ランドスケープ研究
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62 巻 , 5 号
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  • 飛田 範夫
    1998 年 62 巻 5 号 p. 413-416
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    『万葉集』によると奈良時代頃からウツギの生垣が作られ, 絵巻物を見る限りでは平安・鎌倉時代には, 下枝を切り落とした生きた樹木を植え並べた生垣が主流になっている。この生垣は枯れ枝や割り板を立てた垣根の代わりに, 腐らない垣として作られたものと思われる。鎌倉時代頃から防犯のためにカラタチ・クコ・ウコギなどの刺がある樹木を使った生垣が現れ始め, 室町時代から江戸時代前期にかけて流行している。北村援琴著『築山庭造伝』(1735年) の図に生垣的な刈り込みが描かれていることからすると, 今日見られる刈り込み生垣は江戸中期頃から始まったものらしく, 両手で使う刈込み鋏が出現したこととの関連性が考えられる。
  • 小野 佐和子
    1998 年 62 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    安永期の六義園のありさまとそこでの庭園生活を, 柳沢信鴻の『宴遊日記』をもとに考察した。この時期六義園では, 腰掛茶屋と茅屋の二つの茶屋が建設され, 妹背山と水分石の改修がおこなわれた。信鴻は, 芝刈りを初めとする庭の手入れに自ら従事し, 畑の野菜や園中の春草, 栗, 茸などの収穫や採取を楽しんだ。俳譜の会もたびたび催された。これらの催しは, 個人的で家庭的な雰囲気を有した。この時期六義園は山里とみなされており, 平安時代以来の山居趣味を満たす場であったと考えられる
  • 李 樹華
    1998 年 62 巻 5 号 p. 423-428
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本論は朝鮮盆栽・盆石に関する文献資料を収集した上で, 中国盆景に関する文献史料と比較検討し, 朝鮮盆栽・盆石の確立と発展における中国からの影響を研究してみた。その結論としては, 朝鮮時代 (李朝) における盆栽・盆石の発展概況をほぼ明瞭した一方, 朝鮮の多種植物盆栽の鑑賞, 整枝技術と作り方, 日常管理方法, 更に怪石の鑑賞法, 怪石の扱い方および仮山の鑑賞と技術に中国の及ぼした影響も明らかにした。
  • 西村 公宏
    1998 年 62 巻 5 号 p. 429-434
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    明治初期における開成学校 (1868-1876) 等のランドスケープデザインの特色について, 図版 (写真, 図面), 回想・記録等の史資料から考察を行った。
    その結果, 老マツ等の既存植栽の一部は保存がなされたこと, 擬洋風庭園については, 開成所の時点で, すでに成立していたこと, 大学南校でも, 植栽の一部が保存された可能性が強いこと, 開成学校においては, 洋風のイメージに基づき前庭, 側庭, 後庭が整備され, 特に前庭は, 建物から独立した迫遙空間としても位置付けられていたこと, 東京大学になってからは, 建物との一体性が強められるが, 大学の威信を表現する装置としても機能していたことを明らかにした。
  • 林 まゆみ
    1998 年 62 巻 5 号 p. 435-438
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    中世末期から織豊期にみられる寺院や城郭の石垣普請には技術水準の高い土木, 造園的職能の形成が示唆されている。本研究では, これら石垣普請の職能形成に関して, 当時の日記や史料などからの検討や, 土木作業にあたっていた散所といわれる階層を含む民や寺社の座の分析, また, 現存する石垣の遺構を考察することなどを通じて, 石垣普請に携わった職能の発展過程を検討した。その結果, 石垣普請に関わる職能は大工や河原者などの職能形成には遅れるものの, 権門寺社の石垣構築や佐々木六角氏や浅井氏などの戦国大名の居城建設等を契機として, 散所の民や権門寺社お控えの職人層が各地で石垣を積み, 技術力を高めそれらが安土城で集大成された後, 秀吉の時代に棟梁化して石垣積みの穴太としての地位を高めていく過程が考察された。
  • 西田 正憲
    1998 年 62 巻 5 号 p. 439-442
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    京都御苑は戦後国民公園となり, 都市公園的要素と自然公園的要素を付加するかたちで公園化を進め, 変遷した。この京都御苑の戦後の変遷を, 国民公園の発足, 都市公園的施設の整備, その後の自然保護への傾斜等の観点から論じる。国民公園は, 連合国軍総指令部の強い意向のもと, アメリカ合衆国の国立公園体系にならって, 誕生した。京都御苑の変遷は, 戦後一時的に京都府が管理したことによる影響と, 国民公園行政が国立公園行政の一環に組み込まれたことによって, 大きく方向付けられた。また, 新しい公園施設の整備は, 御所の風致景観を守るために, ハレとケの計画原理にしたがってなされ, 不変部分と可変部分の共存が図られてきた。
  • 永橋 為介
    1998 年 62 巻 5 号 p. 443-448
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本稿では1910年代後半から20年代にかけての大阪の近代化の中で,「貧民窟」に小公園が設定された経緯と公園の位置付け方に注目する。そして, 1915年における小公園設置とその後の経緯を, 当時の社会状況, 特に, 社会編成および都市改編の展開の中で捉え直すことを目的とし, 公園設置の理念と実際に現象した管理や利用をめぐる衝突を問題化する際の言説の関係を考察する。当時の社会政策や空間政策に携わる専門家や官僚らは, 社会改良や都市改良の手段として公園の役割を積極的に位置付けようとしたが, しかし, 公園という空間そのものが物理的にオープンであるが故にはらまざるを得ない多種多様で雑多な人間を迎え入れる機能に対して, それを管理するために必要となる理論的な枠組みは当時の公園論には形成され得なかったことが検証できた。
  • 安場 浩一郎
    1998 年 62 巻 5 号 p. 449-452
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    関東大震災後の東京のオープンスペースにおける罹災者収容の展開を明らかにするため公園・広場等での罹災者収容の実態と, それをめぐる言説について考察した。その結果, 震災後, 公園・広場は罹災者の避難地となり, その後も収容施設の用地となったが, それらのバラックはあくまで応急的なものであり, 震災から2年足らずで撤去されたことが明らかになった。公園等における罹災者の収容においては,「風紀」の乱れや労働倫理の低下が問題になっており, バラックによる住居等の保障は, これらの資本主義的な労働倫理を乱すものとして警戒されたということがわかった。
  • 楊 平安, 平野 侃三
    1998 年 62 巻 5 号 p. 453-458
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は1895~1994年における台北市の公園緑地の変遷を考察したものである。日本統治下の1895年から1945年の間には, 市区改正計画及び大台北市区計画が行われ, 終戦後は台北旧市区, 士林北投, 南港内湖, 景美木柵の4地区に関する都市計画が立てられている。これらの都市計画の中で進められた公園緑地配置計画の理念, 手法及びそれに関連する法律条例, 更に政治的, 社会的背景を勘案した結果, 台北市の公園緑地計画の歴史を次の五つの時期に区分することができた。
    (1) 1896~1931: 公園分散配置期 (2) 1932~1945: 公園系統確立期 (3) 1945~1962: 公園系統継続期 (4) 1963~1979: 公園系統衰退期 (5) 1980~1994: 地区的公園系統再建期
  • 劉 東啓, 油井 正昭
    1998 年 62 巻 5 号 p. 459-462
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本論文は陽明山国家公園の成立経緯と内容を考察し, 国家公園制度の内容と成立の影響要因を解明することを目的としている。台湾国家公園の沿革は, 1962年に国連の要請に応じて発足し, 1982年最初の国家公園が指定された。その間アメリカ合衆国の援助で専門家の助言と指導を受け,「陽明国家公園計画」が策定された。このことにより, 国家公園管理制度はアメリカの制度の影響を受けることになった。しかし, 国家公園法策定においては, 陽明山地域を国家公園とするには, アメリカの営造物制国立公園制度では不適であるとの判断があり, 植民地時代に指定された大屯国立公園の影響もあって, 日本の地域制制度を参考にして制度を策定した。
  • 鹿野 陽子, 進士 五十八
    1998 年 62 巻 5 号 p. 463-468
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    イタリアの歴史的庭園は1939年制定の「文化財保護法」と「自然美保護法」の現行2法によって法定財とされ, その保護法制は「自然美保護法」の運用次第で景観規制や周辺環境を含めた広域保護が可能であるという特徴をもつ。保護動向を法制の歴史的経緯と法定財物件数の推移 (1902~91年) を併せて整理・考察した結果, イタリアにおける歴史的庭園の保護動向は,(1) 今世紀初頭に芽生えた自然美保護思潮の影響下に具体化,(2) 1970年代後半からは環境財という概念に強く影響を受け1990年代に至っている。また,(3) 保護実績 (法定財物件数) には, 直接的な法律の制定だけでなく, 1950年代後半からの市民運動や都市計画の整備とも見逃せない相関関係があることを指摘し得た。
  • 楊 舒淇, 進士 五十八
    1998 年 62 巻 5 号 p. 469-472
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本考は, 日本人が中国杭州西湖を天下の名勝として認識し, 評価するにいたる経過を明らかにした。西湖イメージは9世紀頃に『白氏文集』によって導入されたが, 13世紀に入った頃から蘇輯や林和靖の漢詩及び禅僧の記述などによって徐々に注目されるようになった。その場合, 西湖周辺の山々, 寺院, 孤山, 蘇堤など一部の景観のみが認識され, また隠者・林和靖などの人文要素との関連で西湖を理想的隠逸世界としてイメージしていたこと。さらに, 17世紀になると『西湖図』『西湖遊覧志』などを介して,「西湖十景」を含む全体的な景観構成が認識するようになり, そして19世紀では一般的に中国を代表する風景地としての評価が定着していくようになったことが考察される。
  • 若生 謙二
    1998 年 62 巻 5 号 p. 473-476
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    近年, アメリカの動物園で展開されている生態的展示の動きは, 1976年に提唱されたランドスケープ・イマージョンの概念に大きな影響をうけている。本論では, この概念とこれを生み出したアメリ力社会における環境認識と動物観の変容過程の関係についての考察を行った。展示空間での観客と動物の相対的な位置関係は, 動物の価値を認識する上で重要であり, 従来の動物園展示では観客が優位で動物が劣位の位置に配されているのに対し, 生態的展示では逆の位置関係にある。それは動物の生息する権利や生息地の価値に対する理解を図ろうとするものであり, 人間中心主義から生命中心主義への環境認識の変化に裏づけられたものであった。
  • 平岡 直樹, 佐々木 邦博, 伊藤 精晤
    1998 年 62 巻 5 号 p. 477-482
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    第一次世界大戦後, ベルギーではイギリス等の影響のもと, 数多くの田園郊外が建設された。本研究では, 田園郊外の建設を積極的に進めたベルギー地方自治体連合が1920年に主催した低廉住宅全国会議と, 1925年に発表した「田園都市に関する特別基準法」案の分析を行い, ベルギーにおける田園郊外建設の経緯とその理念を明らかにすることを目的とする。その結果, 第一次世界大戦後すぐの時期には戦災復興のため, 土地所有の制限や協同組合方式が社会秩序維持に有効で経済的である面から注目されたこと, 復興後は快適な住宅地が求められるようになり, 低層低密の構成の手法の普及が計られるようになったことが明らかになった。
  • 神吉 紀世子, 若生 謙二, 宗田 好史
    1998 年 62 巻 5 号 p. 483-488
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 都市近郊の農漁村から日本有数の公害地域へと環境の激変した大阪市西淀川区を対象に, 居住者個人の記憶の蓄積に着目し, ヒアリング法により公害の被害の進展と自然環境・自然遊びの減少の関係をとらえ, 環境変容の過程とそれに対する意識の発掘を試みた。その結果, 遊びの変化と公害への意識の変化について, 昭和10年頃以前, 昭和10年代~30年代半ば, 昭和30年代後半~40年代, 昭和50年代以降, の4つの時代区分に応じた遊び場所や自然遊びにおける自然との関わりの変化, 公害被害への意識の違い, 地域環境の変容の契機に特徴がみられた。
  • 中尾 裕介
    1998 年 62 巻 5 号 p. 489-494
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    ツタ (Parthenocissus tricuspidata) は, 東アジア原産であるが, 現在では西洋の風景の一要素となっている。本稿では, アメリカ合衆国へのツタの伝播と普及の経緯を, 主として当時の英米の造園.園芸関係雑誌の記事に基づき, 明らかにしようとした。ツタは1868年, John Charltonがイギリスのヴィーチ商会からアメリカ合衆国に導入し, 1869年に市販された。1880年頃以降, Boston市とその近郊で普及し風景の特徴となるに至り, Bostonivyの名で呼ばれるようになった。1890年代には, New York市周辺でも普及しており, 建築物壁面の他, 鉄道法面にも用いられた。19世紀末までには, 内陸中部の州や太平洋沿岸でも植栽されていた。
  • 浅野 義人, 羅 玄載
    1998 年 62 巻 5 号 p. 495-498
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    ノシバ, コウライシバ芝生の表層土壌のpHを調整することにより, 雑草の発生を制御する可能性について検討した。消石灰, イオウ粉剤を用いてpH調整を図った結果, 少なくとも1年間は土壌pHがほぼ安定的に保たれた。酸性が強くなるに従って, ほとんどの雑草の発生が抑制された。土壌のみのポット試験の結果では, 芝生で雑草が抑制されるpH下でも同様な現象がみられず, 芝生での雑草抑制はpHと芝草による被圧等の相乗効果によるものと考えられた。強度の酸性状態は芝生にも損傷を与えるため, 実用的にはpH5.2-5.3程度に調整するのがよいと思われた。
  • 崔 炯碩, 雨宮 悠
    1998 年 62 巻 5 号 p. 499-502
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    人工植栽土層は通常, 粗粒の排水層と植栽層の2層構造になっている。本論では, 無潅水栽培を前提に, 土壌物理特性と気象条件を考慮した層厚の検討を行った。東京での過去30年間の記録より降雨間日数の対数積算分布は正規分布によって良く回帰され, 95%, 99%出現確率に対する降雨間日数は, 29日間と64日間であった。ついで, 下層が100mmの場合の2層系の数値演算を行い, 初期水分から植栽層が平均して萎凋に到るまでの層厚と経過時間の関係を調べ, 99%の確率の場合, 所要の植栽層厚は236mmであり, 単層系の424mmに対してほぼ半分の値であることを示した。
  • 飯島 健太郎, 近藤 三雄
    1998 年 62 巻 5 号 p. 503-506
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    セダム属3種の生育に影響を及ぼす照度と土壌水分の関係について検討した。いずれも相対照度30%以上で生育が良好であった。特にメキシコマンネングサの生体重量は相対照度30%では直射光の2倍となり, 生育量が大きくなるのは遮光条件であったが, 直射光下よりも葉が薄くなり耐乾性が懸念された。相対照度7%ではマルバマンネングサ, メキシコマンネングサは僅かに生育したが, タイトゴメは衰退し耐陰性に劣った。次にメキシコマンネングサは人工光の照度20~3Kluxで良好に生育し, マルバマンネングサは20~1Kluxで比較的良好に生育したが, 0.5Kluxでは湿潤条件で衰退, 乾燥条件では僅かな生育を示すなど低照度では乾燥条件の場合には生育低下の度合が小さくなる傾向が認められた。
  • 近藤 哲也, 山口 真有美
    1998 年 62 巻 5 号 p. 507-510
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    海浜植物の保全と海浜地域での景観への利用を目的としてハマエンドウの種子発芽特性を明らかにした。ハマエンドウの種子は硬実種子であることが確認された。濃硫酸に浸漬することで種皮に穴と亀裂を生じ, それによって硬実を打破できた。40分間硫酸処理された種子は10~20℃の温度範囲で90%以上の発芽率を得ることができた。しかし, 25, 30℃ では発芽率が低下し, 発芽速度は遅くなった。硫酸処理後の種子は, 乾燥3℃, 無乾燥3℃, 無乾燥室温のいずれの条件下で貯蔵しても, 少なくとも1年間は処理直後の発芽力を維持できた。また, 自生地の砂を覆土した実験では, 6cmの覆土でも25日目には80%の発芽を見た。
  • 内田 均, 加藤 雅義, 村本 穣司
    1998 年 62 巻 5 号 p. 511-516
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 根巻資材の条件を整理し, 現在普及している藁・紙・麻袋・麻布の各種根巻資材の基本的性質を物理的・化学的観点からとらえ, また, 赤土・マサ土の土壌中における各種根巻資材の分解特性を化学的に明らかにし, 両面の総合判定より最適な根巻資材を探ることを目的として検討した。その結果, 根巻資材の条件としては, 分解性があり, 通気性・透水性・保水性に富み, 有害物質を含まず, 土壌反応により根に害を及ぼさない等々が上げられ, その条件に最適な根巻資材は現在常用されている物の中では麻布であることが判明した。また, 根巻資材は埋設12ケ月でC/N比が10に近づく傾向にあることから, 相当に分解が進むことが明らかとなった。
  • 澤田 一憲, 斉藤 友彦
    1998 年 62 巻 5 号 p. 517-520
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    河川における植生護岸として大きな効果をあげているヤシ繊維ロールを用いて, ダム湖湛水斜面緑化を試みた。ヤシ繊維ロールを等高線方向に連続あるいは編柵状に固定し, ロール間等に耐冠水性植物を植え付けた。その結果, 施工後約2年間の観察では,(1) 構造的劣化はみられず,(2) 植物の流亡は少なく,(3) 生存率は安定し,(4) 樹高の増加傾向が認められた。
    重機の使えない現場環境においては, 軽量で柔軟性があり, かつ強度のある植生基盤であるヤシ繊維ロールを用いた今回の工法は, 良好な植栽方法と思われた。
  • 佐藤 治雄, 堤 光, 森本 幸裕, 瀧川 幸伸
    1998 年 62 巻 5 号 p. 521-524
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    大阪府阪南市の約10年生ヒノキ植林地から採取した森林表土を, 潅水及び無潅水処理を施した粘質土壌基盤に, 異なる表土厚, 活性炭混入, わらマルチング, コバノミツバツツジ追加播種の各処理を行い, 全発芽個体の消長, 高さ・葉張りを追跡調査した。1996年7~12月に潅水処理区全体から播種種コバノミツバツツジ (852個体) 以外に58種1372個体, 無潅水区からは37種658個体が発芽し, ヤマグワなど23種は灌水区のみから発芽した。植物被覆量は灌水区表土5cm区で最大, 1cm区で小さかったが, 無潅水区では潅水各区に匹敵した活性炭混入区以外の区では非常に小さかった。森林表土播きだしによる植生回復に対し潅水処理, 活性炭混入の有効性が確認できた。
  • 高橋 輝昌, 鷲辺 章宏, 浅野 義人, 小林 達明
    1998 年 62 巻 5 号 p. 525-528
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    木本植物種の他感作用物質の有無や他感作用の程度・様式を把握する目的で, 関東地方に見られる木本種30種類について, 葉からの水抽出液と工タノール抽出液を用いた, レタスを検定植物とする発芽・生育試験を行った。発芽開始時間, 発芽速度, 最終発芽率, 幼根・胚軸の伸長量を求め, 種間比較を行った。いずれの樹種でも発芽速度の低下と幼根の伸長阻害が見られた。陽樹であるアカマツ・クロマツ・イイギリ・エゴノキは水抽出液, エタノール抽出液のいずれについても顕著な他感作用を示すことから, 他感作用物質を持つと考えられる。このような他感作用物質を持つ樹種を緑地へ植栽することによる, 雑草の発生や生育の抑制が期待される。
  • 森本 淳子, 吉田 博宣
    1998 年 62 巻 5 号 p. 529-532
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    異なる光環境に生育するコバノミツバツツジのシュ-トの動態を表す推移行列を作成し, 最大固有値とそれに対応する固有ベクトルから, 樹冠の成長速度と将来の樹冠構造を推定した。林縁では樹冠は拡張傾向にあったが, ギャップと林内では光環境の変動に対応して縮小傾向を示す個体もあった。林縁では, 樹冠内の光環境の変異によって, 各地上茎の花の割合にばらつきが生じる個体があった。林内では林縁とギャップに比べ短枝率が高く, 暗い光環境に適応した樹冠構造になった。ある-定の条件下では, 推移行列を使いシュートの動態を解析することによって, 個体そのものの成長と繁殖の状態を推測できることが判明した。
  • 奥津 慶一, 倉本 宣
    1998 年 62 巻 5 号 p. 533-538
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    スダジイの本州と伊豆大島のそれぞれ2集団における遺伝子構成を, 遺伝的マーカーであるアロザイムを用いて調べた。その結果, アロザイムレベルでは地域集団間において遺伝的分化は起こっていないことが示唆された。しかし, それぞれの集団の対立遺伝子頻度においては違いが認められた。よって, 愛宕山集団への移植については慎重に検討すべきであると考えられ, また, 移植が必要な場合でも更に詳細な調査が必要であると考えられる。
  • 中村 彰宏, 森本 幸裕
    1998 年 62 巻 5 号 p. 539-542
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    阪神・淡路大震災の液状化, 火災の影響が樹木の成長に与える影響を, 年輪解析から明らかにした。成長錐で被災した神戸市内に生育する樹木の, また震災の影響のなかった大阪府堺市に生育する同一樹種のコアサンプルを採取し, 年輪幅の比較を行った。その結果, 液状化の生じた場所に生育するクスノキ, クロマツ, アキニレには, 液状化による長期的な成長量低下の影響はなかった。また火災によって被災したクスノキには肥大成長量低下がみられたが, ケヤキにはみられなかった。しかし被災の翌年に成長量の低下した樹木も, 2年後から成長量の増加がみられ, 震災の影響は短期的であったと考えられた。
  • 間野 かづき, 森本 幸裕, 瀧川 幸伸
    1998 年 62 巻 5 号 p. 543-546
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    森林植生の分布や植生変動のモニタリング手法の1つとして, 林内透過光の分光特性による植生評価手法の提案を試みた。群落密度 (葉面積指数) および活力度 (乾燥ストレス度) の異なるアラカシ模型林分を対象に. 林冠からの反射光および林内への透過光について, 可視から近赤外域の分光特性を測定しスペクトル曲線と植生指数の変化を調べた結果, 閉鎖林の葉面積指数変化や微弱な活力度の低下に対して, 反射光植生指数よりも透過光植生指数の方がより高い感度を示した。このことから森林の構造および活力度変化の評価に透過分光特性が有効であることが明らかとなり, 地上観測による新しい森林モニタリング手法としての可能性が示唆された。
  • 重松 敏則, 森山 博光, 朝廣 和夫, 斎田 昇
    1998 年 62 巻 5 号 p. 547-550
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    アカマツ林が主要な植生として分布する公園林において, その一部を季節感や種の多様性の点で優れた落葉広葉樹林, ないしはアカマツー落葉広葉樹混交林に林相転換することを目的に, 間伐強度の異なる3区と全天区の計4区で実験区を用意し, 密生する下層植生を刈り取った後, クヌギ, コナラの2年生ポット苗を植栽した。その後の成長経過を追跡調査した結果, 半日陰条件の強度間伐区の成績が最も優れ, 根元幹直径, 樹高, 枝張りともに良好な成長を示した。立ち木のない全天区は直射日光に阻害されて, 強度間伐区の半分以下の成績にとどまり, 一方, 弱度間伐区や無間伐区は陽光不足のために, 良好な成長の期待できないことが明らかとなった。
  • 松江 正彦, 藤原 宣夫, 井本 郁子, 田中 隆
    1998 年 62 巻 5 号 p. 551-556
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    河川において植生の保全, 復元を図るには, その箇所における環境条件を把握し, そこに適した植生を目指す必要がある。
    本研究では, 利根川中流域から水位観測所に近い6地点を選び, それぞれの地点において水辺から堤防に向かってベルトトランセクトを設定し, その上の植生調査と微地形地質等の調査を行った。また, この調査結果を河川管理によって得られる, 年間水位データおよび洪水時流速データ等を用いて, 植生区分とその植生区分の立地する環境条件との関係解析を試みた。その結果, 河川敷に出現する植生として5つの群落を区分すると共に, それぞれの群落は冠水日数, 洪水時流速に大きく影響を受けていることなどが示された。
  • 矢部 和夫, 中村 隆俊, 河内 邦夫, 高橋 興世
    1998 年 62 巻 5 号 p. 557-560
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    降水涵養性湿原の発達する黒松内町歌才湿原の保全策を検討した。湿原内部の水質はpH4.3~4.7であり, 電導度は4.4~5.2mS/mであった。一方, 国道沿いの水質はpH5.3以上, 電導度は8m/m以上であり, 特に多量のCaとNaを含んでいた。塩類による汚染は国道から15mまでの部分にとどまっており代償植生の分布範囲も国道沿いに限られていた。一方, 排水路の近傍ではオオバザサが広範囲に優占していた。ササ群落下の電導度とpHは湿原中央部と変わらず, 栄養塩に富んだ排水路内の水がササ群落に流入している証拠はなかった。従って排水路による水位低下効果を除去することが本湿原の保全上重要なことと思われる。
  • 加藤 和弘
    1998 年 62 巻 5 号 p. 561-564
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    生物多様性は全ての生物に関わる問題であるが, 微生物を対象とした生物多様性の保全の研究はまれである。本研究では, 河川の付着微生物の中でも優占的な存在である付着珪藻類を対象として, 水文学的条件などが種多様性にどのように影響するか検討した。流路から切り離された止水域には, 本流とは異なった種組成の珪藻群集が見られ, その原因として, 水質汚濁以外の理由による水の化学性の違いが考えられた。流路では, 流速が遅いほど種多様性が高かった。結果に基づき, 珪藻類にとって川沿いの止水域が流路とは異なった性質の生息場所となるための条件と, 流速が多様な流路を確保する重要性を考察した。
  • 井上 雅仁, 中越 信和
    1998 年 62 巻 5 号 p. 565-568
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    親水性の護岸として導入される機会の増えた石積み護岸上の植生動態を把握するために, 広島県東部を流れる芦田川の石積み護岸上に, 5×10mの調査区を3つ設置し, 護岸設置直後の1994年から1996年までの3年間, これらを分割した小調査区全体の植被率, 出現種, 各種の植被率を記録した. 植物の侵入は設置から約半年後に河道付近を中心に始まり, 約2年後には平均植被率が20%近くに, 平均出現種数が2~3種に増加した。石積み護岸上では, 植被および種組成に空間的に偏りがあること, 植被の増加は複数の種がある程度均等に生じること, 種組成には季節変化が大きいことが明らかになった。
  • 原科 幸爾, 恒川 篤史, 武内 和彦, 高槻 成紀
    1998 年 62 巻 5 号 p. 569-572
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    森林の連続性を評価するための指数CONを定義し, 国土数値情報3次メッシュ (約1km2) を単位とした既存の植生データを用いて, 本州における森林の連続性を評価した。指数CONによる森林連続性と陸生哺乳類13種の分布とのオーバーレイをおこない, CONと分布の対応関係を把握した。指数CONに対する各動物の分布の反応を類型化したところ, 1) 奥山的な動物群, 2) 準奥山的な動物群, 3) 里山的な動物群, 4) 生息特性との関係があまりみられなかった動物群, の4群に分けられた。
    1), 2), 3) の動物群に関しては, 一般に知られている分布特性とほぼ一致しており, 森林連続性の評価の妥当性が示された。
  • 東 淳樹, 武内 和彦
    1998 年 62 巻 5 号 p. 573-576
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    千葉県印旛沼流域の谷津環境に生息するカエル類について, 種および個体数と生息地の環境要因の関係について調べた。調査は, 1997, 98年5月から7月にかけて行なった。畦の上を歩き, 目撃したカエルの数と, 歩いた畦の距離, 周辺の環境要素などを同時に記録した。目撃種ごとの個体密度と環境要因との関係について分析した結果, 個体密度に影響を与えた要因として, 水田の暗渠排水施設の整備斜面の土地利用, 用水の取水方法, 水路の配置などがあげられた。ニホンアカガエル・トウキョウダルマガエルの生息は圃場整備による乾田化によって負の影響を受けやすいが, ニホンアマガエルは乾田化の影響を受けにくいことが明らかとなった。
  • 一ノ瀬 友博, 加藤 和弘
    1998 年 62 巻 5 号 p. 577-580
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    樹林地内部の植生の種組成が鳥類の分布にどのような影響を及ぼしているか明らかにするために, 武蔵野台地および狭山丘陵に位置する比較的規模の大きな樹林地において, 鳥類の分布と植生の種組成の対応関係を調査した。 それぞれの樹林地に植生の異なる複数の調査地点を設定し, 1994年の繁殖期に鳥類の個体数調査を行った。 その鳥類調査地点内に方形区を設定し植生を調査した。 調査結果から, 樹林性の種の中には, ヤブサメやメジロのように, 常緑樹林への遷移が進行している二次林を特に好む種があることが明らかになった。 また, 林床植生の貧弱な二次林には, 草地や疎林の環境に現れる鳥類が侵入することが示された。
  • 田中 章
    1998 年 62 巻 5 号 p. 581-586
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    日本の代償ミティゲーションは, 環境影響評価法で初めてその内容が明かにされる一方で,(1) 生態系の復原・創造は可能か,(2) 環境破壊型開発を誘導しないかなどの疑問が出されている。 一方, 米国では,「協議手続き」 による合意形成, ガイドラインやマニュアル, 関連産業及び国家政策などの整備の他に, 新たな問題解決のためのミティゲーション・バンキングやHEPなどの仕組みが導入され, 代償ミティゲーションはさらに発展すると思われる。 今後の日本での発展には,(1) 協議手続きの徹底し (2) ミティゲーション検討の優先順位の徹底 (3) ガイドラインやマニュアルの整備い (4) 自然環境生態系に対する基本理念の整備及び (5) 事業者の負担を軽減する仕組みの確立が必要である。
  • 大久保 悟, 武内 和彦, 奥村 真紀子
    1998 年 62 巻 5 号 p. 587-590
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    湿潤熱帯地域の家屋周辺に見られるホームガーデンは, 持続的な土地利用形態の一種として近年注目されている。 本研究では, タイ南東部において農村集落の立地する土地条件を把握, 各立地におけるホームガ-デンの景観構造の相違を比較し, 各立地の潜在的な生産力評価を目的とした。 その結果多くの農村集落は丘麓緩斜面, 台地高位面, 砂堆列上に分布しており, それぞれ特有の種組成が確認され, 多様な種で構成されていた。 高木層の多様性から土地生産力を比較すると, 丘麓緩斜面と台地高位面で高く, 砂堆列で低いと示唆されたが, 低木層の多様性はいずれの立地でも高く, 伝統的な土地利用形態にもとついた, 新たな土地利用の展開が可能と考察した。
  • 立入 郁, 武内 和彦
    1998 年 62 巻 5 号 p. 591-594
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    中国内蒙古自治区奈曼旗北部において, 土地条件の決定要因として地下水位をとりあげ, 砂漠化強度のとの関係を調べた。 地下水位の測定は1998年夏に47カ所でおこなった。 つぎに測定値の空間分布と周辺の砂漠化進行程度との関連を調べた。 砂漠化の指標としては既存の砂漠化類型図から計算した周辺の裸地率を用いた。 この際土地利用圧を考慮した。 土地利用圧の指標は1965年と1990年の耕地面積率を考慮した。 土地利用圧が極端に大きい地域を除けば, 地下水位が3m以深の地域では地下水位が3m以浅の地域より周辺の裸地面積があきらかに大きかったため, これを閾値として土地区分をおこなった。
  • 田中 安代, 増田 拓朗, 菫 学軍, 前中 久行
    1998 年 62 巻 5 号 p. 595-598
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    中国内蒙古自治区オルドス高原で緑化に利用される沙柳について, 相対成長関係から現存量の推定を行った。 地上部現存量は低湿地で867 (g・m-2), 覆砂低地で408 (g・m-2), 地下部ではそれぞれ370 (g・m-2), 240 (g・m-2), であった。 年輪解析で, この値は7年間の生産量であることがわかった。 沙柳の根系の分布は, 立地条件により異なり, 低湿地は水平方向に, 覆砂低地では垂直方向に, 砂丘上では, 地表面近くと深さ50cm以上の部分に分布していた。 また, 所要の信用区間を得るために必要なサンプル数についても検討した。
  • 大野 朋子, 平井 潤, 丸山 宏, 前中 久行
    1998 年 62 巻 5 号 p. 599-602
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    竹林は近年になってその資源利用の低迷にともない、 竹林地の管理は粗放状態にあり、その分布は拡大方向にある。本研究では、大阪泉南地域を調査地として都市近郊林における竹林の分布状況の変化を調べ、その現状を明らかにした。調査は、1947年、 1970年、1993年の1/25,000地形図から土地利用についての判読を行い、竹林との関係を調べた。その結果、この地域の竹林は、1947年~1993年にかけて約18.7 ha~約207 haへと増加していること、竹林の分布は居住地周辺に多く見られることが分かった。また、針葉樹林や果樹園が竹林化していること、竹林の面積が大きいほど相対的な拡大率が小さい傾向が見られた。
  • 近藤 俊明, 中越 信和, 谷本 茂
    1998 年 62 巻 5 号 p. 603-606
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    広島大学キャンパス内のビオトープ計画に際し, 計画地における計画実施前の植生の評価を行った。まず景観レベルでの評価として, 植生図, 工事履歴図, 地形分類図及びこれらのオーバ-レイ図を作成し, 地理情報システム (GIS) でデータベース化した。その解析結果をもとに, 計画地内で保全が望まれる区域と整備に適した区域を抽出した。保全対象種としたカンアオイ属が生育する森林では, 個体群レベルでの調査も行い, 工事予定区間からの距離を各樹木とカンアオイ属個体について求めた。これら景観・個体群レベルでの評価の結果, 工事予定区周辺に保全が望まれる植生要素が多く分布することなどが判明し, それらをもとに計画の再検討を行った。
  • 日置 佳之, 藤原 宣夫, 水谷 義昭, 浅野 文, 田中 真澄, 太田 望洋
    1998 年 62 巻 5 号 p. 607-612
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    湿地植生計画は生物多様性の高い湿地を保全あるいは造成する上で根幹を成す計画である。本研究では, 敷地スケールで湿地植生計画を立案する基礎として, 微地形を単位空間とした植生の立地区分を試みた。面積約30haの湿地において現存植生の図化と微地形区分を行い, 両者のオーバーレイをGlSによって行った。微地形単位と植生の関係を群植物社会学的方法で解析した結果, 対象区域は中性立地, 汎湿生立地, 過湿立地及び水位変動立地の4タイプに区分された。各々の立地単位について遷移系列と群落環を推定し, これに基いて植生計画の指針を検討した。
  • 岡村 穣, 佐藤 篤美, 林 進
    1998 年 62 巻 5 号 p. 613-616
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    名古屋市南部に点在する都市計画公園・緑地の二次林の管理指針を策定することを目的として, 二次林を有する緑地公園の樹木現存量と土壌条件の関係を調査した。調査地点は16ケ所で, それぞれ4~23種の樹木があり, 合計46種で, 平均11.1種であった。調査地点間の樹種構成の類似度は平均40%であり, 常緑広葉樹のピサカキ・シャシャンボはほとんどの調査区で出現した。地形的条件・植生構造・土壌条件の調査・測定項目について, クラスター分析したところ, 下層土の礫含量一樹種多様性-樹種数の3者の間に高い近似性が認められ, 下層土の礫含量が多いほど樹種の多様性が高くなることが認められた。
  • 中尾 昌弘, 服部 保
    1998 年 62 巻 5 号 p. 617-620
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 三田市フラワ-タウンにおいて戸建て住宅の庭園 (住宅庭園) の特色を把握するため, 植栽された植物 (庭園植物) の種組成による庭園の類型化を行った。その結果, 住宅庭園の主庭は「和風庭園」,「洋風庭園」,「シバ庭園」,「その他庭園」の4つに類型化され, そのうち「和風庭園」はさらに4つのタイプに細分された。また各庭園タイプは種組成のほかに主庭の庭園植物の平均種数, 平均個体数, 生活形組成などに違いが認められた。各庭園タイプごとの主庭と側庭, 勝手回りの庭園植物の平均種数平均個体数の間には, それぞれ相関が認められた。一方, 庭園植物の生活形組成は主庭と側庭勝手回りでは異なった特徴を示した。
  • 全 現美, 鳴海 邦碩
    1998 年 62 巻 5 号 p. 621-626
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本論文は, 韓国都市部の洋式戸建て住宅における屋外空間の利用実態と将来の整備に対する居住者の意向をアンケート調査によって明らかにしたものである。韓国では, 住宅敷地における屋外空間を指す言葉として〈マダン〉があるが, 一方で〈庭〉という言葉も用いられつつある。新しいタイプの洋式住宅ではそれらの用いられ方がどのようになっているのかとともに, 屋外空間の実態とその変化の傾向を分析した。その結果, 従来, マダンとして日常生活における作業空間に位置づけられていた屋外空間が, 植栽空間として利用される傾向が強くなり, そのことが個人の鑑賞や趣味だけでなく, 他人に見せるための空間へと変化していることが明らかになった。
  • 山本 真理, 下村 彰男, 小野 良平, 熊谷 洋一
    1998 年 62 巻 5 号 p. 627-630
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 多様な利用者に対応した公園計画に資するために, 年齢層別に公園の利用形態と空間選択の要因を明らかにすることを目的とした。分析にあたっては, 同一敷地内に空間形態の異なる複数の庭園をもつ新宿御苑を対象とし, 現地アンケートによって来園者の利用 (年齢, 居住地グループ構成, 利用頻度, 利用時間, 来園目的, 利用空間, 活動内容) に関する調査を行った。そしてクロス集計分析により, 公園の利用形態と年齢層との関係を明らかにした。また空間選択の要因を, 多変量解析 (数量化11類) を用いて, 年齢層, グループ構成, 利用頻度, 活動内容との関連性から総合的に検討.把握した。
  • 赤澤 宏樹, 中瀬 勲
    1998 年 62 巻 5 号 p. 631-634
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    兵庫県の南芦屋浜団地においてアンケート調査を実施し, 入居前の緑化活動への参加から現在の緑化活動によるコミュニティ形成に至る構造について, 共分散構造分析により解析を行った。その結果, 高齢者において緑化活動によるコミュニティ形成が強く認められ, その傾向は活動の場が公的なものに移行するにつれて強くなることがわかった。また, 楽農講座からは活動からの直接のつながりだけでなく活動による知りあいの発生からも, 入居後の公的空間での緑化活動へのつながりが認められた。以上の結果から, 高齢者のコミュニティ形成に対する公的空間での緑化活動の有効性と, それを補う媒介イベントの必要性を論じた。
  • 山田 宏之, 佐藤 忠継, 澤田 正樹, 岩崎 哲也, 角田 里美, 養父 志乃夫
    1998 年 62 巻 5 号 p. 635-638
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    1997年の夏季, 日中に, 東京都稲城市の環境共生住宅団地「長峰・杜の一番街~五番街」において日中の気温分布, 地表面温度分布, 温熱環境の測定を実施した。その結果, 団地敷地内は周囲の道路部分よりも低気温であること, 芝生地や樹林地のような植物被覆面の温度は, アスファルトのような人工物よりも低温ではあるが, 直接日射が当たる部分では気温よりも高温となること, 温熱環境を表すWBGT指数は地表面温度を反映した値を示すことなどが把握された。また, 植物被覆面の温度は日射が遮られると速やかに低下し, 気温よりも低温となることから, 日陰の植被面が大きいことが熱環境改善のために効果的であることが示された。
  • 下村 泰彦, 廣野 慎, 山本 聡, 増田 昇
    1998 年 62 巻 5 号 p. 639-642
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 大阪市の都心業務地区で緑が集積して存在することによる環境保全に係わる効果を微気象, 鳥類出現, 景観評価の視点から, 緑の集積度 (街路上での天空状況, 100m圏域内での緑被率) が異なる4地区を対象に比較考察した。結果, 微気象に関する気温では8月測定から緑の集積度が高い今橋・安土両地区の方が全時間帯で0.6~27℃気温上昇が抑制され, 12月測定では16, 17時台で0.2~1.2℃気温低減が抑制されること。鳥類出現では今橋地区 (7種97羽) が種数・個体数共に最多であること。景観評価では『ゆとり』『広がり』『開放感』等の空間量や『親しみ』『美しさ』等の修景面での評価が有意に高いこと等, 緑の集積による効果が確認できた。
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