ランドスケープ研究
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61 巻 , 5 号
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  • 多々良 美春
    1997 年 61 巻 5 号 p. 369-372
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    『作庭記』に記される「嶋のさきを寝殿のなかバにあてて」の解釈については, 従来の研究でも特に問題視はされていない。しかし左右均斉を破る日本趣味的な手法の一つであると理解されたり, 浄瑠璃寺庭園の空間構成を評価する際の指標として引用されるなど, 平安・鎌倉時代の庭園を理解する上では注目に値する内容を持っている。一般に「嶋のさき」は「中島の先」「中島の先端」と解釈されてきたが, 寝殿と橋の位置関係に矛盾が認められ, 前後の文脈からは「中島の前方」という意味が一致する。本研究では, さらに浄瑠璃寺を含む平安・鎌倉時代の庭園の中島の位置を検証し, この部分の解釈を「中島の前方」とすることの妥当性を考察した。
  • 小野 佐和子
    1997 年 61 巻 5 号 p. 373-378
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    摂津池田稲束家の横岡山荘における江戸時代後期の庭園生活を, 庭園施設の建築や造成といった普請を中心に考察した。その結果, この時期横岡山荘では, 鞠場造成, 中門及び数寄屋建築をはじめ普請が盛んに行われ, それら普請への当主嘉光の積極的な関与, 石積みと植木の取り扱いに携わる尾張の存在, 農作業に従事する雇い人が普請を手伝うことを認め, 自らの手で作り出した風流な風景を, 自らが楽しむ場であることがこの時期の横岡の特徴であることを明らかにした。
  • 丸山 宏
    1997 年 61 巻 5 号 p. 379-384
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    北村援琴著『築山庭造伝』(1735), あるいはその後に続く秋里籬島著『築山庭造伝後編』(1828) 等の刊行は江戸後期における市井の庭造りの隆盛を裏付けるものであるが, 江戸後期に刊行された家相書にも庭造りの樹木・池泉・築山に言及したものが多く残されている。家相見は江戸期の安定化社会における宮廷陰陽道の市井での復権, 大衆化の現れであった。この家相見により庶民は庭造りの吉凶の占いを請い, 何らかの規範が示されることを求めた。家相書には作庭技法についての記述は少ないが, 池泉・樹木・築山等についての吉凶が詳細に記された。本稿は江戸の庭造りの一端を巷間に流布した家相書から検討するものである。
  • 飛田 範夫
    1997 年 61 巻 5 号 p. 385-388
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    平安時代前期に前庭に畝をつくり, キクを植えている例が見られるが, 土を盛って壇を築いて排水をよくして植物を育成させようとしたことが, 花壇を生みだしたように思われる。庭園施設として花壇を観賞に耐えるものにすることは, 二義的に重要なことであった。花壇という言葉は10世紀中頃の中国の詩にあり, 日本では『看聞御記』の応永25年 (1418) 2月28日の条に「東庭築花壇栽草花」とあるのが初見である。最も古い花壇遺構は, 朝倉館跡で室町時代のものが検出されている。江戸時代の花壇としては, 流行の植物専用, 回遊式庭園では重要な施設, 植木屋ではキクの栽培場所民家では草花を植える所, 寺院では草花・樹木の苗畑としての事例がみられる。
  • 鹿野 陽子, 服部 勉, 楊 舒淇, 仲田 茂司, 進士 五十八
    1997 年 61 巻 5 号 p. 389-394
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    東京都目黒区の旧西郷従道邸庭園は, 江戸期の庭園を前身として, 明治期の和洋折衷式庭園, 住宅地1と変遷して現在に至っている。本園は,(1) 東京の典型的な大名の庭園の変遷を辿ることができる事例であり,(2) 成立当初の地形の特色が比較的良好に残っている。(3) 江戸期から昭和初期までは別業的性格を持ち, 名所として半公共的価値を有する庭園であった。(4) 明治期には, 華族たちの社交の舞台として頻繁に利用され,(5) 庭園意匠や空間構成に明治期の欧化思潮が色濃く反映されていた。また.(6) 戦前には, 国の史蹟に指定された文化財でもあった。これらの特色によって, 本園は, 後世に継承されるべきランドスケープ遺産としての資質を有するものとみなされ得る。
  • 西田 正憲
    1997 年 61 巻 5 号 p. 395-400
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    わが国においては, 中世以降, 優れた名所・観光地が三景, 八景, 十二景, 百景等として定数 (名数) で選定されてきた。この全国レベルで選定された定数の名所・観光地とこれに準じる箇所を瀬戸内海について調べ, その選定の意図・背景, 位置, 景観, 新出箇所の特徴を分析し, 瀬戸内海における定数名所・観光地等の変遷を考察した。意図・背景については志向性の変位として, 位置は近畿, 中国, 四国, 九州の間の変化として, 景観は自然景観と人文景観の変化として, 新出箇所は新出率の問題として, 変遷を論じた。なお, 古代において瀬戸内海の各地を最初に名所化した万葉集も, 本論の変遷の考察に有効な前提として, その地名等を調べ論じた。
  • 赤坂 信
    1997 年 61 巻 5 号 p. 401-404
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    ドイツを中心とした郷土保護運動はわが国にもほぼ同時代に紹介されていた。こうした紹介のなかで, 何に関心が集中し, 制度としての必要性を感じていたのかを明らかにしたい。郷土保護の国際会議に出席した石橋五郎の報告 (1912) に寄せて黒板勝美 (1913) は郷土保護の有用性 (保存による国民の「元気修養の方面」) 等について解題するとともにわが国の当時の保存の考え方を批判している。学術上の保存の根拠のほかに「社会人心に感化を及ぼす」伝説の地も保存の対象に加えるべしと黒板の考え (1912) は, 後の神武天皇などの聖蹟さがしなどのフィクショナルなものと結びついていった。
  • 李 樹華
    1997 年 61 巻 5 号 p. 405-408
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    盆景の起源が中国であるという結論は, 中国・日本及び他の国々の盆景 (栽) の研究者, 愛好家や生産業者などの人々によって一般に認められるところである。だが, 中国における盆景の形成の様相と具体的な時期についてはまだ明らかにされていない。本稿では, まず現在の中国と日本における中国盆景の起源に関する四つの学説をあげ, これらに関して検討した。そして盆景形成と関連する主な文化と技術の基礎を分析した後, 盆景の起源に関して研究した結果, 樹木盆景と山水盆景は最初に後漢時代の河北省に現れたこと, 更に樹木盆景の原形としての鉢植えは, 仏教と深い関係を持つことが推察された。
  • 金 眞成, 藤井 英二郎
    1997 年 61 巻 5 号 p. 409-412
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    朝鮮時代中期の儒学者・尹善道が造営したいくつかの庭園遺構について現況測量や史料をもとにその構成を比較し, その背景にある思想とその推移について考察した。最初の隠遁地・芙蓉洞の庭園は治世のあり方を示す強い姿勢がみられるものであった。その4年後に築いた金鎖洞の居処・會心堂は山頂部に位置し, 実社会との関わりは薄くなる。しかし, 一貫して教育の場が設けられていた点はその隠遁にみられる特徴である。こうした隠遁のあり方は儒教思想が根強い朝鮮の隠遁の特徴を示すものであり, 儒教の捉え方に違いはあるものの中国と類似するものと言えよう。しかし, それは日本でみられた隠遁とは大きく異なるものと言える。
  • 鈴木 誠
    1997 年 61 巻 5 号 p. 413-416
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    日本庭園のデザイン・ボキャブラリーの一つであり, 現在, 日本式庭園の様式の一つとされる「枯山水」(石庭) を対象に, この用語の使われ方の近・現代における変容過程を歴史的にトレースし考察した。その結果, 近世・近代を通じて認識されていた日本式庭園の一形式に「平庭」があった爪現代における日本庭園様式の整理検討の中でこの用語使用が姿を消していく一方で,「枯山水」の用語使用が一般化してくる経緯を明らかにした。あわせて, この枯山水の形式が第二次世界大戦後のモダニズムのデザインの中で, インターナショナル・スタイルの一つに組み込まれ, モダン・ランドスケープ・デザインの重要なデザイン・ボキャブラリーとなることを指摘した。
  • 岩井 洋, 宮城 俊作
    1997 年 61 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 戦前の京阪神地方における住宅博覧会 (実物住宅展示会) を開催し, それらを取り込んだ郊外住宅地の開発計画について, その環境計画的な側面を実証的にあきらかにしたものである。計画的な住宅地開発と個々の住宅建築改善のすきまを埋めるべきものとして, 敷地計画のありかたを12例の住宅地において具体的に検討した。その結果, 敷地の選定段階において, 良好な環境条件を前提として開発がなされた初期の事例から, 時代を下るにつれて, 既存環境ストックとの関係に配慮し, それらを積極的に計画に取り入れるとともに街路や広場, 公園などの計画的配置と修景を通じて, ランドスケープ・デザイン的な操作による新しい景観の創出が試みられたことを指摘した。
  • 小野 良平
    1997 年 61 巻 5 号 p. 423-428
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    わが国最初の都市計画的視点を持った公園計画とされる, 東京市区改正審査会 (1885) における公園配置計画を対象とし, その計画がいかなる思想を反映したものであったかを, 個々の遊園計画を当時の都市環境と照らし合わせる方法で分析を試みた。その結果, 公園配置計画が, 道路計画をはじめとする全体計画の中で位置づけられていた一方, 従来強調されてきた抽象的な衛生論を越えて, より具体的な小学校や警察署の配置と関連づけられていたことが明らかになった。その背景を計画に関わった衛生や警察の立場, 思想の側面から考察した。
  • 安場 浩一郎
    1997 年 61 巻 5 号 p. 429-432
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    帝都復興事業における震災復興52小公園の計画思想を明らかにするため, 震災前後期における公園論小公園の計画内容, および52小公園の運営管理の展開を分析した。その結果, 震災前後期においては, 児童のための公園の設置, 学校以外の場での児童の管理や教育の必要論が高まっており, 小公園の計画においては, 公園における児童の指導, 教育などが計画の中に位置付けられていたことがわかった。また震災前後期における社会不安を背景として, 公園における社会教育や, 公園を通じた地域住民の統合が計画に織り込まれており, 震災復興52小公園が社会秩序を形成する空間装置としての意味をもっていたことがわかった。
  • 永橋 為介
    1997 年 61 巻 5 号 p. 433-438
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    都市オープンスペースは, 予測不能ともいえる多種多様で雑多な出来事や存在を想定せざるを得ず, 社会的な諸関係が現象し可視化される。中でも, 野宿者問題は大きな社会問題となっている。本稿では, 1910年代の都市空間における「浮浪者」を問題化する新たな枠組みの設定と,「浮浪者」という呼び名に劣位の標識が付与される「知」の蓄積過程を検証した。さらに, 近代化を進める中で「浮浪」問題をどのように回収し, 社会的諸関係の再編に対してどのような実践を促したのかの一端を「職工定住化」問題に見た。そこでは, 警察の取締, もしくは収容の対象でしかなかった「浮浪者」が労働規律の観点から問題視され, 1918年以降は教化の対象となり, さらに, 日本資本主義の展開を担う新しいあるべき存在を創出する方法が提起されていたのである。
  • 野嶋 政和
    1997 年 61 巻 5 号 p. 439-444
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿では, 露伴を代表とする都市空間についての秩序認識と理想像についての包括的な言説群の歴史的背景を探る-環として, 公共オープンスペースの秩序形成を対象とし, 都市空間の変容を構造的に把握することを通じて, オープンスペースとしての道路における秩序形成のあり方を考察する。具体的には, 近代都市空間における交通・防災・衛生・美観などの道路の諸機能に抵触する諸行為の排除のプロセスを, 長屋・裏長屋=「スラム」の住民の代表的な職業であり, 道路などのオープンスペースを生業の空間としていた大道芸と「雑業」への取締を対象として明らかにすることを課題とする。
  • 村上 修一
    1997 年 61 巻 5 号 p. 445-448
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    20世紀初頭のフランス・モダニスト庭園の意匠に, 当時の抽象芸術の一動向であるキュビズムの影響を指摘する議論がある。造形言語上の類似という指摘は多いが, 当初のキュビズム絵画を特徴づける対象の抽象化が庭園においても同様に行われたかどうかについては十分に議論されていない。この点を明らかにするために, 表現対象の抽象化が強く現れているモダニスト庭園の-事例に着目し, その抽象化の仕方について, 初期のキュビズムにおける抽象表現との比較検証を行う。結果として, 当初のキュビズムとの共通点も認められるものの, 抽象化の仕方に違いがあることがわかった。
  • 中尾 裕介
    1997 年 61 巻 5 号 p. 449-454
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    ツタ (Parfhenocissus tricuspidata) は, 東アジア原産の植物であるが, 西洋に伝播し広範囲に利用されている。本稿では, 最も早い時期にツタが導入されたイギリスへの伝播と普及の経緯を, 主として当時のイギリスの園芸雑誌の記事に基づき, 明らかにしようとした。ツタは1862年John Gould Veitchが日本からイギリスに導入し, 同じ頃Richard Oldhamもキュー植物園に送ったとされる。1868年ヴィーチ商会から市販後, 壁面への付着力, 紅葉の美しさなどが評価され, 主に壁面に利用する植物として1870年代に急速に普及した。1880年代以降広く栽培され, 多様な利用法も提案された。19世紀末には, 都市環境改善への利用が意識されてきていた。
  • 平岡 直樹, 佐々木 邦博, 伊藤 精晤
    1997 年 61 巻 5 号 p. 455-458
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, ベルギーの首都ブリュッセルにおいて, 近代都市計画の始点とされるイギリスの田園都市論の影響のもと, 20世紀初頭, 田園地域に数多く建設された住宅地の特徴を明らかにすることである。そのためにそれらの分布や規模, 計画技法, 住民共同組織の形態, 共有施設等を整理分析した。その結果, ハワードにより提案されたような真の自立した都市像ではなく, 既存市街地に部分的に依存し, 低層低密な2連戸住棟, テラスハウスによる中世風不規則配置構成を持った比較的小規模な田園郊外としての特徴を有していることが明らかになった。
  • 内田 和伸
    1997 年 61 巻 5 号 p. 459-464
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    近世城郭・陣屋・要害から社寺に移築され現存する城郭建築遺構 (以下, 社寺移築遺構と呼ぶ) 161件について, その種類や来歴, 所有者の保存意識等に関する調査を全国的に行った。その結果, 社寺移築遺構の入手方法は社寺による購入だけでなく旧藩主からの寄贈が多く見られ, 社寺移築遺構を当該社寺で保存する意向の社寺が多かった。今後の社寺移築遺構の調査では建築構造や意匠だけでなく, 来歴や移築された意味, 現在の環境利用状況を評価し, 移築を文化として捉える視点が必要になろう。また, 社寺での保存のためには登録文化財制度の活用や指定文化財では修理時の補助率の引き上げが望まれる。
  • 近藤 隆二郎
    1997 年 61 巻 5 号 p. 465-470
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    和歌山県下における地域的巡礼地を, 資料調査, 寺院アンケート調査, 現地調査により把握した結果, 88ヶ所関連が29件, 33ヶ所関連を38件確認した。88ヶ所関連が県下全域に分布し, 33ヶ所関連は田辺周辺と有田日高地域の2核に集積していることがわかった。江戸後期と昭和初期に開設ブームがあり, 88ヶ所関連中心の紀北に対して33ヶ所関連中心の紀南という特徴が徐々に混乱するプロセスを明示した。ミニチュア巡礼地の空間構造としては, 開空間・斜面立地型が比較的多く, 閉空間・平面立地型や山岳信仰との関係を推測できる山越立地型・山頂立地型の存在が特徴的であった。集落空間モデルとの関係では, 5パターンを提起した。
  • 渡辺 達三
    1997 年 61 巻 5 号 p. 471-474
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    高齢化社会に向けた緑地政策に資する基礎的知見を得ることを目的に, 総理府実施の世論調査の結果を分析し, 1) 高齢者では自然に強い関心を持つ者が多いが, 関心のない者も少なくないこと, 2) 居住地周辺の自然に非常に恵まれていると答える者が多いこと, 3) 自然との触れ合いの機会では高齢になるほど恵まれていると答える者が多くなること, 4) 自然保護の賛成理由では資源確保・災害防止への反応が高く, 近年の潮流である動植物の生態系の保護に対する反応が低いこと, 5) 自然公園内での開発はすべきでないとする意見が強いが, 開発容認派では利便性向上への期待が大きいこと, 6) 自然保護活動への参加意向が近年高まりつつあることなどをみた。
  • 山田 宏之, 赤松 潤, 養父 志乃夫
    1997 年 61 巻 5 号 p. 475-478
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    奈良県大和高田市の高架橋上に造成した人工地盤緑化試験区において, 雨水の底面貯水層の効果の検証を行った。植栽後約1年目の地被類と低木類の枯死率と被覆面積を土壌種類の違い, 貯水層の有無, 貯水層への通気の有無で比較した結果, 人工土壌の使用は生育量を増大させる場合が多いものの, 枯死率の増大など逆の効果もあり, 一概に優れているとは言えないこと, 底面貯水は枯死率を引き下げるには有効だが, 生育量の増大には寄与しない場合もあること, 底面貯水層への通気の効果はほとんど認められないことなどが把握された。貯水層の効果は, 土壌種, 植栽植物種の違いにより様々であり, ときには全く逆の結果をもたらすこともあることが分かった。
  • 水庭 千鶴子
    1997 年 61 巻 5 号 p. 479-482
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    修景的に用いられる被覆材の蒸発抑制効果を調べるため, 被覆層内を移動する水蒸気拡散係数を求め, 屋内の緑化を想定した簡単な土壌-被覆材連続水分移動モデルを作成した。土壌中は気液混合の移動, 被覆層内は気体のみの移動を考慮した。この水蒸気拡散係数と水分移動モデルを用いた数値シミュレーションから屋内での被覆材による蒸発抑制の効果を定量的に評価することが可能となった。また, このモデルは屋内で被覆材を用いた蒸発抑制時の土壌水分プロファイルを再現することができた。屋内での緑化は水管理が煩雑であるが, 本研究の結果をもとに被覆材を用いた水管理の指針を検討した。
  • 重松 敏則, 千原 裕
    1997 年 61 巻 5 号 p. 483-486
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    長大造成法面や土取り場跡地, 崩壊地等の緑化に際して, 幹挿しによる樹林復元の実用化をはかる場合, 潅水管理を期待するのは困難であり, 乾燥条件に対する適応性が要求される。そこで, 採穂から挿しつけまでの許容期間, 無潅水条件下での発根・枝葉発達の可能性を把握するため, アラカシとヤブツバキを材料に実験を行った。その結果, 挿しつけまでにアラカシでは2週間, ヤブツバキでは6週間の許容期間のあることが分かった。また両種ともに無潅水条件下で良好な成績をおさめ, 特にヤブツバキは無降雨条件でも, 高さ120cmの盛土条件であっても, 毛管水のみで発根・枝葉の発達の可能なことが明らかとなった。
  • 内田 均, 加藤 雅義, 村本 穣司, 萩原 信弘
    1997 年 61 巻 5 号 p. 487-492
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    根巻の有無と根巻資材の相違が移植樹木の生育・発根に及ぼす影響を2樹種 (コブシ・クヌギ) の落葉樹木を対象に, 地上部生育量・発根量から明らかにすると共に, その影響について根巻資材の物理的障害要因である水分・地温及び資材分解状況より検討を行った。その結果, 移植経過28ケ月後では根巻の有無と資材の相違が, 移植樹木の生育と発根状況には影響がないことが認められた。それは, 試験期間中の土壌水分と地温の差が少なく, 埋設28ケ月後の各種根巻資材の重量分解率が69~88%程度に進行し, ほぼ無根巻区の場合と同等になることから, 根巻資材が移植樹木の生育と発根を抑制しないことが原因と考えられた。
  • 下村 孝, 与儀 清栄
    1997 年 61 巻 5 号 p. 493-496
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    オオイタビ (Fp) 類3種の2節挿しで発根特性と側芽の成長を比較した。幼形枝ではイタビカヅラ (Fo) が他の2種よりも高い発根率を示したが, オーキシン (NAA) 処理区では差はなかった。成形枝ではFpの発根率が劣り, Foが優れていた。Fpおよびヒメイタビ (Ft) ではNAA処理, 無処理区ともに幼形枝の発根率が有意に高かった。枝からの挿し穂採取位置はFoとFtの無処理区で, 下部挿し穂の発根率が有意に劣った。挿し木後側芽が発達した分枝の長さと葉数はFpがFtよりも大きな値を示すものの有意な差ではなかった。以上から, FpとFtが挿し木発根および発根当初の分枝の成長に類似した特性を持つこと, さらに, Foの幼形が他の2種より容易に発根することが明らかとなった。
  • 養父 志乃夫, 駒走 裕之, 中島 敦司, 山田 宏之
    1997 年 61 巻 5 号 p. 497-500
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, ブナ科樹種9種の種子の発芽温度特性を検討した。アラカシ, シラカシ, アカガシは低温湿層で長期保存すると発芽速度が増加し, シラカシとアカガシは発芽率も増加した。コナラ, スダジイでは長期保存により発芽率, 発芽速度は低下した。ウラジロガシ, イチイガシは, それぞれ23℃と16℃で発芽率発芽速度ともに最大となり, クヌギは9~30℃の範囲で発芽率が80%以上であった。マテバシイは30℃で発芽速度が, 9℃で最終発芽率が最大となった。本研究で供試した樹種において, 種子発芽に与える温度の影響は樹種により異なった。また, 種子の産地の違いが, 樹種ごとの発芽温度特性に与える影響は, 見いだせなかった。
  • 駒走 裕之, 養父 志乃夫, 中島 敦司, 山田 宏之
    1997 年 61 巻 5 号 p. 501-504
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, アカガシ, アラカシ, ウラジロガシの3種の緑化用カシ類の幼木時の成長様式を把握するため, 1年生苗, 3年生苗を植え付けた。その結果, 3種とも4月上旬頃から樹高成長を開始し, フラッシュを1年間に4~5回繰り返しながら, アカガシは10月上旬, アラカシは9月上旬, ウラジロガシは10月中旬頃まで樹高成長した。肥大成長は, 3樹種とも4月上旬頃から始まり, 11月下旬頃まで継続した。同化部位となる葉面積は, 3種とも4月上旬前後に増加を開始し, 増加量が最大であった時期は樹種, 樹齢によってばらつき, 10月下旬頃に増加を停止した。さらに, 3樹種とも樹齢が違っても, 成長様式はほとんど変わらなかった。
  • 中島 敦司, 養父 志乃夫, 山田 宏之, 駒走 裕之
    1997 年 61 巻 5 号 p. 505-510
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本論では, 潜在自然植生の構成種等を植栽した「エコロジー緑化」施工地での樹林の形成状況を解明するため, 湾岸発電所にある施工後18年目の試験地において林分調査を行った。この結果, 試験地の林分では, 最上層にトウネズミモチ, ヤマモモ等の階層が形成さ礼地表付近では多数のシャリンバイやトウネズミモチの生育を認めた。このように, 試験地では階層構造が形成されつつあり, この要因はギャップ形成の影響によると考えられる。また, 土壌中では炭素, 窒素の蓄積が深部にまで進み, セミの定着や森林性昆虫の生息が確認される等, 森林化への傾向が認められた。しかし, 林分の構成植物種は植栽時とほとんど変わらず, 種組成は地域の自然植生であるカナメモチーコジイ群集等とは異なるものであった。
  • 中村 彰宏, 奥村 信一, 中川 育男, 森本 幸裕
    1997 年 61 巻 5 号 p. 511-514
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    異なる光環境 (全天光下, 遮光下, 室内) に生育するモッコク, クロガネモチ, モチノキ, カラタネオガタマの常緑広葉樹4種の光合成特性を, 切り枝を用いてアトリウム空間で測定した。これら4種の樹木は, 暗呼吸速度, 光補償点が, 同時に測定を行った陽樹のアカメガシワに比べて小さく, 異なる光合成特性を示した。およそ70%の遮光条件下では, 野外の全天条件下に比べ多少耐陰性が増加し, 室内条件下ではさらに耐陰性が増加した。屋外または遮光条件下のモチノキ, クロガネモチは, 高光量域でアカメガシワと同程度の大きな光合成速度を示すが, 室内条件下では, 熱帯林林床の樹木に近い小さな暗呼吸速度, 光補償点を示し, 光合成の可塑性が大きな樹種と考えられた。
  • 榎本 百利子, 森本 幸裕, 王 林和
    1997 年 61 巻 5 号 p. 515-518
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    中国内蒙古自治区の黄河中流域オルドス高原に位置するムウス砂漠 (毛烏素沙地) は, 砂漠化が進行してきた地域であるが, 近年毛烏素沙地研究センターを中心に緑化が進められてきた。現地では植栽された緑化樹木が成長してきているが, 不成績地も見られる。本研究では, 不成績地の原因を明確にするために, ポプラ属2種, 樟子松, 旱柳, 臭柏 (臭柏は極相群落構成種, 他は導入された緑化樹種) について年輪解析を行い, 樹種ごとに年輪成長と気象条件の関係を評価した。その結果, 第1因子は冬の低温, 第2因子は夏季の湿潤度第3因子は冬の日照時間, 第4因子は年降水量となり, この4因子が緑化樹木の生育を制御する要因であることが示唆された。また, 緑化樹木と現地の樹種では, 乾燥地における適応形態が異なっていることも判明した。
  • 大久保 悟, 武内 和彦
    1997 年 61 巻 5 号 p. 519-522
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    半島タイにおいて, 丘陵地下部から海岸までの地形・土壌カテナに沿って土地生産性を連続的に評価した。評価の対象を抽出するために地形・土壌図と土地利用の関係を把握した結果, ゴム林と, 薪炭林として利用されるMelaleuca cajuputiを評価対象とした。残丘から段丘高位面にかけてゴム林の生長量をもとに評価し, 丘麓緩斜面で最も高いことがわかった。M. cajuputiによって厚さの異なる泥炭湿地と砂丘・浜堤の比較を行い, 泥炭の厚い湿地で潜在的な生産力が高いことがわかった。地域全体における土地生産力の把握は, それぞれの地形・土壌タイプに生育適地を持つ植物で評価し, 多次元的な土地生産力の評価を地域全体で統合するべきと考えた。
  • 日置 佳之, 田中 隆, 塚本 吉雄, 田中 真澄, 裏戸 秀幸, 養父 志乃夫
    1997 年 61 巻 5 号 p. 523-528
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    計画対象地が持つ土地的な環境条件が, 目標とする生物生息・生育空間 (ビオトープ) の造成や維持に対してどの程度の適性を有しているかをあらわす尺度として “土地的環境ポテンシャル” という概念を提案した。生物多様性に富んだ湿地を造成する上では, 水の供給と維持の潜在的可能性が土地的環境ポテンシャルとしてもっとも重要であると考え, 国営みちのく杜の湖畔公園内での事例研究を通してその評価手法の開発を試みた。微地形単位と地下水位の関係を検討して, 評価に用いる単位空間としての妥当性を確かめた上で, 単位空間ごとに地下水, 表流水及び湖水の供給力を判定し, 浅水域の造成・維持に対する適性という形で湿地ビオトープの土地的環境ポテンシャルを評価した。
  • 大澤 啓志, 勝野 武彦
    1997 年 61 巻 5 号 p. 529-534
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    都市域に点在する谷戸は里地の生物の生息拠点となっている。谷戸環境を特徴づけるカエル類を指標として, 谷戸の特性および生態的ネットワーク形成によるカエル類保全について考察した。
    調査対象地域とした柏尾川流域 (横浜市南部他) は, 都市化による谷戸の減少・孤立化が進んでおり, かろうじて潜在的なカエル相が維持されていることが明らかになった。カエル相の保全には, 個々の谷戸における生息環境の保全と合わせて広域的な生態的ネットワーク計画が必要となる。その際力エル類の生息拠点の抽出には流域単位での把握が有効である。また, 地域住民による保全活動の場としての谷戸特性が認められた。
  • 増山 貴一, 藤崎 健一郎, 勝野 武彦
    1997 年 61 巻 5 号 p. 535-540
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 植生の違いによるセミ類の種構成の差異を明らかにし, 多様な生物の保全に配慮した緑地計画の策定に寄与することを目的としたものである。神奈川県大磯町の標高約160mの丘陵地を対象地とし, 各種の林の中に調査ルートを設定し, セミの羽化時期の間, ほぼ1週間ごとに羽化殻を採集し, 種及び雌雄の判別を行った。採集場所の樹林の種別, 林床の明るさ, 土壌硬度.土壌水分等の環境条件を調査し, セミの種構成との関係を分析した。採集された1363個の羽化殻を同定したところ, 5種に分類され, ニイニイゼミ, ミンミンゼミは落葉樹林に多く, アブラゼミ.ヒグラシは常緑樹林に多いなど羽化場所の特性が明らかになった。
  • 東 陽一
    1997 年 61 巻 5 号 p. 541-544
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    コアジサシは海岸や河川の中州で集団繁殖地を形成する。近年, 営巣可能な環境の減少により絶滅のおそれがあると言われている。本研究では, コアジサシの営巣環境条件を明らかにして, 集団繁殖地の保全策を検討することを目的として南関東地方で調査を行なった。その結果, コアジサシは植被率が極めて低い裸地で集団繁殖地を形成すること, 営巣場所の土質は, 砂の割合が高く, 礫・角礫の割合が低いこと, がわかった。また, 巣の近くには石などの目印になる構造物が存在することが多かった。コアジサシの繁殖を目的とした保護区を設置する場合には, 上記の点に留意して繁殖に適した環境を維持・管理することが望ましい。
  • 福井 亘, 増田 昇, 安部 大就
    1997 年 61 巻 5 号 p. 545-550
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は西神戸と東播磨地区の水田を中心とする農地の土地利用の分布形態と鳥類生息との関わりを把握することを目的とした。その結果, 都市近郊農村部では水田単一型の土地利用と施設栽培の畑地の構成比率が高い地区や市街地内に孤立した水田と畑地の地区で鳥類の個体数鳥種が少なく, 多様度指数も低くなった。一方, 都市近郊農村の中で水田, 露地栽培の畑地.二次林, 屋敷林を持つ集落地など多様な土地利用を構成する地区では鳥類の種組成が多様であり, 土地利用の多様性が鳥類生息にとって重要であることが明らかとなった。
  • 近藤 哲也, 榎本 博之
    1997 年 61 巻 5 号 p. 551-556
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    半自然地域の景観形成素材としてウマノアシガタに着目した。ポット苗を16本/m2の密度で畦畔へ移植し, その後3年間刈取り管理を行った。移植後1年目には実生個体が確認でき, 移植後2年間は90%程度の親個体が生存した。3年目になると親個体の衰退がうかがえたが, 実生個体が大きく成長した。個体群を開花初期に刈り取ると, その後の開花数は少なくなり, 開花盛期に刈り取るとその後の開花は行われなかった。結実末に刈り取ると, 実生個体数は, 3年後に161/m2に達したが, 開花盛期に刈り取っても実生個体は56/m2を観察できた。年に2回から3回の刈取り管理を行っても, ウマノアシガタ個体群は衰退することなく増加した。
  • 山本 勝利, 加藤 好武, 横張 真
    1997 年 61 巻 5 号 p. 557-562
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    中山間地において生物相保全のための林床管理対象地を効果的選定するため, 岩手県西和賀地域の民有林を対象に, 春植物群の出現を指標として林分構造と森林の社会的立地条件との関係を調査した。その結果, 春植物群の生育には低木層の高さと被度が低い林分構造が適すること, 過去に草地としての履歴を持つ林分では春植物群が出現しないこと, 両者の立地が到達しやすいという条件で一致することが明らかになった。これらの結果から, 春植物群保全に効果的な林床管理を行なうためには対象地の選定に際して過去の土地利用履歴に基づいて不適地を除外すること, 周辺土地利用を含めた管理システムを構築することが必要であると考えられた。
  • 志賀 壮史, 重松 敏則, 朝廣 和夫
    1997 年 61 巻 5 号 p. 563-566
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    大分県竹田市の白禿, 鬼田, 内園の3地区を事例に戦後の農林地管理の変遷と景観変化との関係を把握するために, 昭和22年, 同51年, 平成4年の3時期について航空写真からの目視判別による土地利用図の作成を行い, 現地踏査, 面接調査, 及び文献調査からその裏付けを行なった。その結果, 全体的な傾向として農林業の担い手数の減少と農林地の管理の放棄が見られ, それに伴い集落景観も変化してきていることが明らかになった。また, 各集落の景観の変遷過程には各々に特徴が見られ, 農林地管理の違いが影響していると考察された。
  • 山瀬 敬太郎
    1997 年 61 巻 5 号 p. 567-570
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    兵庫県内の2箇所のアカマツ二次林において, 下層木の伐採程度が異なる植生管理を実施し, その後の植生変化を種多様性保全の観点から比較した。100m2あたりの出現種数は, 強度に伐採した区の管理後5年目までの増減種数が+20種と+21種, 弱度に伐採した区が+11種と+17種であった。これは放置した区の種数が-1種と+2種であったのに対して大きく増加しており, 管理に伴う種多様性の増加がみられた。さらに管理度合の強弱に着目すると, 強度に伐採した区では, 本来はアカマツ二次林を生育最適域としないススキクラスやクサギーアカメガシワ群団の種が出現し, 萌芽再生由来である特定の樹種が優占する傾向があった。
  • 矢部 和夫, 吉田 恵介, 金子 正美
    1997 年 61 巻 5 号 p. 571-576
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    札幌市の11緑地の植物相を主成分分析法によって解析した。第1軸は孤立化指標 (周辺の森林率 孤立後の時間) と負相関を持ち, 森林植物の種数とも負相関を持った。孤立化は市街地拡大の指標でもあるため, この軸は緑地の都市化によって森林植物が減少することを抽出した。第2軸は, 緑地内の撹乱地の増加により雑草種が増加するという人為的な影響を抽出した。都市化によって消失する森林植物は30種の草本と14種の木本であった。また鳥散布型の木本は孤立化によって消失しやすく, 周辺100m以内の森林率が孤立化に影響を与えやすかった。さらに, 30種の草本が林床性であることから, 断片化 (小面積化) の影響が大きいものと思われる。
  • 國友 淳子, 森本 幸裕, 滝川 幸伸
    1997 年 61 巻 5 号 p. 577-580
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    中国内蒙古自治区の毛烏素沙地を対象に, リモートセンシングデータを使って緑化状況のモニタリングを行うための教師デー夕を得るために, 現地調査を行った。光学的手法を用いて, 植生の分光特性を活力度として表し, 植生の構造的数値である葉面積指数 (LAI) および現存量との相関関係を検討した。その結果, 木本・草本群落の植生指数 (NDVI) とLAIには正の相関が高かった。NDVIと現存量との相関は低かったが, NDVIとLAIを独立変数として重回帰分析を行うことにより, 高い相関がえられた。
  • 立入 郁, 武内 和彦
    1997 年 61 巻 5 号 p. 581-584
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    旧日本軍が作成した1930年代の地形図と中国科学院が作成した1980年代の砂漠化類型図を比べた結果中国内蒙古自治区奈曼旗でも, 周辺で報告された結果にほぼ一致する約1.8倍の流動砂丘の拡大がみられた。1980年代における砂漠化程度は, 地形では砂丘低位段丘, 氾濫原の順に大きく, 土壌では風積砂土が湿草地を上回った。大半のカテゴリでは。1930年代に砂漠化地域だったところのほうがそうでなかったところより1980年代の砂漠化の度合いが大きかったが, 例外的に逆の結果になるものもあった。
  • 田中 淳, 瀧川 幸伸, 中村 彰宏, 森本 幸裕
    1997 年 61 巻 5 号 p. 585-588
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    植物群落をモニタリングする手法の1つとして, 群落内の光環境に注目し, 群落内に入射する光の量を照度ではなく波長特性に応じて測定することによって, 群落の生育状況が把握できる可能性について考察を加えた. 葉の分光反射・分光透過率を分光放射計にて測定し, 樹葉の重なり合った時の光学モデルを作成したところLAの変化に対する感度は, 反射光よりも透過光が, 赤色光よりも近赤外光が高いということがわかった. 反射光の植生指数と同様に, 群落内透過植生指数 (R/IRとNDVI) の使用により群落の生育診断が可能である見通しを得た.
  • 山本 聡, 増田 昇, 下村 泰彦, 安部 大就, 福井 亘, 待谷 朋江
    1997 年 61 巻 5 号 p. 589-592
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 大阪府能勢町における水田中心の農業・農村空間の生物相保全機能と景観保全機能を評価し, 両評価結果と土地利用特性と地形特性で表される空間特性並びに基盤整備事業の経過年数との関係を探った. その結果, 未整備の棚田地区は景観的価値が最も高い上に帰化植物の侵入率が低く植生の多様度も最も高い結果となった. 一方, 棚田地区で基盤整備が行われた地区では長大法面が発生し景観面に大きな負の影響を与えると共に法面への帰化植物の侵入も多く見られた. 緩傾斜地区では, 基盤整備の整備年代に拘わらず景観的価値はやや高いものの, 整備年代が新しくなるに従って帰化植物の侵入率が高くなり在来種の保全機能が低下する傾向にあった.
  • 入江 彰昭, 平野 侃三
    1997 年 61 巻 5 号 p. 593-596
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    前回, 東京北部地域を対象事例として夏季のランドサットTMデータの解析を行い, 都市気象緩和に有効な緑地の種類, 規模・緑地率までを検討することができた. 本研究では課題としてあげられていた面的な解析を進め, 緑地面積に比例して低温域面積も拡大すること, 低温域内において単独分布の緑地構成より複数分布の緑地構成の方が有効な緑地の分布形状であること, その緑地間距離は約60m以内で分布していること, また1ピクセル (30m×30m) スケールにおいて市街地を低温化させるのに有効な周辺緑地構造を明らかにした.
  • 斎藤 馨, 藤原 章雄, 熊谷 洋一
    1997 年 61 巻 5 号 p. 597-600
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, ネットワークを活用したランドスケープ情報の基盤整備におけるモニタリング映像収集の手法と重要性を考察したものである. 最新のデジタル技術を「景観を記録し共有する」ことに応用できると考え, 森林景観映像記録ロボットカメラを開発し, 枝や葉の詳細な映像や, 森林全体を展望した映像を記録し, 森林科学研究者に公開しながら, その学術的な価値について実証的研究を進めた. その結果, 継続的に収集される映像記録が, 対象を共通理解するために有効な情報となることが示された. 今後のランドスケープ情報基盤の構築にあたって, 定点での継続的な景観モニタリングによる映像情報の整備が重要であると結論した.
  • 藤原 章雄, 斎藤 馨
    1997 年 61 巻 5 号 p. 601-604
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    映像を記録収集, デジタル化し, さらにネットワークで共有するための映像情報処理は, ランドスケープ情報を共有するための有効な技術であり, これらは, 新しい情報処理技術の応用により実現される.実際に森林環境情報の定点映像による基盤整備に関して行ったこれらの技術の応用例を取り上げて評価し, 現時点での課題を明らかにした. 森林映像情報の記録のために森林映像記録ロボットを開発し実用化した. 記録した映像はデジタル化し, インターネットによる共有, 表示を可能にした. 森林内に設置することからカメラの設置方法とフレームの決定に問題が生じることが明らかになった. 電源の簡素化, 制御システムの汎用化が今後の課題である.
  • 本條 毅, 竹内 伸也
    1997 年 61 巻 5 号 p. 605-608
    発行日: 1997/03/30
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    インターネットは, 情報伝達のメディアとして極めて重要な位置を占めつつあり, 地形・景観の三次元可視化を, WWW (World Wide Web) 上で行うことは, 環境アセスメントなどでも有効な手段と考えられる. 本研究では, WWW上で三次元可視化を行なう手法として, CGl (Common Gate-waylnterface) により可視化プログラムを実行する方法と, 三次元記述言語であるVRML (Virtua I Reality Modeling Language) を使用する方法を示した. CGIで使用できる可視化プログラム例は非常に少ないため, 本研究ではプログラムを開発し使用方法を詳述した. また, 両手法の長所, 短所について考察を加えた.
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