 60 巻 5 号 p. 481-484
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    アカガシ幼苗の路地生産における適正な植栽密度を把握するため, 1m2当たり36, 64,121本の2年生苗を等間隔で植え付けた。その結果, 成長が終了した12月の時点において, 36本区では, 供試植物の樹高, 樹冠幅, 地際直径の平均値が121本区よりも大きくなる傾向が認められた。しかし, 平均樹高は121本区の50cmに対し36本区の59cm, 地際直径は6.0旧旧に対し7.4mm, 樹冠幅は20cmに対し24cmであり, いずれの測定値も標準偏差の大半が重なり合った。さらに, 64,121本区では45%を上回る個体が樹高50~60cm以上の階級に含まれ, その個体数は121本区で最大となった。この結果, 圃場生産効率を考慮すると、樹高50cm程度の幼苗の路地生産には, 1m2当たり121本程度の密植が適していると考えられた。
  • 森本 淳子, 丸山 宏, 柴田 昌三
    1996 年 60 巻 5 号 p. 485-488
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    美しい花を咲かせる木本植物の観賞を目的とした二次林管理として, 光環境の調整による花芽率のコントロールが提唱されている。しかし, 花芽率の予測には, 植物の生態学的特性を考慮した評価が必要である。そこで, 関西地方の二次林に多く自生するコバノミツバツツジの開花のメカニズムを解明することを目的に, 連続的に日射量を測定し, 花芽率・当年枝の構成・枝の動態を調べた。その結果, 5月~8月の日射量が41.0MJ・m-2・month-1以下の生育場所では花芽分化は確認されず, 明るいほど当年枝にしめる繁殖枝の割合が高くなること, 繁殖枝の腋芽から伸長する栄養枝の数は光環境の影響を受けにくいことなどが明らかになった。
  • アリフィン ハディ・スシロ, 坂本 圭児, 千葉 喬三
    1996 年 60 巻 5 号 p. 489-494
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    インドネシアのプカランガンは, 種多様性が高く多様な機能を有する庭としてよく知られているが, 近年における相続による庭の細分化と庭の利用の変化がその植生構造に影響を与えているものと考えられる。本研究では, 西ジャワ農村地域の庭を対象として, 庭の面積, 伝統的な庭の利用を指標する養魚池の有無, 所有者の職業, および, 行政によって庭に導入された苗畑の有無が, 出現種数をもとにした種の豊かさに与える影響を検討した。その結果, 植生階層ごとの種数には庭の面積が最も人きな影響を与え, 植物の利用形態ごとの出現種数の割合には庭の面積と養魚池の有無が人きな影響を与えることが明らかとなった。
  • 大黒 俊哉, 根本 正之
    1996 年 60 巻 5 号 p. 495-500
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    過放牧による砂漠化が問題となっている中国内蒙古自治区奈曼を事例として, 禁牧年数の異なる砂地草原での調査をもとに, 植生及び土壌の変化を地形条件との関連で把握したうえで, 放牧管理による植生・土壌回復プロセスの立地間差異について検討した。本研究の結果, 植生分布およびその動態は, 地形条件と関連した土壌特性あるいは水分条件の差異に規定されることが示唆された。植生および土壌の回復速度も地形条件によって異なり, 砂丘下部や平沙地では禁牧後速やかに回復へ向かうのに対し, 砂丘中~ 上部では, 20年程度の期間を要することがわかった。以上の結果に基づき, 地形タイプごとに持続的土地利用のあり方について検討した。
  • 日置 佳之, 井手 佳季子
    1996 年 60 巻 5 号 p. 501-506
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    オランダにおける地域レベルでの生態ネットワーク計画のプロセスについて明らかにするため, 3つの事例の比較検討を行った。その結果, 上位計画として国土生態ネットワーク計画が重要な位置を占めていること, 計画は,(1) 自然環境調査にもとつくベースマップの作成, 下 (2) ネットワークの目標種の選定,(3) 目標種の環境要求性, とりわけその生息に必要とされるタイプのハビタットの面積や移動特性の把握,(4) 下目標種の生息, 移動に配慮したコアエリア, 自然創出区域, 生態的回廊の配置, という生態学的な検討が行われた上で, 生態的インフラストラクチャーの整備計画が策定される, というプロセスにより立案されていること, 生態的インフラストラクチャーの事業実施は計画主体によるコーディネートにより推進されていること, が明らかとなった。
  • 大久保 悟, 武内 和彦
    1996 年 60 巻 5 号 p. 507-510
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    持続可能な農業的土地利用計画を考える際その地域の環境特性を明らかにする必要がある。本論文では泥炭湿地を含む湿潤熱帯地域を対象とし, その環境特性を残存丘陵から海岸までのトランセクトに沿って地形・土壌により把握した。その結果内陸から, 丘陵中腹凸型急斜面-Slope Compiex, 丘麓緩斜面-Udults, 粘土質台地低位面-Aquults, 粘土質台地微高地-Udults, 海成低地-Fibrists, 海成低地-Humods, 海成低地-Psammentsの順に地形-土壌の類型区が配列していることが確認された。類型区ごとに現在の土地利用状況と農業利用の問題点や持続的農業利用のあり方を考察し, 持続性という観点からホームガーデンという利用形態に注目した.
  • 原田 星一郎, 井本 郁子, 米瀬 泰隆, 武内 和彦
    1996 年 60 巻 5 号 p. 511-514
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 生物季節を空間的な指標として利用し, 土地環境の把握を行うことを目的とした。千葉県西部において, 落葉高木の展葉開花について調査を行い, その進行の状況を指数化した上で, その値の等値線図を作成し, 生物季節学的土地環境図とした。この図からは, 都市域において生物季節の進行は早まり, 逆に緑地が残存する地域で遅いことが読み取れた。重回帰分析により生物季節の指標値と土地被覆を示す変数, 及び気温に関わる変数の間の関係を調べたところ, 4月の平均気温, また, 生物季節の観測点から半径1000m以内の高木, 一般家屋, 露出地, 人工被覆平坦地の被覆率が説明変数として選択された。
  • 佐藤 治雄, 前中 久行, 川原 淳
    1996 年 60 巻 5 号 p. 515-520
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    測量時期の異なる国土地理院地形図をもとに, 琵琶湖湖岸域の昭和30年頃からの約30年間にわたる土地利用の変化を調査した。この期間に行われた河川改修や内湖干拓, 土地改良事業, 鉄道・道路網の整備などが要因となり, 市街地面積は湖東域で2倍, 湖南域で3倍に急増し, その変化は湖南域ではやく起こった。また, 水田面積は昭和30年頃から45年頃まで湖南域での減少と湖東域での内湖干拓による増加が釣り合い, 37.3%から35.7%へ微減したが, その後昭和60年頃までに30.6%へ急減し, 多くは市街地に転換された。このような大規模な土地利用変化には, 大きな社会資本の投入をともなう国や県レベルでの政策決定が大きく寄与した。
  • 深町 加津枝, 奥 敬一, 横張 真
    1996 年 60 巻 5 号 p. 521-526
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    京都府丹後半島の上世屋・五十河地区を対象に, 明治期から今日までの里山の経年的変容過程を5万分の1地形図, 森林簿等を用いて明らかにした。まず土地利用や植生の変化を把握し, 変化の要因となった社会的な背景を検討した。里山林については樹種・林齢階級別の分布と空間パターンを明らかにするとともに, 1900年前後~1996年の里山の変容パターンを分析した。その結果, 社会的インパクトが小規模な面積単位ごとに異なった頻度や大きさで発生し, 複雑な林相分布を生みだしたことが明らかになった。また, 経年的な変容に基づき里山ランドスケープを捉えると, 1900~1930年頃, 1930~1960年頃, 1960年頃~ の3つに類型区分された。
  • 重松 敏則, 朝廣 和夫, 瀬戸島 政博, 牧田 史子
    1996 年 60 巻 5 号 p. 527-530
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    有限の地球資源や生態バランスの保全を考えるとき, 国土環境の現況把握と植物資源の持続的な保全・利用計画が必要であるが, その基礎資料となる従来の植生図は, 植生の質量についての情報内容やデー夕の最新性等に限界があったため, 本研究は近い将来の超分解能衛星データの普及を前提に, カラー空中写真を主体に画像分析を行い, 当面は現地調査と目視判別も併用しながら, 樹林高, 樹冠幅, 樹木被覆度を示す現存植生環境動態図の作成を試みたものである.その活用の試案として, 植生の安定度, 大気浄化・気温調節機能, 景観・アメニティ機能, 生態的保全機能, 木材・バイオマス資源量, について現存植生環境評価図の作成を試みた.
  • 根本 淳, 養父 志乃夫
    1996 年 60 巻 5 号 p. 531-534
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    武蔵野台地では, 踏圧により土壌が堅密化し, これによって林床植生が衰退したコナラニ次林が存在する. これらのコナラニ次林について, 林床植生と土壌硬度の関係を調べた. 解析の結果, 低木層の植被率及び出現種数と土壌硬度との間には負の相関があった. また, 低木層の植被率が低く, 出現種数が少ない調査区群においては, 草本層の階層高, 植被率及び出現種数と土壌硬度との間に負の相関があった. シラヤマギク, ノハラアザミ等の植物が, 土壌硬度値5-20mmの調査区にだけ生育するなど, 土壌硬度に対する指標性を有する種群が存在した.
  • 鈴木 武彦, 加藤 和弘
    1996 年 60 巻 5 号 p. 535-538
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    東京都立東大和公園において, 皆伐から回復しつつあるコナラ林の種組成と植生構造を調査した. 皆伐時期の異なる林分の間で結果を比較し, 皆伐後の植生回復過程を推定した. コナラ林を構成する樹木の種組成や, 主要な樹種であるコナラ, エゴノキ, リョウブのサイズ分布は, 皆伐後十数年を経た林と皆伐後35年以上を経た林でおおむね類似していたが, 胸高断面積合計ではなお, 前者は後者の8割弱に過ぎなかった. また, 皆伐の数年後に開始される林床管理を境にして, 樹木の種組成がリョウブ優占型からコナラ優占型へと転換していくことが示された. この結果から, 林床管理がコナラ林の回復の促進の役割を果たしているものと考えられた.
  • 加藤 和弘, 一ノ瀬 友博, 大久保 悟
    1996 年 60 巻 5 号 p. 539-542
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    埼玉県所沢市西部の小手指地区のコナラ高木林17ヶ所に40の調査地点を設け, 植生の組成と構造を調査して今後の植生遷移の可能性を考察した. 高木中ではコナラの個体数が多かったものの, 亜高木中ではエゴノキの個体数が多く, コナラの個体数はその2割弱であった. 調査地一帯では, コナラ林はやがてシラカシ林へ遷移すると言われているが, 低木や稚樹中には確かにシラカシの個体が多く見られ, コナラはほとんど見られなかった. 加えて, ヒノキも多くの個体が低木や稚樹として見られ, 亜高木や高木の個体もあった. 種子を供給する母樹が林内にあることもあって, ヒノキがシラカシと競争しつつ今後の植生で優占する可能性は否定できない.
  • 石井 正人, 中越 信和
    1996 年 60 巻 5 号 p. 543-546
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    広島県廿日市市の「はつかいちアルカディア創出事業」における二次林を主体とする「さくらの里」地区の林冠木について植生管理の検討を行った. 1.13haの調査区で林冠木の毎木調査を, 20m×20mの方形区で樹高2m以上の個体の毎木調査を行った. 林冠木調査の結果, アカマツ, ヒノキ, コナラが優占し, 林冠木は直径サイズ・空間分布とも不均質な傾向にあった. またサクラ類については143本存在した. コシアブラなどのように幹密度が高く集中分布傾向を示す種が多かった. これらの調査結果から既存のサクラ類や希少種を残し, 亜高木性樹種の多いパッチでは強度の伐採後, サクラ類を補植する整備法を提案した.
  • 長田 光世, 飯島 博, 守山 弘
    1996 年 60 巻 5 号 p. 547-552
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    農業環境技術研究所 (茨城県つくば市) 内の複数の池沼において, 湿性緑地 (湿性の推移帯を含み水陸にまたがるオープンスペース) の範囲を定め, その植生構造とトンボの間の対応関係を検討した. 木本植生, 抽水植物, 浮葉植物, 沈水植物および開水面を植生構造の要素として, これらの要素がつくる植生構造とトンボの分布との関係を解析し, 両者の対応から類型化を行った.
    その結果, 以下のようなことが明らかとなった.(1) トンボの種類数個体数は湿性緑地の要素が欠損しない植生構造で最も多かった.(2) 各要素の植被率によって, トンボの植生構造に対する選択性に変化がみられた.(3) ある特定の要素が欠けたり植被率が100%に近い湿性緑地に対して集中もしくは回避する種の存在が明らかになった.
  • 福井 亘, 近藤 公夫, 安部 大就, 増田 昇
    1996 年 60 巻 5 号 p. 553-556
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は神戸市西部の都市近郊農村を対象に, 農村地域の土地利用特性と鳥類生息との関わりを年間を通じて明らかにした. その結果, 農耕地地区ならびに里山地区の両地区とも多くの鳥種が確認でき, 都市近郊において多様な鳥類の貴重な生息空間となっていることが明らかとなった. 水田や畑を中心とする農耕地地区内では, 二次林や自然林の鳥相が豊かであり, 特に二次林が鳥類にとって重要な環境を提供しているが, 水田や露地栽培の畑作地集落地では樹林では見られなかった鳥種も確認した. 農耕地地区における鳥類の多様性を維持するためには多様な土地利用がモザイク状に存在することが重要であると考えられる.
  • 倉本 宣, 加賀屋 美津子, 可知 直毅, 井上 健
    1996 年 60 巻 5 号 p. 557-560
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    多摩川におけるカワラノギクのメタ個体群の占有面積は近年大きく減少している. 局所個体群の全植被率とロゼット個体密度とには負の相関があり, 全植被率が60%以上になると局所個体群が衰退する傾向がみとめられた. しかし, 競合するほかの植物との競争だけでは局所個体群の衰退は説明できなかった. 写真上で解析した1×1cmの微小環境と実生の出現との関係から, カワラノギクの実生のセーフサイトは礫質河原において礫によって形成された陰であることが示唆された. 実生のセーフサイトを維持するためには大規模な増水によって砂が洗い流される必要があると考えられる.
  • 近藤 隆二郎
    1996 年 60 巻 5 号 p. 561-566
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    ミニチュア巡礼地は, 四国八十八ヶ所等の本巡礼を模した擬似体験空間であり, 国内に無数にある. 本研究は, 北播磨地方の8巡礼地を分析対象とし, 施主という寄付主体群と各巡礼地との関係分析を通して, その成立プロセスを地域社会との関係において明確にすることを目的としている. とくに, 西林寺八十八ヶ所については, 残存する『寄付帳』により寄付金額と参加圏との関係が詳細に判別するために, 大字別参加率や金額別度数分布, クラスター分析等を用いて考察を行った. 分析の結果, 檀家地域という枠に限定されない運動的かつ参加志向的な成立プロセスであったこと, 地域社会階層を反映していたことがわかった.
  • 吉村 晶子, ヤニッキー アンドレア, 橋本 健一, 中村 良夫
    1996 年 60 巻 5 号 p. 567-572
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, まず動態的景観モデルを規定し, その立場に基づき, 風景がどのようなきっかけで変化するのかということに注目し, 松尾芭蕉「おくのほそ道」の紀行文テキストについてハイパーテキストモデルによる情報構造分析を行った. その結果, 風景の動態的生成手法として (i) 身体的解釈 (ii) 差異システムの更新 (iii) コンテクストの重層化の3種類の方法及びその具体的内容が抽出できた. これらの方法は, 既存のコード体系の相対化により可能であったと結論づけられ, また, 「おくのほそ道」における景観体験は風景生成過程としてとらえられることを示した.
  • 橋本 健一, 仲川 岳人, 小野木 夢, ヤニッキー アンドレア, 中村 良夫
    1996 年 60 巻 5 号 p. 573-576
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 変動する空間での地名と意味内容の変容の過程を捉え, 地名と空間との関わりを明確にすることを目的とする。東京都雑司ケ谷地区を対象地域とし, 明治から現代までの行政地名が指し示す領域の変化と空間の変容との比較を, 地名制度の変更時点毎に行った。地図資料と地域史料から行政地名と領域の変容過程を明らかにし, 地名体系を空間の意味内容を反映したscript-scenic textとして説明した。 このtextは空間変動, 領域意味の生起に応じて書き換えられ, 現在のコラージュ的様態に至る過程として (1) 地名枠組みの解体, 再構造化と意味編集 (2) 異種混交状態に起因する意味の喪失と再生成のプロセスを実例に基づき提示した。
  • 沈 悦, 熊谷 洋一, 下村 彰男, 小野 良平
    1996 年 60 巻 5 号 p. 577-582
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 中国北京頤和園の景観形成の特徴および杭州西湖景観による景観づくりの影響について考察することを目的とした。 研究の方法は, 関連する歴史資料や詩集図絵などの文献を調査し, その景観整備の流れを辿りながら, 地形図及び現地調査による視覚分析を行った。またその結果と杭州西湖の景観構成との比較分析を通して, 頤和園の景観づくりがモデルとしての杭州西湖を参照しつつ, 現地条件に合わせより良い景観が創り出されたことを明らかにした。 参照した点としては, 造成形態, 三層構造及び構造物による景観ポイントの強調の3点があげられた。
  • 油井 正昭, 古谷 勝則
    1996 年 60 巻 5 号 p. 583-588
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    地球規模の環境問題の解決は, 今日国際社会の命題である。 このような状況の中で, アジア東部の各国が設置している各種の自然保護地域は, 地球レベルの自然環境保全に多大な貢献をしていると考える。 本研究では, アジア東部の18力国を対象に自然保護地域の設置状況とその特徴を求めた。 研究は文献・資料の分析を中心に行った。 その結果自然保護地域は15力国に1,137カ所, 総面積は約960,607Km2であった。 各国の自然保護地域の名称を基に8種に分類した。 一定地域の自然保護, 風景の保護と利用, 野生生物の保護地域が設置数の上位を占めた。 自然保護地域の面積推移は, 1970年代後半から急増したことが明らかになった。
  • 小林 昭裕
    1996 年 60 巻 5 号 p. 589-592
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    大雪山国立公園内の2箇所の区域を対象に, 利用者が利用体験を重視する程度と, 利用行為に伴うインパクトに対処する管理方策への支持やインパクトに対する不快感との関係について検討した。 利用者が示す態度の違いは区域間で小さかった。 しかし, 利用体験を重視する程度と管理方策の支持との関係は, 区域間で異なり, 利用者が支持する管理方策を用意するには, 区域毎に利用者が示す態度に応じた対応が求められた。 また, 対人的接触へのインパクトに比べ, 利用行為が自然環境に及ぼすインパクトについて, 対処の必要性や緊急性が高く, 利用者の不快感が強い傾向を示した。
  • 八巻 一成
    1996 年 60 巻 5 号 p. 593-596
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    自然公園においてレクリエーション活動に用いられている道路索道等のレクリエーション・アクセスの現況を明らかにするために, 支笏洞爺国立公園を事例として調査を行った。 まずアクセスの難易度に応じて車道, 索道と歩道に分け, 車道は路面状況により舗装と未舗装, 歩道は車道との接点からかかる時間により5段階に分け, 合計7段階の区分を設定した。 つぎに, 対象地を500×500mのコドラートに区切り, 各区分の有無を調査した. 公園区域を6地区に分け比較した結果, 各地区におけるアクセスの特色が明らかになった。 また, 公園の地種区分や人為的植生, 工作物とアクセスとの関係についても調べた結果, いくつかの特徴が明らかになった。
  • 中田 瑞恵, 油井 正昭
    1996 年 60 巻 5 号 p. 597-600
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 浅間山南麓の主要な景観要素である森林に着目し, 国有林の造成が始まった明治時代以降の状況を文献調査の他に当時の施業案と林班図を分析して, 国有林の造成が森林景観に与えた影響を明らかにした。 その結果: (1) 明治36年当時は火山灰土壌のやせ地であり, アカマツの生育する土地が総面積の約31%, 散生地や未立木地が約24%あり, 茅場や秣場としての利用が残っていた。 カラマツが総面積の約11%を占め, 今後, カラマツの植林を約34%まで増やし, 雑木林を減らす方針がとられた。 性 (2) 大正時代には, カラマツの生育が順調であり, 造林地面積の約57%を占めていた。 また, 軽井沢の風致に配慮し, 一部の伐採を調整していた。
  • 岡田 昌彰, ヤニッキー アンドレア, 中村 良夫
    1996 年 60 巻 5 号 p. 601-606
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    同化が主流のテクノスケープデザインに対し, その視覚像を自己言及させる「景観異化」の解釈法を提示した。 既に理論の確立している詩的言語論に依拠し, 「自動化された対象の活性化」なる異化の理念を手掛かりとし, キュビズム, ミニマルアート, ランドアートの美術及び枯山水庭園にみるデザイン手法を景観異化手法として分析・整理した。 その結果, 単純化, 空洞化, 輪郭破壊, フレーミング, 遊離化, コラージュ, 反遠近構図などの手法を提示した. さらにこれらを分類整理し, 言語における異化の理念と景観異化理念との対応を確認し, それぞれの景観異化をテクノスケープにおいて実現させるための留意すべき特性として, その解釈例を示した。
  • 岩田 秀樹, 斎藤 馨
    1996 年 60 巻 5 号 p. 607-610
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    インタ-ネットの発達により環境情報のディジタル化が急速に進む中で, GISを含む造園デ-夕のディジタル化がどのような現状にあるか調べると共に, GISの入力作業における問題点を明らかにする事を目的として, WWWにおいてホームペ-ジの現況を把握するとともに, 実際にGISの入力を行うこととした。 その結果,(1) インターネットは確実に造園の分野にも浸透しつつあるが日本はまだ後進国である,(2) 最もGISの応用に力を入れていると思われる造園の部門でも全体の10%にも満たない,(3) アナログからディジタルへの移行は長いアナログの慣習が要因となって容易には進まない, という3点が明らかとなった。
  • 本條 毅, 星 岳彦, 竹内 伸也, 布施 順也
    1996 年 60 巻 5 号 p. 611-614
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    摘要インターネット上での環境情報可視化システムのプロトタイプとして, 気象観測システムを例としてとりあげ, システムの開発を行った。システムの機能は, PPP, SMTPなどのプロトコルを用いたメールでのデータ転送, WWWによるデータ配信, CGIスクリプトを用いたWWW上での測定データのメッシュ化と三次元可視化などである。以上のようなシステムにより, 従来のシステムより詳細なデータをユーザーへ簡単に送ることが可能であることを示した。特に, WWW上での三次元可視化システムは, 景観評価などにおいても, さまざまな利用方法があると考えられる。
  • 徐 英大, 森本 幸裕
    1996 年 60 巻 5 号 p. 615-618
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    自然界で多く見られるフラクタル性が日本庭園にどのように反映されているかについて検討した。その結果, 日本庭園デザイン要素として16ヶ所の庭石, 14ヶ所の庭木の分布の幾何パターンにフラクタル性が認められた。そして, その次元は0庭園デザインの定量的記述 (2) 複雑さの表現 (3) 庭園デザイン解析の手法に, 用いられる可能性が確認できた。庭木の大きさ, 樹種については, 桂離宮庭園の場合樹高枝張りの分布のあるスケール範囲でフラクタル性が見られたが, 胸高直径の分布では, 見られなかった。樹種については, 多様度指数と比較しながらジップの法則性を考察した結果, ジップの指数が樹種の偏在性を示していると判断された。
  • 東海林 克彦
    1996 年 60 巻 5 号 p. 619-624
    発行日: 1996/03/28
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    環境アセスメントは, 要綱や条例等に基づき全国各地で実施されている。しかし, 環境アセスメントに対する考え方は, 必ずしも同一かつ一定したものではない。この考え方の相違が, 個別の環境アセスメント事例において, 事業者, 行政, 住民の間の論争の原因となっている場合がある。このため, 本論では, 環境アセスメントに関する新聞記事, 環境アセスメントの役割や効果等に言及した法令や審議会答申等を調査・分析し, 環境アセスメントに対する考え方とその変遷を明らかにした。その結果, 総合型, 未然防止型, 合意形成型, 開発規制型, 調査研究型の5つの異なる考え方の類型の存在とその変遷等が明らかにされた。
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