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佐々木 邦博
1983 年 47 巻 5 号 p.
1-6
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
ルイ14世の統治開始後に, ヴェルサイユにおいて最初に創造されたのは庭園である. 大祝宴が開催され, ルイ14世を中心としたヒエラルキーが貫徹された世界が一時的に現出された. その後この世界の実体化が計られ, 宮廷がヴェルサイユに居を定める時にこの動きは完了する. 庭園はこの世界を現出する手段である祝宴の舞台としての機能を喪失し, その世界の一部として絶対主義を象徴する構造を強調する場へと質的転換をとげるのである.
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丸山 宏
1983 年 47 巻 5 号 p.
7-12
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
二明治19年12月25日の府告示により成立する円山公園は, 八坂神社, 安養寺, 長楽寺, 双林寺の各境内地の上地にその端を発している. 社寺境内地処分は, 地組改正を念頭においた近代的土地所有制の確立とも関連する政策である. 本稿では社寺境内地の解体解程で, 円山公園が誕生する具体的な経緯を論じた. 特に円山公園成立前にその一部が名区であったこと, また社寺境内外区画の決定の際に名所地が設置されていたことは新しい知見である.
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白幡 洋三郎
1983 年 47 巻 5 号 p.
13-18
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
19世紀半ばから, ドイツの造園界は大きな移行期を経験する. この移行期とは, 造園様式上では風景式造園から風景式と幾何学式 (ないしは建築式) との折衷様式への移行期を意味し, また造園家の活動舞台の面からは, 宮廷造園から公共造園への移行開始の時期を意味する. この二つの面における移行期の代表的造園家であるグスタフ3マイヤーの活動を通じて, 19世紀半ばのドイツ造園界の特徴を述べる.
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赤坂 信
1983 年 47 巻 5 号 p.
19-24
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
ナポレオン戦争に伴う外国勢力の圧力に対するナショナリズムを背景に, フォアヘアはドイツ諸那の統一と国土美化を訴え, 19世紀前半において多くの芝持を得る. 彼は道路網の整備, 公衆衛生的な啓蒙, 経済 (農業) の振興等による国土美化 (改善1を提唱する. 支配者権威者) による国上美化の実現を考えるフォアヘアは後の市民による美化運動には否定的であった. 果して支配者の交代によってフォアヘアらの活動は衰退していく.
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本中 真
1983 年 47 巻 5 号 p.
25-30
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
寝殿造住宅庭園における眺望行為の特性分析の一環として, 本報告では亀山殿をとりあげた. まず殿舎配置と庭園を推定復原し, 建物, 庭園の2カテゴリーに即して分析を行った. その結果 “風景の特殊化” の技法が欠如し, 眺望景観か儀式等の人事の背景的機能しかもたないという寝殿造住宅庭園における眺望行為の特性を例証すると同時に, 眺望景観が純然たる鑑賞にのみ機能する可能性を内在させていることか明らかとなった.
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柳 五郎
1983 年 47 巻 5 号 p.
31-36
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
公園営造においては植栽工事が重要な役割を果している. 植栽工事の設計費用は樹木費, 植付材料費, 人件費から構成される. 明治初期, 横浜彼我公園では樹木費を中心とした設計に始まった. 公園営造では植栽工事一式における樹木費, さらに植木職人による請負見積方式では植付材料費を, そして震災復興事業以後, 東京市の直営積算方式では人件費をもってその取扱の変遷を見た. これは植木職の役割を高く評価することにあった.
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渡辺 達三, 恒川 篤史
1983 年 47 巻 5 号 p.
37-42
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
文部省指定の名勝の実態については, その内容的な複雑さもあって, 必ずしも一般に周知されているとはいえない現状にある。筆者らは名勝の文化財における位置づけについて考察するとともに, 文化庁編集の「史跡名勝天然記念物指定目録」をもとに, 多少の補足的な調査を加えながら, 指定されている全ての名勝について, その地域, 種類, 指定内容, 指定年別の実態の要因にかかわる数嫉的な把握を行った.
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特に園路の曲率分析と庭園形式について
進士 五十八, 鈴木 誠, 青木 善二
1983 年 47 巻 5 号 p.
43-48
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
日本の史的庭園の空間構造の, 特に平面的なパターン構成の特徴表現である園路について分析を試みた。日本式庭園の特徴である非幾何学的園路形態の特性把握の方法として, 園路を単位曲率の連続的集合と考え,(1) 庭園面積,(2) 平均曲率半径,(3) 平均円孤長を図上で計測し, それぞれの相関々係を求めた。その結果,(1) と (2) の関係では凡そ3つの庭園形式に類型化ができること,(2) と (3) の関係ではY=-0.42+1.92xに回帰することがわかった。
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飛田 範夫
1983 年 47 巻 5 号 p.
49-54
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
作庭に関する江戸時代までの造園古書の書名, 著者, 成立年代及び内容等について調べた結果, 少なくとも30種類程あることが判明した。最古のものはやはり『作庭記』だが,『山水並野形図』に続く『嵯峨流庭古法秘伝之書』には多くの異本があり, 江戸時代の作庭書にも強い影響を与えているようである。江戸時代に於いては, それに対抗する説を唱えた『築山根元書』も重要であろう。『築山庭造伝 (前後)』のユニークさも見逃せないものである。
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「栄花物語」(2)
河原 武敏
1983 年 47 巻 5 号 p.
55-60
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
藤原道長の栄華を語る『栄花物語』40巻のうち, 今回研究 (2) は高陽院・法成寺など9庭園24文を抽出し, 修景・供用・管理の面から池泉・釣殿・渡殿・築山・植栽など修景上の新しい試み, 駒競べ・鶏合せなど南庭に於ける催物を中心とした庭園生活や落慶法要に用いられた宝樹・水鳥・蓮花・宝船など造り物の庭園効果, 手入れや前栽堀りなど庭園維持に関する事項について整理分析し考察を加えた。
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木村 三郎
1983 年 47 巻 5 号 p.
61-66
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
本題の園池という用語もまた一つの歴史性をもつ。園池がわが国の占文書『懐風藻』(751),『経国集』(827),『江吏部集』(1010) などに出てくる。ところで, わか国の古い『歴史書』の中で凡そ120年 (768-884) 間に亘って役所名として園池司の存在することか明白である。これは『正史』のほかにも『大金令』(701) や「令義解」(833)・「令集解」(868) などの律令関係文献にも見られる。しかも, 最近平城京発掘調査の過程で園池司の文字のある木簡も発見されたという。これまでそれかあまり言及されてはいない。しかし, それはわか国の造園史ヒ看過出来ない重要な意味をもっているので, いささか, これを究明致したいと思う。
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小林 章, 金井 格
1983 年 47 巻 5 号 p.
67-72
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
本論は造園材料としての那智砂利 (那智黒, 那智白, 御浜) の品質特性を研究した。方法:(1) 市場品の那智砂利の物理性状をJISの骨材の試験方法により求める。(2) 七里御浜の天然のと那智砂利の粒度を対比する。(3) 御浜における那智黒・那智白に相当する石質の礫の含有率を求める。結果: 市場品の那智砂利の物理性状と, 七里御浜の天然の礫からの石質と粒径による市場品の選別の仕方が明らかにされた。
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矢橋 農吾, 金光 達太郎, 佐久間 護
1983 年 47 巻 5 号 p.
73-78
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
前報では, 現地マサ土の基本的性質特に, 土壌侵食に関係する物理量を求め, 法面侵食や崩壊との関連性を明らかにした。さらに, 法面造成に伴う試験施工を実施し, その結果について検討した。本報では, 法面の崩壊機構に重要な示唆を与えるスレーキングについて多面的に検討し, スレーク時間やスレーク後の粒度組成に供試体作成時の含水比・密度や試験時の含水比などが少なからず影響していることを明らかにした。
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岡本 是明, 敷根 俊一, 笹木 英次
1983 年 47 巻 5 号 p.
79-84
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
真砂土に土壌改良材 (ピートモース, 真珠岩ハーライト, 黒曜石パーライト) を混入して, 保水の増加, 固相率と土壌硬度の改善, さらにそれにクスノキポット苗を植え1年6ヶ月にわたる生育等を調査した, その結果, 保水力は真珠岩パーライトか他の2種に比べ抜群の成績を示し, 樹木生育も同じ傾向になったか, 3つの物理性の値と生育量の関係を重回帰分析で求めたところ, 生育を左右する最大要因は土壌硬度という結果を得た。
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長谷川 秀三, 田畑 衛, 小澤 徹三, 佐藤 吉之
1983 年 47 巻 5 号 p.
85-88
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
乱れた土層である故に, 在来法では不可能であった造成緑化地の樹木周囲における硬さの分布を, 三次元的に細かく把握することを試みた。すなわち, 一点の測定で硬さの垂直 (2次元) 分布が得られる長谷川式土壌貫入計により, 樹木 (ケヤキ) 周辺で放射状に多点 (面的) 測定を行ない, コンピュータ処理により, 土壌の硬さの三次元 (断層) 情報を得ることができた。
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井手 任, 根本 泰人, 井手 久登
1983 年 47 巻 5 号 p.
89-94
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
近年の街路樹管理において, 樹種の選定は厳しい都市環境に対する適応力や維持管理の容易さを根拠に行われる傾向があり, 植栽樹種の単一化が進んでいる。本研究では, 横浜市の街路樹に関する資料を基に, 街路樹をよりマクロな視点から管理するために, 生態学的多様性の概念を用いて考察した。その結果, 多様性・均等性・分布状態・樹齢の分布等を指標として, 街路樹を管理することの必要性が明らかになった。
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沖中 健, 菅原 恩, 福原 秀夫
1983 年 47 巻 5 号 p.
95-100
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
緑化樹の潮風害の研究を行う目的で, 千葉県の海浜埋立地の街路樹の調査を行った。調査対象には, 海風とほぼ同方向に, 等間隔に並んだPinustunbergiiとMirica rubraを選んだ。周辺の気象状態や土壌を調査すると共に, 調査対象樹の樹高・活力度・樹冠の偏形度や樹葉の塩分量の計測を行い, その結果海岸線からの距離や, P. tunbergiiとM.rubraの間の潮風害の差を知ることが出来た。
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倉本 宣
1983 年 47 巻 5 号 p.
101-105
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
都市公園内のニリンソウ自生地の保全計画策定のため, その生態調査を行った。ニリンソウは春植物で, 野外の分布及び被陰実験によれば, その最小受光量は相対照度約5%だった。植生遷移に伴って常緑樹が優占した林分では, ニリンソウは林内に分布できず, 林縁に分布を限られるようになっていた。これらの結果から, 自生地の保全のため, 常緑樹の除伐を行うことを提案した。
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石井 芳夫
1983 年 47 巻 5 号 p.
106-111
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
ほ場試験で樹木5種を植栽し, 活着後に下草としてコウライシバを植栽した。その結果, コウライシバが樹木の生育に著しい影響を及ぼすことが認められた。
さらに, 地被植物の樹木の生育に及ぼす影響のちかいをみるために, 数種の地被植物を下草として植栽した.その結果, 地被植物のうちコウライシバが特に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。
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北村 文雄, 堀内 孝雄
1983 年 47 巻 5 号 p.
112-116
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
サクラ類には多くの種・変種・品種があるが, 寒冷地に適するものは多いとはいえず, 北日本に植栽する場合に種類の選択が問題となる。本研究はサクラ類の植栽利用に関する研究の一環として, 寒冷地における植栽利用の基礎になるサクラ類の耐寒性について, 実験的に追求したものである。サクラ類の枝を低温処理し, その後の生育状態の調査をもとに耐寒性の分類を行い。その適合性の検討を行った結果を報告している。サクラ類には多くの種・変種・品種があるが, 寒冷地に適するものは多いとはいえず, 北日本に植栽する場合に種類の選択が問題となる。本研究はサクラ類の植栽利用に関する研究の一環として, 寒冷地における植栽利用の基礎になるサクラ類の耐寒性について, 実験的に追求したものである。サクラ類の枝を低温処理し, その後の生育状態の調査をもとに耐寒性の分類を行い。その適合性の検討を行った結果を報告している。
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増田 拓朗, 古家 徹, 吉田 重幸
1983 年 47 巻 5 号 p.
117-122
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
ジャノヒゲの綾性種であるチャボリュウノヒゲを用いて踏圧実験を行った。実験区は無踏圧, 3日に1回踏圧, 1日1回踏圧, 1日3回踏圧, 1日10回踏圧の5段階に分けて設定した。その結果, 踏圧頻度の高い区ほど土壌物理性が悪化し, チャボリュウノヒゲの生育も劣った。1日3回の踏圧までは, 地上部の損傷もあまり大きくなく, 地被の状態を保つが, 1日10回の踏圧では損傷が著しく, 地被を形成することが困難である。
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吉田 博宣, 小橋 澄治, 吉田 鐵也
1983 年 47 巻 5 号 p.
123-128
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
大阪万博記念公園の4個所の芝生地について春秋2回, 利用実態調査を行った。その結果から, 利用密度, 1人あたり利用面積, 平面図上に表示した利用密度分布および利用形態分布等により, 実態的に利用状況を3段階に判定し, それをもとに, 過密, 標準, 適正の利用密度基準をそれぞれ, 1,000人/ha, 400~1,000人/ha, および, 100~400人/haと仮説的に提示した。一方, 赤外線写真より芝生の活力度を推定し, 今後の調査の参考とした。
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前中 久行
1983 年 47 巻 5 号 p.
129-134
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
生態的収容力算定の方法を提示し, その前提仮説を検証した。ティフトン芝の踏みつけによる緑被率低下は指数関数に, 踏みつけ停止後の回復生長はロジスチック生長に従った。この両関数関係を用いて計算した結果, 緑被率は踏みつけ回数に対して直線関係で近似でき, 利用圧と緑被率との間の特定の数式関係の存在を前提とする芝生草地の適正収容力算定方法の妥当性が検証された。
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公園芝生地の生育, 利用, 養生管理実態について
近藤 三雄
1983 年 47 巻 5 号 p.
135-140
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
全国93箇所の公園芝生地について, いかなる養生管理の下で供用せられ, どのような利用状態にあり, 現状の芝生の生育状態はどうなっているのかを体系的に把握することを目的にアンケート調査を行った。その結果, 大半の芝生地において過剰利用と養生, 管理が十分でないため芝生が損耗しており, 今後, 芝生の芽出しの時期で, しかも利用者が最も集中する4, 5月の適正利用を図ることが芝生保護上, 何よりも必要であることが判明した。
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稲葉 孝己, 竹村 文男, 香川 信子
1983 年 47 巻 5 号 p.
141-146
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
樹林のもつ微気象調節機能を知るために, 小規模な樹木植栽地を対象として, 夏季間微気象の総合的な観測を実施した。観測結果から, 林冠の内と外では日射量の差異から温湿度だけでなく, 地表面の土壌水分の変動にも差異か生じ, 風速も林冠内では相当減速される傾向かあった。林冠内の垂直方向についても, 日射量や気温の変動に差異かあり, 風速の変動には樹冠の形態に起因する特徴的な差異かみられた。
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清水 昇, 鈴木 誠
1983 年 47 巻 5 号 p.
147-152
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
より良い学校造園のための樹木は, どの様なものであるか。埼玉県内の高校生を対象に知っている樹木を調査し, 更にそれらの樹木を植物について詳しい者を対象としたイメージ調査により分析した。その結果, 学校造園に適すると思われる「屋敷周辺の樹木」,「花木園・庭園の樹木」, その他の分類をした。また学校造園に用いる樹木としての条件検討等を行い調査結果の妥当性をみた。
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吉田 鐵也, 北口 照美
1983 年 47 巻 5 号 p.
153-158
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
中層フラットの分譲住宅における住棟まわりのオープンスペースは, その所有が共有形態であるために, 前回報告した賃貸住宅と違った様態をみせる。住民から成る管理組合の成熟度が場の行動を規定する一方で, 初期条件としての設計か規定する物理的な空間条件の意味も大きい。住棟間の空間の区分や, プレイロットの配置と住民の行動との間には一定の関係性が認められる。
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三沢 彰, 伊藤 登
1983 年 47 巻 5 号 p.
159-164
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
環境施設帯の主たる目的は, 道路から沿道空間への環境インパクトを緩和することにあるが, 沿道住民はそれをどのようにとらえているかを知るために, 現実に道路公害を受けている住民を対象に意識調査を実施した。その結果, 環境施設帯植栽の効果としては物理的機能よりも代償機能を認める人の方が多かった。この植栽計画にあたっては, このような修景効果を含め代償機能に充分留意することが重要であると考察された。
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久保 貞, 中瀬 勲, 安部 大就, 上甫木 昭春, 伊藤 康則, 呉 明雲
1983 年 47 巻 5 号 p.
165-170
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
淀川河川公園には種々のタイプの地区が存在する。本研究では, 周辺環境および整備内容が相違する大塚, 城北, 海老江の3地区でインタビュー調査をし, 利用者特性および利用者の景観に対する諸反応データを得た。
このデータに基づいて解析した結果, 地区毎での利用者の景観認識構造を把握すると共に, 河川公園での景観イメージに関する基礎的構造を理解した。これは今後の河川公園整備に大切な示唆を与えるものと考える。
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角 彬壽, 山本 浩介
1983 年 47 巻 5 号 p.
171-176
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
まとまった居住区域を特徴づける風景の保存に対する要請は多く見られる。その区域を特徴づける風景単位の認知のされ方を区域内に長く居住する被験者と区域を客観化して認知する被験者とを選び, 認知の相違を明らかにする。地区内居住者群の風景認知は内面的評価による、一方非居住者は自己の社会的役割から風景認知を行う傾向が高いことか示された。風景保存に居住年数と社会的役割が強く作用することを明らかにする。
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久保 貞, 呉 明雲, 安部 大就, 中瀬 勲, 上甫木 昭春, 伊藤 康則
1983 年 47 巻 5 号 p.
177-182
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
都市の「らしさ」および「緑地景観の良好さ」とは何であるかを, 人間の反応行動と場の相互依存関係を基調に解明することが本研究の目的である。
そのためケースとして神戸市内から5住宅地を抽出し, 居住者に対して住宅地の人間をも含めた全体景観や住みごこち等についてインタビュー調査した。その結果を相関分析法の一つである直接バリマノクス法を通じて解析した。
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久保 貞, 中野 賢治, 安部 大就
1983 年 47 巻 5 号 p.
183-188
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
都市の水景観に関する人々の反応行動を主として物理距離との関係で検討した。尼崎市で行った調査事例を用い一定の領域単位で反応率を求め, 反応等高線図を作成した, そして対象の河川・水路に関して認知度・接触度の概念および領域に単位の設定を変化させて空間的ポテンシャルを読みとった。この過程のもとに水空間を配慮した都市の空間構成や骨格および距離の大きさなどが理解でき, 都市の水景観の諸特性を導く事ができた。
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久保 貞, 上甫木 昭春, 安部 大就, 中瀬 勲, 伊藤 康則, 和田 昭太
1983 年 47 巻 5 号 p.
189-194
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
低層集合住宅地において, 良好な街並み景観を創出するためには, 街並み景観に対する居住者の認識構造を把握する必要かある。本研究では, 低層集合住宅地の街並み景観に対する居住者の認識構造を, 情緒的語句 (形容詞対) による意味構造の把握および街並み景観を構成する諸要素に対する認識構造の把握の両面から検討し, さらに両者の関連性を明らかにした。
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薩川 明世, 高原 榮重
1983 年 47 巻 5 号 p.
195-200
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
緑化木を自然樹形で成長させる場合, その樹木が10~20年先にどのような形態を備えるに至るかを, 樹種別に, 計量的に予測する手法を追求したものである。
研究内容は, 樹形を決定する要因として11因子を選び, これをパラメーターとする樹形シミュレーションモデルを造り, 樹種別に各因子を実測し, これをモデルに挿入してグラフイックディスプレーしたものである。むすびとして, 若干の考察を加えた。
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丸田 頼一, 島田 正文, 阿部 邦夫
1983 年 47 巻 5 号 p.
201-206
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
都市景観を構成する緑の配置のあり方に関して, 視覚的アプローチから検討したものである。特に, 市街地の中景の対象物となる高木等の視覚的影響範囲を把握するために, 公園等4箇所のモデル地区を選び踏査した結果概ね200~250mが, これら緑の視覚的影響範囲としてとらえられた。さらに, この結果に加え, 以前行われた諸文献との対応性を図り, 今後の都市景観計画との関連性において, 緑の配置方法を論及したものてある。
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久保 貞, 安部 大就, 宮崎 研一, 中瀬 勲, 上甫木 昭春, 伊藤 康則
1983 年 47 巻 5 号 p.
207-212
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
大阪市を対象に, 都市の自然的要素を中心とした緑地景観形成及び, 公園緑地を中心としたオープンスペース整備ポテンシャルを相対的に把握することにより, 大都市における両者の整備の方向づけを検討する。本研究においては, 小学校区を分析単位として建物系・非建物系用途面積等の土地利用データを用いて主成分分析を行い類型化した土地利用同質地区と, 行動・景観・緑地価という概念とを併わせて得られた考察について言及する。
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熊谷 洋一
1983 年 47 巻 5 号 p.
213-218
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
景観予測技法としてのカラービデオシステムの開発を行った。従来のモノクロシステムやコンピュータグラフィックス等の技法と比較し, 当該システムの特長と有効性を検討した。その結果, RGB方式による景観合成の有効性と外部同期型マイコンによる対話型の予測システムとしての適用性が確かめられた。東大富士演習林の景観を事例として予測を行い, システムの実用性を検討すると共に今後の研究の方向と課題について整理した。
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岸塚 正昭, 金井 格
1983 年 47 巻 5 号 p.
219-224
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
歩行動線を実験法で例示し, 併せて既報で提案した園路線形に関する曲率式を検証する。このため目標点の位置と, 到達時における被験者の身体の向きを条件設定し, 斜め写真画像に記録された歩行軌跡を実平面図として解析する。この足跡図の曲線を, 曲率式の適用によるモデル線形と対比した結果, 両者は大むね類似しており, 今後の図形シミュレーションの開発研究に対し本式は, 有効な数学モデルとなり得ることが明らかにされた。
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藤井 英二郎
1983 年 47 巻 5 号 p.
225-230
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
アメリカ合衆国北東部の住宅地の庭の形態と意味を考察するとともに, 日本の庭の特性を考察するための比較対象とすることを目的としている。日本の庭は方位に強く規定されているのに対して, 道路によって規定されており, 道路に面した表庭と, 横庭, 裏庭に区分できる。庭の囲いは表庭側にはないか, あっても開放的なものであり, 裏庭側はより閉鎖的である。植栽は, 芝生の広さ, 少ない外周植栽, 腰植によって特徴づけられる。
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糸賀 黎, 矢澤 容子
1983 年 47 巻 5 号 p.
231-236
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
かっての農村集落において, 緑 (山) 一水の物的環境資源が, 信仰系を中心に生活一生産系と密接な関係を持ち, 使いながら守るという多機能性・複起源性を持っていたことを明らかにする。今日の農村近代化が, このようなシステムを崩壊させ, 緑や水の単一機能化をもたらし, ここから物心両面にわたる環境破壊が起る。農村の伝統的な環境維持システムを再評価し, 新たな活性化の中で, 緑地環境保全方策の必要性について論ずる。
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斉藤 一雄
1983 年 47 巻 5 号 p.
237-242
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
農山村は, 地形の変化や自然の豊かさという点で, にわ構成のひとつのルーツをなしていて, 地域と農家の庭との関連がきわめて密接である。研究対象は利根川の源流に当る沼田市大竹, 篠尾の二集落である。庭は地形によって囲われたところは家の囲いが稀薄で地域の景と密接にかかわり合う。その中で, 地域の環境システムと庭との関係が最もすぐれた典型を発見し, 従来の多くの閉鎖的庭園に対する開放指向について分析した。
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宮崎 元夫, 田中 史郎
1983 年 47 巻 5 号 p.
243-246
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
1977・82年に焼津市で実施した実態調査にもとづき, ゲートボール活動のスタイルの変化と, これに対応するコート獲得のあり方を分析したものである。初めは, コートの重複利用が一般的であるか, 活動の活発化とともに, 活動組織の再編とコートの整備・建設へと向う。その際, コート確保のあり方は, 活動スタイルと相互規定的であるが, 同時に地域の空間条件からも一定の影響をうける。
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田中 史郎
1983 年 47 巻 5 号 p.
247-250
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
1982年埼玉県で実施した実態調査に基づき, ゲートボール活動の実態と, そのコートの利用状況を分析したものである。ゲートボールは, 老人クラブの活動のひとつとして, 強い行政指導をうけて発足したレクリエーション活動であり, そのコート獲得方法は地域空間への一方的な侵入が特徴であり, 地域の空間条件のちがいが利用形態のちかいとなってあらわれる。
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堀 透, 藤井 英二郎, 安蒜 俊比古, 浅野 二郎
1983 年 47 巻 5 号 p.
251-256
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
先の研究報告「配植計画に関する基礎的研究単木に対する視覚バターンの解析」で報告した注視点移動パターンを導く要因は何かについて, ヒマラヤスギの形態的要因に絞って解析を試みた。枝彙密度の異なるヒマラヤスギと形態的要素を純粋に示すものとしての図形に対し実験を行ない, その結果枝葉密度か疎なほど垂直性の強いパターンとなり, 密なほど垂直性の弱いバターンとなる傾向がみられ, 幹の見え方に関係することがわかった。
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倉本 宣
1983 年 47 巻 5 号 p.
257-262
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
多摩川河辺植物群落の河川敷横断面方向の分布を多摩川河川敷現存植生図と横断面測量図との対比によって検討した。冠水頻度を反映する冠水指数を考案し, これに対する群落の分布図を描き, 分布中心を算出した。この分布中心の位置は次の三つのまとまりを持っていた。(1) 低水敷 (タウコキクラスの群落, ナガバギシキシーギシギシ群集など)(2) 高水敷 (ヨモギクラスの群落, オギ群集など)(3) 堤防上部 (スズメノヤリーチガヤ群落など)
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藤原 宣夫, 田代 順孝
1983 年 47 巻 5 号 p.
263-268
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
好ましい道路植栽の条件を明らかにするため, 実際の道路植栽を対象に好ましさの評価実験を行い, 好ましさの評価値と植栽の諸物理量との重回帰分析を行った。その結果, 好ましさを高めるためには, キャノピー率, スライド緑量, 植栽の層数, 歩道幅員をプラスの方向に, 植栽の樹種数, 低木クローネ幅をマイナスの方向に操作すればよいことが示された。
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宮城 俊作
1983 年 47 巻 5 号 p.
269-274
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
町家型の住宅が集合している京都市内の街区を事例として, 街区内の空地のあり方とそれに関係する物理的環境について調査した。そして, 街区内の空地と居住者の居住活動との相圧関係をオープンスペースシステムと考え, その「構造」とそれが変動する状況について仮説的に述べた。
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浅川 昭一郎, 小林 昭裕
1983 年 47 巻 5 号 p.
275-280
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
近隣公園整備の基礎的資料を得る目的で, 地域住民による近隣公園の評価を札幌市における事例によって分析した。その結果, 公園よりおよそ500mの範囲は評価圏と考えてよく, 非利用層に比べて利用層の評価が高いことが示された。機能評価では「子供の遊び」「戸外運動」「散歩や休養」など利用に関する評価か高く, 近隣公園整備の妥当性を裏づけていたが, 今後はさらに緑や景観に対する配慮も求められていると考える。
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宮本 克己
1983 年 47 巻 5 号 p.
281-285
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
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市街地における緑地環境は地域的にさまざまな様相を呈している。この実態を市街化過程との関連でとらえるべく, 東京効外にかつて指定された緑地地域のその後の変遷について, 主としてその解除に際していかなる配慮がなされたか, また解除後の市街地の形成過程においていかなる緑地環境か形成されてきたか, 二, 三の事例を検討しながら緑地環境形成にかかわる課題について整理することを試みたものである。
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蓑茂 寿太郎
1983 年 47 巻 5 号 p.
286-291
発行日: 1983/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
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公園整備に関する高い世論か続く中で, 都市の公園緑地整備の総合化を, 都市美に視点を当てて図ろうとするのか, 近年のわか国における一つの傾向である。本論では都市公園の配置と都市美とのかかわりをまず考察し, 次いでその汎用性かとりわけ高い小公園に関連する都市美構成事項の分析を, 東京・世田谷に分布する公園を対象として行ない, 都市美計画における小公園配置のあり方を論じた。
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