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赤坂 信
1985 年 49 巻 5 号 p.
1-6
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
レンネが、どのように) 都市建設 (計画月に造園家としてかかわっていたかという点を中心に考察する。都市の拡張か小規模にとどまっていた状況では、旧市縁辺部の開発整備 (装飾と美化) 計画か宮廷 (国) の手で行われていた。レンネの没後、1870年頃からベルリン市の部局に公園局が生まれ、公園行政の歴史が始まる。レンネ時代の計画主体は増大する都市問題に直面することによって国 (宮廷) から自治体へと移行する兆をみせる。
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白幡 洋三郎
1985 年 49 巻 5 号 p.
7-12
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
19世紀初頭からドイツ諸都市に公園が誕生し始める。このときドイツにはすでに公園設置の理念が確立していた。そのひとつが、ヒルシュフェルトのものである。彼は民衆のための造園施設が民衆の精神にとっても、身体にとっても重要であると説いた人物である。イギリス風景式庭園、フランス幾何学式庭園への評価を含め、彼の造園論がどのようなものであったかをたどることによって、どのような造園施設が彼の理想であったかを述べる。
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柳 五郎
1985 年 49 巻 5 号 p.
13-18
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
一般火除地は、幕藩時代より明治以後も引続いて存在し、官有地の地目にその名称を有するも、官省布達に明示されたものでなかった。しかし、明治政府は内政の強化と共に官の需要を民有地に求め、内務省か支配機構の拠点とした府県庁から、治安機構の警察署に付属して火除地を認めている。この官用火除地は、公共空地としての役割よりも、府県の地方税経済で維持される官用地としての性格か強かったものである。
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丸山 宏
1985 年 49 巻 5 号 p.
19-24
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
明治6年1月15日の公園布達以降、各府県で多くの公園か設置された. 都市の近代化にともない、大正8年には都市計画法か公布される. 布達以来、等閑の状態であった公園も整備する必要か生じ、内務省は大正8、10年に全国の公園実態調査を行った. 特に大正10年の項目は網羅的で、逆に地方に公園概念を示唆する効果もあった. この公園調査により京都では多くの公園か日露戦争記念、大典記念により創設されたことか理解される.
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永嶋 正信
1985 年 49 巻 5 号 p.
25-30
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
国立公園の指定後、県立公園の指定にとりかかれるよう1933年内務省は県に指令を発し国立公園の体系化を目標にしていたか果せず1957年になって達成された。1931~50年の20年間には風景の保護に関して、問題の期間が2回あった。1つは1931年国立公園法かできてから指定される1934年までと他の1つはi937~45年までの間である。前者は法律かできたが適用されず計画のみ発表されている。日光地城で関心をもち初めたのはさかのぼって1911年「日光山ヲ帝国公園ト為スノ請願」か提出されたときからと考えられる。外国からの観光団も増加し当時、わが国の観光収入もそれまでの最高となり、観光開発に関心が高まり、中禅寺湖遊覧飛行が行われ、金精峠に道路建設の計画、実地調査か行われている。各種交通機関によって浅草から日光湯元まで直通という画期的な到達性の改善がなされたが引続き開発の制限は厳しい上に自主的な保護の様子がみられた。後者は指定を受けた日光地域が国立公園として軌道にのらないうちに、利用は進んでいたか、戦時下で自然公園行政の空白化が景観保護には障害となっている。到達性の改善か風景利用の大衆化を進めるとともに、冬季スポ-ツの促進ともなり、地元は収入を意識した観光事業の開発に力点をおくようになった。
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大田 征六
1985 年 49 巻 5 号 p.
31-36
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
原始的石組は主に上古に発達した磐座、磐境的石組であり、その純粋な自然的形態と空間的配列のゆえに、後年の庭園石組の起源とされ、またその操作原理ともなっている。この原始的石組から配石に関する状態景制御モデルが特定出来る。状態景制御は造庭〈PLAN〉を方向づけ、またその過程に状態空間の動態が介入する.本論では状態景制御モテルとしてINRC群モデルを具体化した。
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外村 中
1985 年 49 巻 5 号 p.
37-42
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
明日香村、島ノ庄で発見された蘇我馬子の苑池遺構と考えられる方池のデザインの起源を解明する。従来、仏教起源説 (秋山日出雄氏)、道教神仙思想説 (田村剛氏) 等か発表されているか、儒教の礼制建築物・古墳等のデザインの研究により、この方池のデザインの起源か、古代中国の天円地方説に関連する土木設計技術にあると考えるに至った。
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小野 佐和子
1985 年 49 巻 5 号 p.
43-48
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
摂津池田の富裕商人稲束家の横丘山荘について、その植栽を、『稲束家日記』をもとに考察した。その結果、植栽年代、樹種、管理、利用の実態か明らかになった.さらに、山荘の植栽か風景の美しさを求めてなされ、そこに花、新緑、紅葉、寒林に対する好みか現われていること、また、山荘の植栽を含めた自然か、審美的愛翫物であると同時に、用材、燃料等の供給源てあり、農業的観察の対象であることを認めた。
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小野 健吉
1985 年 49 巻 5 号 p.
49-54
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
明治中期~昭和初期にかけて京都を中心に多岐にわたる分野で活躍した日本画家・神坂雪佳は、庭園にも関心を示し、設計にかかわった大橋氏松ヶ崎別邸 (無書庵) 庭園では雪佳らしい特色も出した庭園意匠を見せている。この時期、雪佳のほかに竹内栖鳳、橋本関雪らの画家も庭園に関心を持ち、自邸の庭園を作っている。そしてこれらの画家の庭園への関心が、この時期の京都の庭園の水準を引き上げる要因の一つであった。
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河原 武敏
1985 年 49 巻 5 号 p.
55-60
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
平安・鎌倉時代に於ける庭池技法の研究を補完するため、同時代の絵巻15から43場面を抽出し、寝殿造り系庭園の庭池・社寺境内池・僧房等の庭池・景勝地利用の庭池に分類、各々について造景技法・池辺建造物・その他を当時の作庭秘伝書てある『作庭記』及ひ『山水許野形図』と対照しつ・考察を加え、その技法と多彩な庭園生活の実態を明らかにした。
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浅野 二郎, 仲 隆裕, 安蒜 俊比古, 藤井 英二郎
1985 年 49 巻 5 号 p.
61-66
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
わび茶の創始期から、江戸中期までの間において発展・展開したわび茶に伴って、わび茶のための茶室に対応する茶庭とその植栽かどのように変遷したかを主として史料を用い明らかにするものである。即ち、はじめ茶庭は一木一草のない清浄の空間をよしとしたが、武家好みの茶の成立以後、茶庭は装飾性を帯び、植栽が取り入れられ、やがてその植栽技法か確立する段階を迎えることになる。このような経過を明らかにしようとするものである。
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木村 三郎
1985 年 49 巻 5 号 p.
67-72
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
枯山水という用語ほどわか国の庭苑手法を代表する歴史的用語は見当らない。今日まで造園史家が論及の対象としたのも当然であるが、これか単なる造園界のみにとどまらずわが国思想界における日本人的心情のあらわれを示す (わひ)(さび) さらに (幽玄)(余情) のような表現語としてもしばしば活用されていることに驚きを覚える。そこで改めて造園界における専用語としての枯山水の歴史的な推移をいささか究明して見たい。
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金 承煥, 糸賀 黎
1985 年 49 巻 5 号 p.
73-78
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
韓国の5つの都市を選び、2.737人を対象に自然環境保全意識調査を行った。自然保護活動には高い参加率を示したが、参加形態は受動的な姿勢であった。今後の自然保護活動参加に対しては高い参加意思を示し、政府の自然環境保全政策についても比較的高い信頼を示した。問題解決については政策・制度の補完・改善よりも国民意識の啓蒙・教育などの精神的な面を重視した。森林の使い方に対しては保全指向より開発指向が強かった。
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鈴木 誠, 進士 五十八, 木原 啓吉, 五十嵐 康之
1985 年 49 巻 5 号 p.
79-84
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
“景観” については町並み景観、歴史的景観、都市景観、自然景観等の用い方か一般化し、その社会的意味が多様化している。本研究ではその景観のもつ社会的意味を自治体の景観施策よりみた。具体的には、282の自治体から回収した調査票と、868点の添付資料をもとに、(1) 行政の部局体制、(2) 実施目的、(3) 景観行政の目標、(4) 景観に係わる行政対応、(5) 景観行政の動向、(6) 実施上の問題等を分析し、“景観” をとりまく社会状況を考察した。
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増田 拓朗, 渡辺 幸照, 吉田 重幸
1985 年 49 巻 5 号 p.
85-89
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
マサ土に2、3の土壤改良剤を混入し、保水性改善に及ぼす効果を検討した。実験にはクスノキ2年生ポット苗を用い、半年間生育後、夏期に灌水を停止し、生育状態および蒸発散量を調査した。シオレ始めるまでの日数とその間の蒸発散量 (pF1.8~3.8の土壤水分量に相当) の間には高い正の相関が認められ、パーライト混入の効果が最も大きかった。シオレ始めてから枯れるまでの日数は、有機質土壤改良剤混入区が長かった。
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岡本 是明
1985 年 49 巻 5 号 p.
90-95
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
保水性と土壌養分に欠けるマサ土に、真珠岩パーライトと牛糞バーク堆肥を10%と5%、20%と10%および40%と20%の3段階にて混入して、6種の地被植物ポット苗を植付け、1年間の植被率の増加と掘上げ時個体乾物重を測定した。その結果、どの種も改良材の添加量が多い区ほど生育や植被率の増加が著しく、生育の極大点は現れなかった。そして、植被率増加パターンには漸増型と初年度停滞・次年度増加型の2型か見られた。
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矢橋 晨吾, 金光 達太郎
1985 年 49 巻 5 号 p.
96-101
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
マサ土法面の安定化を図る一連の研究で、前報では、法面内における水分の動態をテンシオメータと測水管によって追跡し、地下水の流動状況を大略把握できた。本報では、測定器を大幅に増やして地下水および水分の測定を行って、崩壊機構との関係を詳細に検討した。さらに、植生が崩壊防止に与えている効果を明らかにするため、現地の植生法面において、ベーン勢断試験による強度定数を求め、裸地面との対比を行った。
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千葉 喬三
1985 年 49 巻 5 号 p.
102-107
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
数種の緑化樹木の苗木を用いて、摘葉と断根をそれぞれ単独で行った場合、さらに土壤条件の差を要因として加えた場合の樹木の水分動態に与える影響について検討した。摘葉と断根はともに水分動態に影響するが断根の方が顕著であった。灌水よりは土壤への有機物混入の方が水分動態には影響が大きかった。樹木の水分動態特性としては、蒸散速度ないしは樹液流速度の有用性が高いことがわかった。
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森本 幸裕
1985 年 49 巻 5 号 p.
108-113
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
緑化地の土壌活性度回復の指標として、土壌呼吸速度 (以下SR) の測定を、大規模土地造成後緑化された大阪万国博記念公園樹林地およびその比較対照地として自然性の高い常緑広葉樹林において行ない、SRの回復割合を診断し、単位面績あたりの断面積合計など林分生育状態とSRの相関を明らかにした。また、CO
2電極による、CO
2濃度計を利用した密閉濃度測定法によるSR測定方法を考案し、その実用性を確かめた。
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近藤 三雄, 福沢 千栄子, 高橋 新平
1985 年 49 巻 5 号 p.
114-119
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
冠水現象を被る恐れのある空間の緑化に適する植物を探るために緑化用植物40種類を実験材料として濁水・流水条件下における冠水抵抗性を判定するための実験を行った。その結果、チャボリュウノヒゲ、セキショウ、トクサは数ヶ月もの長い間、濁水の冠水条件下で生存する他、コウライシバ等の芝生用植物7種類、ツゲ等の灌木4種類、ヨシ等の水生植物3種類が65~85日間の水没に耐え、冠水地の有力な緑化用植物となることが判明した。
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浅野 義人
1985 年 49 巻 5 号 p.
120-124
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
寒冷地緑化用のマツ属13種について、冬期間における葉の含水率の推移、障害限界含水率、等を比較し、寒風害抵抗-非抵抗性種間の差異、抵抗性判別の指標としうるような因子などを明らかにしようとした。その結果、非抵抗性種ほど初冬、晩冬期の含水率が高いか、初冬から厳寒期にかけての低下が著しく、厳寒期の失いうる水分の割合も小さい傾向が認められた。10月の含水率を指標として、おおよその抵抗性を類推できるかもしれない。
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三沢 彰, 町田 千鶴
1985 年 49 巻 5 号 p.
125-130
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
緑地による大気浄化効果測定の一環として、気汚染物質のうち、特に固体汚染物質 (浮遊粉塵) に着目し、沿道植栽木の樹葉形態とその吸着・吸収特性について、Pb・Znの斡属をはじめ粉塵の定量分析、走査型電子顕微鏡による吸着のメカニズムの解明を試みた。その結果、粉塵の吸着・吸収特性はその樹葉形態によって相違することか認められた。このことは緩衝緑地帯などの植栽設計を行う上で有力な示唆を与えるものであろう。
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坂本 圭児, 吉田 博宣
1985 年 49 巻 5 号 p.
131-136
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
都市域の残存林は、貴重な自然的環境であり、文化的遺産でもある。京都市域の平地では、ニレ科の樹林 (木) か残存している。今回、調査区を定め、ニレ科樹林 (木) の分布と樹木の形状を調査し、同時に、古絵図、写真、地図などの歴史的資料から、その残存形態、推移に関し考察した。その結果、土地所有、利用形態による残存形態の相違がわかり、長期間にわたってニレ科の残存林 (木) が景観の主要な要素となっていることが推定された。
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養父 志乃夫, 重松 敏則, 高橋 理喜男
1985 年 49 巻 5 号 p.
137-142
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
森林公園等における野生草花型林床景観の形成手法を確立するため、キツネノカミソリ群落について調査した。その結果、当群落の成立に適した立地条件は、斜面下部の傾斜30°以下のケヤキ、コナラなどの落葉広葉樹林下と判断され、ヤマブキ、コクサギ、ニリンソウ等が指標植物となった。また、この群落の育成には、展葉期 (2~4月) の林床相対照度50%以上 (夏期: 約10%) に維持し、年1回7月上旬における競合植物の下刈りが必要とされた。
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前中 久行, 大窪 久美子
1985 年 49 巻 5 号 p.
143-148
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
大阪府下の主要な7公園で区域を定め、休日の芝生地の滞在者数調査を行なった。各公園の平均滞在者密度は7調査地中4ヶ所が約50人/haであった。これらの公園ではカゼクサ、シマスズメノヒエなど踏み跡植物が高頻度で出現した。この踏み跡植物を利用密度の指標として大阪府下の各地各種の草生地の構成種を位置づけ、レクリエーション利用と植生の関係を検討した。
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内田 均
1985 年 49 巻 5 号 p.
149-154
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
住宅庭園の植栽管理の実態をアンケート調査によって把握した。その結果、管理費用、管理工種別の作業頻度、管理主体、管理状態に対する住民の満足度などの実態、ならびにこれらを左右する要因など、種々の知見が得られた。特に年間当り勇定を2回、除草を8回、芝刈を6回等の管理作業か実施されるか、1m
2当りの管理費用が600円以上になると、仕上り状態もきれいで、管理状態に対する住民の満足度も高くなるという事実が判明した。
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岸塚 正昭, 熊谷 惟明, 金井 格
1985 年 49 巻 5 号 p.
155-160
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
ハンドヘルド・コンピュータによる解析を目的に、園路線形のモデル解として提案される非線型方程式系に対し、私案を含むいくつかの数値計算手法をプログラム化し、実行時間の短縮について工夫する。刻み幅を小さくすればルーフ演算か幾何級数的に増大する。本法は刻みを大きくするために、関数のふるまいから部分的に精査するアルゴリズムを創意した。実行結果の精度は、大型計算機の倍精度計算結果との対比により検証している。
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溝口 周道
1985 年 49 巻 5 号 p.
161-166
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
自然環境保全情報は、我国の自然環境テータベースとして期待されているが、情報の多目的利用を志向したデータベースとしてみた場合、現時点では、情報作成過程における問題をはらんでいる。そこで、哺乳類生息環境評価の事例に、自然環境保全情報と、新たな調査と既存の資料にもとついて目的的に作成した情報を適用し、その比較を通じて、情報作成過程における問題点の整理、考察を行った。
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石井 弘, 油井 正昭, 速水 厚志
1985 年 49 巻 5 号 p.
167-172
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
欧州各国の国立公園の設置状況について、その設置年、面積規模につき、また自然保護に関しては、国立公園との関係で整備状況、制度の種類などについて調査し、各国の実態を明らかにした。さらに各国の特徴を比較検討しながら、欧州の国立公園と自然保護の全体像を把握してその潮流を概観した。
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麻生 恵, 鈴木 忠義, 小林 正幸
1985 年 49 巻 5 号 p.
173-178
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
景観予測技法ないし造園設計技法としての、模型・モデルスコープ・撮影装置等を組合せたシステムを開発し、その有効性と実用化へ向けての課題を整理・検討した。さらに、新宿御苑の一部を異なるスケールで模型化し、本システムで得られた画像と実景画像との比較実験を行うことによって、本システムの画像特性によって規定される再現性や、模型のスケールにより規定される再現性を明らかにした。
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斎藤 馨, 古谷 勝則, 須走 重康
1985 年 49 巻 5 号 p.
179-184
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
本研究は景観評価にビデオ画像を用いることの有効性の検討を目的とした。稲も入工海浜公園の「滝」を評価対象とし、5段階の視距離別に現地評価アンケート、ビデオ及びスライドを用いた室内評価実験を行った。その結果・視覚情報が優位である視距離で、視覚情報と関係の深い評価言語を用いる場合には、ビデオ画像による評価は現地景観評価と良く一致する事が明らかとなった。
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中野 秀人, 幾志 新吉, 糸賀 黎
1985 年 49 巻 5 号 p.
185-190
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
1983年に噴火した三宅島の噴火前後の植生変化をランドサットデータから解析した。まず、季節変化を利用して噴火前の植生を分類し、次に、噴火による噴出物の分布域を検出し、さらに、その植生変化域を検出した.最後に、上記3つを重ね合わせて、噴出物別に各植生の変化を解析したものである。その結果は、本島の国立公園計画の基礎資料として、迅速にしかも時系列的に環境変化を把握する手法として有益なものである。
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永松 義博
1985 年 49 巻 5 号 p.
191-196
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
視覚障害者の公園利用について、具体的構想から、検討した。公園計画に当っては、視覚以外の「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」の感覚器官を総合的に活用すること、歩行の手かかり、空間理解の手かかりを多く与えること。盲人の特徴に配慮を加えた遊具の開発、又はスポーツ、レクリエーション施設の導入といった点を基本に、考えてみたものである。
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李 基徹
1985 年 49 巻 5 号 p.
197-202
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
既存アカマツ林の自然的構成要素とレクリエ-ション利用との関係及び利用・管理の評価基準を得るために、現場調査によるアカマツ林のイメージ評価を行った。林内の空間性と整然性には低木の多少、草丈の高低が影響し、レクリエーション的評価を規定する要因であった.また、レクリエーション評価は立木密度が低く、よく管理されている要素に高く評価された。
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久保 貞, 増田 昇, 安部 大就, 中瀬 勲, 下村 泰彦
1985 年 49 巻 5 号 p.
203-208
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
本研究では、生活行動と緑との接触に注目して日常生活圏における緑地計画に対する〈時間次元〉からのアプローチを試みた。主婦の生活行動を何時・何処・何位と言った観点から解析し以下の諸結果を得た。(1) 余暇・屋外生活行動は緑との接触機会の増大に対する潜在力である。(2) 生活行動は緑地環境条件に影響される。(3) 主婦の属性 (年令) 毎に行動特性を有している等が判り、日常生活圏における緑地計画に対する知見を得た。
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久保 貞, 中瀬 勲, 安部 大就, 増田 昇, 下村 泰彦
1985 年 49 巻 5 号 p.
209-214
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
公的な緑、私的な緑、やや私的な緑の明確化と、これらの緑の創出と維持に関する知見を得る目的で本研究を実施した。その結果、人々の反応行動に基づいて、緑を公的及ひ私的水準間で位置づけると共に、緑の種類に対応して住民の参加意向か異なること、及び居住地の状況によっても住民の参加意向が異なることを明らかにした。この結果は、緑の育成、管理の主体の明確化を示唆するものである。
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斉藤 一雄, 糸賀 黎, 藤井 英二郎
1985 年 49 巻 5 号 p.
215-220
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
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機能の分化、特化は近代化の大きな特色のひとつてあるが、その進展とともに様々な問題か顕在化しつつある。それらには、環境に対する人間の主体性の喪実か大きな背景となっているものもあるし、主体の意志決定か主体を構成する全貝の意志を十分反映していないことに帰着する場合もある。これらの問題はまた伝統と近代化・都市化との競合にとして捉え直せる側面もあり、歴史の中から伝統を見定めるという歴史の評価の問題でもある。
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藤井 英二郎
1985 年 49 巻 5 号 p.
221-226
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
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農村の伝統的空間の接点領域は、機能複合的な柔構造的空間であり、またサイン的、シンボル的特性をもっていた。これらはムラという緊密で安定した社会の中でこそ成立した特性であり、生活様式か大きく変わり、流動的な今日の社会においてはムラという共同体が崩壊し、集落のウチなる共的空間か希薄化して、家とソトの世界とか直接接する形になりつつある。それとともに、家とソトとの接点領域は硬化し、家が孤立化しつつある。
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糸賀 黎
1985 年 49 巻 5 号 p.
227-232
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
田園都市を理念とする筑波であるか、その概成段階において、農村の伝統的な環境保全システムか崩壊し、都市化の進展により、 両者の接点領域において、様々なシステム・コンフリクトが現われている。人間的に生きられる熟成化した都市を目指して、空間を区切りながらつなぐ境界や、異った住民主体を結びつける広場やイベント、地域を統合するシンボル等の機能と意味を持つ緑地空間の処理について接点空間論的アプローチを試みる。
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佐藤 治雄, 岡本 麻理子
1985 年 49 巻 5 号 p.
233-238
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
人々の自然とのふれあい体験の時代変化、成長にともなう変化を立体的に見るため、若~高令の約2000人に対しトンボとりなど31の遊び・行為に対するかかわり程度を成長時間軸にそって記入を求め、有効回答1073を得た。0~10才におけるホタル狩りなど8項目へのかかわりは調査時年令40才台を最大として若令層で急減し、とくにイタドリ、クギさしを知らぬ割合が若令層で高く、環境変化の影響が強く反映されていると推測された。
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菅 麻記子, 田畑 貞寿
1985 年 49 巻 5 号 p.
239-244
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
本研究は、子どもの自然遊びに着目し、緑地の保全・活用について知見を得ることを前提に、自然条件や都市化の状況の異なる地域を対象に調査を実施した。その結果、子どもの自然遊びが若い世代ほど減少してきている。そして、遊びの種類の貧困化が見られる。また、都市化による自然遊びの素材や場所が変化してきていることから調査地域に差異か認められた。特に動植物を対象とした遊びでは、対象地域によってかなりの相違が見られた。
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佐藤 丘, 中村 攻
1985 年 49 巻 5 号 p.
245-250
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
子どもの遊びの発展のためには、遊び場性の高い地区中心的施設の充実とともに、地域全体を遊び場の視点から体系化していく必要があろう。そこで、本研究は子どもの戸外遊びの一般的特徴を概観した上で、子どもの遊びに供される8種類の代表的な地域空間とそこで展開される戸外遊びを検討することにより、子どもの遊びに供される地域空間の遊び機能からみた特性を明らかにした。
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浅川 昭一郎, 本郷 真毅
1985 年 49 巻 5 号 p.
251-256
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
都市における緑地計画に関する基礎的資料を得る目的で、北海道内都市小学校の遠足地を調査した。遠足は学年単位で100~199人の集団で徒歩によるものが多い。しかし大都市では、徒歩と交通機関利用によるものとが分離されていた。遠足地としては各都市の立地特性を反映した自然性の高い大規模な緑地と同時に徒歩圏内の公園の利用も多くみられた。自然緑地の保全や適正整備の必要性、徒歩遠足圏の重要性等を指摘した。
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丸田 頼一, 島田 正文, 福原 一成, 吉村 妙子, 岩井 一彦
1985 年 49 巻 5 号 p.
257-262
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
業務商業地域においては, 機能的価値が中心となり, 様々な構築物により無秩序な景観がつくり出されている。そこで, このような現況を調べ, 良好な景観を創出する方策の検討は重要であるものと考える。本報は, わが国の代表的業務商業地域である千代田区大手町周辺を事例として取り上げ, 接道からのセット・バック等の状況を把握し, 問題点・今後の方向性等について考察を加えた。
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金子 忠一
1985 年 49 巻 5 号 p.
263-268
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
都市域における緑地管理は, 単に物的管理に止むことなく環境管理として捉えることが重要になってきている。本研究では, 都市住宅地を対象としてアンケート調査並びに現地調査を踏まえて, 住宅地の物理的緑地環境を経年的に捉え, さらにそれに対する居住者の意識を維持保続意識, 周辺緑地環境の評価, 快適な居住環境形成への貢献意識, 緑の創出意識の4点から分析し, 住宅地を存立基盤とする緑地環境の管理のあり方について考察した。
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久保 貞, 下村 泰彦, 安部 大就, 中瀬 勲, 増田 昇
1985 年 49 巻 5 号 p.
269-274
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
本研究では、大阪都心部における就業者を対象として〈緑との接触度と意識度との関係〉及び〈オープンスペースの利用度〉について時間次元を軸にして解析し以下の結果を得た。(1) 緑との接触度と意識度には強い相互関係があること。(2) 緑はその存在形態や設置位置、オーブンスペースは、その種別によって、目に触れる時間帯や利用される時間帯の異なること等が判り、都心業務地区における景観形成や緑地整備に関する知見を得た。
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倉本 宣
1985 年 49 巻 5 号 p.
275-280
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
不忍池についての流域生態学的研究の第一歩として、陸域の土地利用をメッシュ法によって解析した。1880、1909、1937、1982年の地形図から土地利用を、1978年の土地条件図から地形を読み取った。土地利用項目の遷移をみると、農地が都市的土地利用に転換すると同時にその一部が樹林地へと転換した時期があった。土地利用の多様性と安定性との相関はみとめられなかった。土地利用項目は地形類型に対して有意な特化度を持っていた。
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恒川 篤史, 上野 知暁, 宮本 克己
1985 年 49 巻 5 号 p.
281-286
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
都市域においてオープンスベース (以下OSと略) をいかに確保するかを検討するために東京都港区において江戸時代末期から昭和59年にかけてと昭和40年から昭和59年にかけての各々について調査・分析を行い、OSの存続と変容の過程及びそれに係わる要因を探った。その結果、そのためには公共系用地の拡大による公共系OSの創出と、敷地の細分化抑制、公開性の保証による非公共系OSの確保か重要であることが把握された。
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田畑 貞寿, 池辺 このみ
1985 年 49 巻 5 号 p.
287-292
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
市街化緑地部における樹林地は、都市化とともに失なわれていくが、土地利用の転用か行なわれる過程には、地図上であらわれない変化のきざしがある。本研究では、平地林を例としてその緑被構造の変容を、機能、土地所有、維持管理の面から解明し考察をおこなった。その結果として、平地林の各々が持っ変容の段階に応じた、保全活用のあり方や、変容の要因等についての若干の知見を得ることができた。
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蓑茂 寿太郎, 船場 利明
1985 年 49 巻 5 号 p.
293-298
発行日: 1985/03/31
公開日: 2011/07/19
ジャーナル
フリー
今日の都市緑地問題の解決にとって事業と計画との関係は優れて密接でなければならない。本報は「都市緑化」と「緑のネットワーク計画」との連係による既成市街地の都市整備の方法を検討したもので、世田谷区におけるケーススタティに基つく研究である。その結果、既成市街地の土地利用を構成している画地の特性を踏まえた緑化手法を提案することによって、都市緑化が緑のネットワーク計画に寄与できることを明らかにした。
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