造園雑誌
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55 巻, 5 号
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  • 白 志星, 藤井 英二郎, 仲 隆裕, 浅野 二郎
    1991 年 55 巻 5 号 p. 1-6
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    朝鮮時代の宮闕は中国古来の宮闕制度の外に風水地理の思想などが加わって造営された。都の漢城には北闕をはじめ東闕, 西闕等の多くの宮闕が造営された。その宮闕の空間は機能や役割によって殿屋が配置され, 外朝, 治朝, 燕朝の三朝空間と後苑の空間に区分されてきた。これらの宮闕における庭園について見る時, 東闕の様子が詳しく描かれている『東闕図』が手がかりとなる。この報告ではこの『東闕図』を中心資料とし, 併せて関連の諸史料を踏まえ, 昌徳宮の燕朝における植栽について考察した。その結果, 外朝や治朝とは異なった植栽が行われていることが分った。
  • 姜 信龍
    1991 年 55 巻 5 号 p. 7-12
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    韓国は列強諸国によって1876年開国した。以後, 欧米の公園についての情報が国内にかなり伝えられた。開国直後から居留地が開設されて, 居留地内でも公園が造成される。
    日本人居留地では, 自国のような環境を創り出すために神社を創建し, その境内外に公園を設けた。
    韓国政府側が都市公園についてなんの関心もみせなかったのに対して, 独立協会の公園に対する関心は高かった。協会は公園を, 啓蒙の施設・休憩と娯楽の場所以上に, 近代産業都市に不可欠な都市文明施設, 即ち都市民の健康の増進・都市美化などの手段として捉えていたので意味を持ったと言える。
  • 宋 泰鈿, 白井 彦衛
    1991 年 55 巻 5 号 p. 13-18
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    日・韓の都市公園の発達を比較すると, その概念と制度については日本は韓国に半世紀先き駆けた。 その原因は, 韓国が内外の悪影響により発展が停滞したことと同時に, 日本が明治以来, 急速な産業などの進歩による差などが考えられるが, それのみで全てを解明しっくされるものではない。 又, 現状では, 韓国は日本における成果を導入し, 現時点では概念と制度の差を縮めつつある。
  • 石田 敢, 亀山 章, 高柳 敦, 若生 謙二
    1991 年 55 巻 5 号 p. 19-24
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    日本人の動物観をとらえるために, 動物に対する態度の類型化を行った。 動物に対する態度は, 動物に関する職業や運動についている専門家が最も極端なものをもっていると考えられることから, 専門家に対するヒアリング調査とアンケート調査を実施することによって, 日本人の動物観の極限としての輪郭の把握を試みた。
    この調査はS. ケラートがアメリカ人に対して行った調査と同様の方法で行ったが, 審美的態度については日本人とアメリカ人とでは内容が異なることが明らかにされた。 また, 日本の専門家は自然主義的態度と生態学的態度を強くもっている者が多いことが明らかにされた。
  • 高柳 敦, 若生 謙二, 石田 敢, 亀山 章
    1991 年 55 巻 5 号 p. 25-30
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    日本人の動物観をとらえるために, 動物に対する態度の類型化の調査をもとにして, アンケートによる全国調査を行った。 アンケートの設問は, S.ケラートがアメリカ人に対して行った同様な調査の設問を日本人に適するような内容に改めて用いた。
    日本人の動物観の特徴を動物に対する態度からみると, 審美的態度がもっとも高く, ついで宿神論的態度と倫理的度が高い。 このことから動物に対して心理的・情緒的態度が強いことがわかる。 また, 自然主義的態度や生態学的態度などの客観的・論理的態度は相対的に少なく, 実用的態度や支配者的態度などの動物を即物的に扱おうとする態度は少ないことが明らかにされた。
  • 若生 謙二
    1991 年 55 巻 5 号 p. 31-36
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    アメリカの動物園で生態的展示が発達してきた経緯を明らかにするために, アメリカの動物園史の時代区分を行い, その史的全体像の把握を試みた。 ハーゲンベックのパノラマ様式をとりいれることにより発達した生態的展示は, その後, 動物地理学的配列の制約と近代主義の影響をうけたが, バイオームの概念をとりいれることにより, 生息地別配列にもとづく生態主義の時代をむかえた。 その起源は, アメリカ自然史博物館のジオラマ展示にみることができた。
    またアメリカでは, 初期に移動動物園をともなったサーカスが人気を博していたため, 動物園をショーの世界と同一視する動物園観が永く定着していた。
  • 小椋 純一
    1991 年 55 巻 5 号 p. 37-42
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    古い時代の植生景観については不明な部分が少なくないが, 明治時代になると写真や本格的な地形図など, かっての植生景観を考える上での良い資料が多く残されるようになる。 本研究は, 今から百年余り前の明治中期に測図された仮製地形図の植生に関する不明部分を, 文献や当時の写真をもとに考察することを中心にして, その頃の京都近郊山地の植生景観を明らかにしようとしたものである。 その結果, その地の当時の植生景観は, 高木の良い林は社寺などの近くにわずかに見られただけであり, 大部分はマツなどの低木林や雑草地といった低植生地であり, また禿山さえも珍しくなかったなど, 今日とは大きく異なるものであった。
  • 小野 佐和子
    1991 年 55 巻 5 号 p. 43-48
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    江戸時代後期に越後柏崎で行なわれた茸狩を例に, 近世地方都市の行楽のありようを考察する。
    近世の中小の都市ではわらび取りや鮎すくいといった採取形態の行楽が広く行なわれたが, 茸狩もその一つである。 茸狩の場所は町周辺の丘陵地帯で春の野遊びの場であることが多い。 茸の季節には家族や友人が連れだって茸狩に出かけ, 子供も参加した。 とった茸は食料であるばかりでなく, 贈答品となり, またゲームの戦利品ともみなされた。 このゲームとしてのおもしろさが人々を茸狩にかりたてたと考えられる。 また茸狩は時として遊宴をともない, 都市と農村との交流の機会になることもあった。
  • 新海 祥子, 堀 繁, 油井 正昭
    1991 年 55 巻 5 号 p. 49-54
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    谷文晁の 「日本名山図会」 は, わが国初めての名山集大成といわれ, 近代以降の山岳風景観の形成に大きな影響を与えている。 本論では文晁の名山観を明らかにすることを目的とした。
    「日本名山図会」 出版以前の文献で取りあげられた名山と比較しながら, 文晁の名山および名山の評価構造の特徴を分析した。 その結果,(1) 文晁は自分の目でみた独自の名山を選定した,(2) 文晁は山の構図を重視して名山と評価したことがわかり, 山を風景として見るという文晁の名山観が明らかになった。
  • 木村 三郎
    1991 年 55 巻 5 号 p. 55-60
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    我国の農村計画とその理論 (念) は時代的に前期と後期とに分けられる。 その前期の代表的なものとして大正13 (1924) 年の那須博士の農村計画論, 次いで篤農家山崎延吉の農村計画論 (昭和2年, 1927) をあげることが出来る。 そしてその後期は今次太平洋戦後即ち昭和20年後にそれが見られる。 その代表は昭和25年5月成立の 「国土総合開発法」 の施行によって確立したと言える。 いずれも前者は (旧) 都市計画法 (大正8年, 1919) の施行が重要な刺激となっているし, 古くはE・ハワード著 『田園都市 (1898)』 論の導入も刺激剤となっていたと思われる。
  • 柳 五郎
    1991 年 55 巻 5 号 p. 61-66
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    明治初期における公園の特徴は, 公園地の主たる撰定基盤が官有地に置かれていた。 その為に官林地化された社寺境内地及び城跡地にも公園の基盤が求められたのである。 しかし, 官林地の取扱が内務省地理局から農商務省山林局に委ねられると, 森林法の適用外とされた官林地公園の性格は, 森林法で規定する保安林の中に潜在的な基盤を見出すようになる。 そして, 官林地公園は, 公園の公益性から保安林の解除を求めざるを得ない状況となり, 保安林との関係が森林法の改正につながって行く中で新たな段階を迎えた。 この結果, 大正期における官林地公園は, 一時的な保存林的性格から森林法が適用される永続的な公園制度の実現に至ったものである。
  • 丸山 宏
    1991 年 55 巻 5 号 p. 67-72
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    明治30年代後半になると近代産業・人口の都市集中が進み, 都市問題が顕著となる。これに対応すべく, 大正8年都市計画法が公布される。公園設置も都市計画上不可欠な問題として認識される。「都市計画の母」と呼ばれる土地区画整理手法により道路をはじめ公共施設の整備がなされ, 公園地の取得にもその手法が用いられる。最初に土地区画整理により公園地が獲得されたのは大正12年の大震災後の特別都市計画法の施行による震災復興小公園であった。その後名古屋, 大阪等でも公園地取得の手法として土地区画整理は威力を発揮する。本稿では都市計画主任官会議での公園問題を概観し, 区画整理公園の歴史的展開とその問題点について考察する。
  • 西村 公宏
    1991 年 55 巻 5 号 p. 73-78
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    我国における女子園芸教育の萠芽は明治30年代後半に見ることができるが, 奈良女子高等師範学校における「選修科目園藝」(明治42年9月開講) には, 開講当初, 庭園や学校園に関するものも含まれており, 庭園の講義を主に担当したのは三井ヒサエであった。三井は, 庭園を女子園芸教育の実践の場として捉らえ, 「望ましいもの」として学校園整備と未分化のまま存在していた「女子園藝」を, 既存の「園藝學」の実習として位置付けることによって, 近代女子教育機関における「園藝」に一つの論拠を与えたと考えられる。また, 園芸植物の取扱いを重視した教育内容は, 一般の家庭園芸にも応用でき得るものであった, という指摘も可能であろう。
  • 石川 幹子
    1991 年 55 巻 5 号 p. 79-84
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    カンザス・シティ公園緑地系統は, 1893年より建設が開始され1920年代までに急速に発達した。計画思想は, 新興中小都市の基盤整備事業として公園緑地系統を体系的に敷設したものであり, こうした先行投資が良質の市街地開発を計画的に誘導したという意味において, アメリカ公園緑地発達史上, 一時期を画する。また, 受益者負担による特別税の導入, 公園, ブルヴァール, パークウェイにより体系的に形成された計画論は世界各国に大きな影響を与えた。
  • 伊藤 太一
    1991 年 55 巻 5 号 p. 85-90
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    1832年に連邦政府保留地となったホットスプリングスの国立公園史における位置づけを試みた。保留地とはなったものの実際に管理が始まったのは1877年であった。さらに, 1921年に保留地から国立公園となったが, その理由として, 当時は温泉ブームあった上, マザー国立公園局長が公園と地域コミュニティとの繋がりを重視したことがあげられる。近年は, 保全対象が温泉自体から歴史的な温泉リゾートとしての建造物とその環境に移行している。すなわち, 今日でも国立公園となっているものの, 実体は歴史公園として管理されている。このことは国立公園という名称を消去することの困難さと, 国立公園局が史跡の保全を媒介とした都市域での活動を重視していることを示す。
  • 杉尾 邦江
    1991 年 55 巻 5 号 p. 91-96
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    オーストラリア, ニュ-ジーランドの植民地は, 世界にさきがけて公園概念を取り入れた公園帯を創設した。これは近代的なグリーンベルトの歴史的発生であり, これまで発想者とその起源は謎とされていたが, 造園雑誌53 (5) 311-316, 1990で筆者が明らかにしたところである。本論は更に, 計画思想と原理に影響を与えたと思われる知見を補足検証すると共に計画原理について考察を行った結果, 創設者のE.G.クエイクフィールドの植民地政策的課題から考案されたとみる事ができた。また公園帯成立の歴史的発展課程の中で, クライストチャーチは公園帯に代わり, ハワードの田園都市のグリーンベルト則ちルーラルベルトの原型を生み出した。これらの公園帯は, 今日でも健全に存続, 機能している実態を明らかにした。
  • 宮城 俊作
    1991 年 55 巻 5 号 p. 97-102
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    アメリカ合衆国の環境芸術のなかで, 特にランドスケープ・スカルプチュアと称されるカテゴリーの作品を対象に, 技法的な側面におけるランドスケトプデザインへの影響を考察した。敷地の特性を読み取り, それを観察者と同一の観点から知覚させる操作や機能を要求されることによって生じる諸条件を止揚しつつ, より次元の高い作品として完成度をたかめてゆくプロセスは, そのままランドスケープデザインのアナロジーとして理解される。これらは, 敷地状況の読み取り方と表現媒体の幅を拡張することによって, 近代ランドスケープデザインの枠組の中に取り込むことができるものである。
  • 仲 隆裕
    1991 年 55 巻 5 号 p. 103-108
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    書院造庭園は, 日本の2大住宅建築様式の1つである書院造に対応する庭園を指す。しかしながら, その発生と展開の具体的な有様は未だ明らかではない。その考究の1つの方法として本論文では, 現存する庭園を手掛りに, まずその鑑賞特性の違いから書院造庭園を仮に2つに分類した。そのうちの1つを “座観の庭” とし, これを「書院の間」からの座観に対応するもの, 複数の「書院造建築」からの座観に対応するもの, 単独の「書院造建築」からの座観に対応するもの, の3つにさらに分類し, それぞれ事例をあげその特徴について検討を加えた。
  • 本中 真
    1991 年 55 巻 5 号 p. 109-114
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    小論は, 発掘調査によって判明した平城宮東院庭園の意匠と工法の検討を行い, 他の遺跡庭園を例証しつつ古代庭園の一連の系譜の中に位置づけようと試みるものである。
  • 佐々木 邦博
    1991 年 55 巻 5 号 p. 115-120
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    19世紀中葉にパリ都市改造が実行されたが, その一部として緑地計画が組み込まれている。この公共緑地の形成は既存の造園界に変革を迫るものであった。また同時に, この計画の責任者であるアルファンは新しい個人庭園, すなわち近代庭園を主張する。そこでその内容を分析し, 庭園における近代性とは何だったのか, その特徴を考察した。その結果, 主な特徴として次の4点が明らかになった。まず整形式庭園と非整形式庭園を土地の広さにより選択すべきだとする両形式を同等に捉える姿勢, 次に自然らしさへの志向, そして利用を重視した庭園構成, 最後に構成手法の体系化がある。これらがこの時代に提案された近代庭園の性格を物語っているのである。
  • 槇村 久子
    1991 年 55 巻 5 号 p. 121-126
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    現在, 墓地として供給されているのは「公園墓地」と呼ばれる様式である。これが日本でどのように成立, 展開したか, その意図したものと, 現在に至っての限界と矛盾点を明らかにする。明治初年に神葬墓地として東京市や大阪市に新墓地が都心遠隔地に形成されるが都市人口集中で都市計画上から必要に迫られ, 井下清により計画された多磨墓地をもって始まる。その後同様式の墓地が全国に造成された。しかし, 形式として欧米自然風景式, 習俗として日本の埋葬, 家族制度を理念としたために, 限界にある。問題はハード面での公園様式と近代化の中で変化していった習俗, 家族の構造変化に対応せず重ね合わせた中にミスマッチを起していることがわかる。
  • 雨宮 悠, 柳 南馨, 矢橋 晨吾
    1991 年 55 巻 5 号 p. 127-132
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    園路路材としての木材の歩行性を評価するために, たわみ試験を行った。木材は樹種が定まっても, 材料力学的特性の散らばりが大きく, 直ちにはたわみ式を適用できない。しかし, 均質な部材であり, また, 曲げヤング係数がたわみ試験から求められるときは, たわみ式とたわみ測定値はよく一致する。このことを利用し, 歩行中のたわみ変化を予測した。一方, 両端支持はりを構成し, たわみを許容する条件下で歩行実験を行い, 歩行姿勢変化から歩行性の評価を行った。このとき, 筆者らが提案している両足接地時間比がスパン変化とよく対応し, たわみもしくはこれと類似の歩行に対する困難要因評価の因子となることが理解された。また, 園路幅ならびに園路高さのように直接たわみと関係しない要因についても調べ, このときはむしろ両足接地時間比よりも最大接地膝屈折角度差の方が歩行状態をよく記述できることが解った。
  • 岸塚 正昭
    1991 年 55 巻 5 号 p. 133-138
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    発見された水琴窟のFFT周波数分析の検討から, 水琴窟の放射音 (ピッチ) は中の空洞長で規定される固有振動数と関係が強いことに着目し, これを実証する目的の室内実験を行った。供試甕に対する固有振動モードの理論値と本実験値とは良く対応しており, その結果立証された仮説を踏まえ, 次のことを考察した。
    (1) 水琴窟特有の音は, 囲われた空間によって決まる固有振動数と同じピッチの滴水音が, より強調され外部へ放射された。(2) 音が持続するためには, 反射面として平行に対置する剛壁が必要で, 特に窟洞の天井は水平面に設置されることが要諦である。(3) 発音の確率を増やすため, 窟口に水切り (尖端) を作らない。
  • 中村 隆治, 藤井 英二郎
    1991 年 55 巻 5 号 p. 139-144
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    緑地の視覚心理的効果を明らかにするために, 本実験では生垣, ブロック塀, さらに緑量的にそれらの中間的な段階の視覚対象として樹木とブロックの比が2:5, 4:3, 5:2となる場合の5つの対象物をみたときの脳波, 特にα波β波について分析を行った。 その結果, α波とβ波の合計値に占めるα波の割合が, ブロックに対する樹木の割合が半分以上になると高くなる傾向を示した。 一般に, 安静時にはα波が増え, 緊張時にはβ波が増えると言われていることから, この傾向はブロックが緊張感をもたらし, 樹木はそれを和らげる効果があることを示唆するものであることが明らかになった。
  • 高 錫九, 矢橋 晨吾, 雨宮 悠
    1991 年 55 巻 5 号 p. 145-150
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    「赤玉」 は団粒性用土であるため, 排水性が良く, しかも団粒中の微細間隙によって保水能力が優れているといわれている。 本研究では, 一般的にいわれている 「赤玉」 の性質を確認するため, 団粒状態とその団粒を練りつぶしたペースト状態での水分保持機能を比較検討した。 その結果, 団粒体は団粒間間隙が生じることにより, 一粒の団粒より間隙率が9%増加した。 ペースト体は液体水分の移動が大きいため, 団粒体より蒸発速度が早かった。 団粒体では, 液体水分の移動が極端に小さいことが予想されたが, 蒸発実験初期では液体水分の移動がかなり大きかったし, 液体水分の移動が極端に小さくなるのは永久しおれの水分量以下のときであった。
  • 向井 隆司, 臼井 洋造, 大竹 武, 佐藤 次郎
    1991 年 55 巻 5 号 p. 151-156
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    室内および屋上緑化手法としてのハイドロカルチャーに用いることのできる人工培土を開発し, その実用性を検討した。鉱山廃棄物である膨張性頁岩を原料とし造粒後, ロータリーキルンによって焼成することにより, 軽さ, 吸水性および強度において, 代表的な人工培土であるドイツ産発泡煉石とほぼ同程度の物性値が得られた。また, 焼成過程において添加する融着防止剤の成分を調整することにより赤褐色以外の色を出すことを可能とした。数種類の植物を用いた評価試験においては, いずれの植物においても順調な生育が示され, 開発した人工培土の有効性が実証された。
  • 清水 隆行, 岡本 堤明
    1991 年 55 巻 5 号 p. 157-162
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    都市部で不透水性舗装が増えるにづれて, 水の土壌への浸透が少なくなり都市樹木の生育不良の一因となっているが, これを解決する手段の一つとして透水性舗装が注目されている。本研究では, 透水性舗装が植栽土壌や植物の生育に及ぼす効果を知るために, コンテナーに土壌を入れ, その上に透水性舗装盤とコンクリート舗装盤を設置した実験装置を作り, 比較実験を行った。その結果, 透水性舗装下の土壌の含水比は高く, 隣接部の芝草の生育量 (現存量) もコンクリート舗装隣接部に比べて高い結果が得られた。透水性舗装は透水が良好で舗装面からの水の蒸発が少ない利点があるが, 一方では実験期間中に下層土が過湿になる危険性も観察された。
  • 下村 孝, 北村 文雄
    1991 年 55 巻 5 号 p. 163-168
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    プラグシステム, フェノール樹脂 (オアシスメデューム), ロックウールなど新素材を用いてオオイタビの挿し木苗生産の可能性を検討した。挿し木後5~6カ月の調査では, いずれの素材でも育苗箱に砂+ピートモスの混合用土を用いた慣行の挿し床に匹敵する成績が得られた。プラグシステムでは, プラグ専用用土のメトロミックスを用いると, 砂+ピートモスを用いた場合に比べ挿し穂当りの分枝の成長量が大となった。セル容積50cm3のトレイではより容積の小さい21cm3および15cm3のトレイに比べ挿し穂当り分枝数, 分枝長が劣った。
  • 柴田 昌三
    1991 年 55 巻 5 号 p. 169-174
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    地被材料として利用される機会の多いササ類のうち, クマザサ, アケボノザサおよびヤクシマザサについて当年生稈が出筍してから枯死するまでの地上部の変化を調査し, 植栽地におけるササ類の管理方法について考察を加えた。その結果, クマザサは, 分枝能力が低いが, 着葉数の季節変化が少ない, アケボノザサは, 枝数および葉数の季節変化がダイナミックで, 分枝能力が高い, ヤクシマザサは, 分枝能力が比較的高く, 当年生葉の展開量が多い, 等の特性が示された。この他, 稈の活性が劣り始める稈齢や, 稈や葉の寿命が異なること等, 種によって, 刈込を中心とした管理方法を違える必要を述べる上で, 重要な示唆が得られた。
  • 岡本 堤明, 加藤 賢一郎
    1991 年 55 巻 5 号 p. 175-180
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    大阪湾内の廃棄物埋立地を緑化するに際して, 3年間にわたって5種類の緑化樹木の苗木と成木を植栽し, それらの生育状況を追跡調査した。マサ土を50cmから1.5m厚に盛土し, また埋立廃棄物から発生する分解ガス対策として砕石層やシートを盛土底面に施し, それからの効果 (欠点) を樹木の生育而から検討した。その結果, 50cmの盛土厚では苗木では植栽の翌年には生育が低下した。一方1.5mの盛土厚では植栽翌年または3年目に盛土効果が現れた。砕石層の敷設も生育に効果があった。シートを敷設した場所では生育が悪かった。一部の生育不良を除き, 健全に生育した樹木の3年間の成長および季節ごとの個体成長率について樹種問の比較を行った。
  • 江崎 次夫, 櫻井 雄二
    1991 年 55 巻 5 号 p. 181-186
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    造園用樹草のノシバ, ティフトン328, チガヤ, ススキ, オカメザサ, ヘデラカナリエンシス, コグマザサおよびイガザサの堤防のり面や道路のり面等での利用性を, 主として防災的な見地より検討するために, 生育場所での現存量と根系の強度を調査した。 現存量は地上部, 地下部共にオカメザサが最も多く, 総根長はノシバが最も長かった。 一次根の引っ張り試験では, 最大荷重は直径の0.92~1.53乗に比例して増大傾向を示したが, 8種類の間には, あまり大きな相違は認められなかった。 これらのことから, チガヤ, ススキ, オカメザサ, ヘデラカナリエンシス, コグマザサおよびイガザサは, 従来から堤防のり面等に利用されているノシバやティフトン328と同様に, 利用性が高いものと判断された。
  • 渡辺 達三, 鈴木 雅和
    1991 年 55 巻 5 号 p. 187-192
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    蓮は古来, 紅蓮, 白蓮などとその花色によって分けて呼ばれるように, 色彩に大きな関心がもたれてきた。 蓮の花色には花弁, 雄ずい, 花托などの要素が関与し, それら全体によって独特の色あいを呈するが, 今回は, そのうちでも大きな要因をなすとみられる花弁を取り上げ, それを拡散照明受光方式による色彩色差計により測定し, Lab表色系による色彩空間を求め, 1) 品種 (間), 2) 開花経過日数 (間), 3) 着弁位置 (間) におけるその実態の把握を行った。
  • 大窪 久美子, 前中 久行
    1991 年 55 巻 5 号 p. 193-198
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    野生草花の保全を目的とする半自然草地の管理を検討するため, クマイザサSasa senanensisの優占程度が異なる二つの群落において, 時期を変えた刈取り実験を行った。刈取り区には6, 7, 8, 9月刈り, 無処理区を設け, 二年続けて同じ処理を行った。その間, 無雪期に毎月一回追跡調査を行い, 群落の動態を解析した。また, 地域周辺でみられる主な植物について, フェノロジー調査を行った。マツムシソウ等の草本植物を庇陰してしまうクマイザサは, 8, 9月刈で再生を著しく抑制された。一方, 野生草花の開花期は7月下旬から8月下旬に集中していた。刈取りの競合植物への影響が最大になる時期と野生草花への影響が最小になる時期とで刈取りの適期を議論した。
  • 倉本 宣, 竹中 明夫, 鷲谷 いづみ, 井上 健
    1991 年 55 巻 5 号 p. 199-204
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    多摩川におけるカワラノギクを絶滅危惧植物の保全のための研究のモデルとして取り上げた。カワラノギクは可変性2年草であり, 中流上部の丸石河原に分布中心を持っていた。カワラノギクを含む群落の面積は近年大幅に減少しており, 分布域も狭まっていた。カワラノギクが新しく定着した場所の近くには種子供給源となる個体群があったことから, 種子供給の重要性が示唆された。
    以上の知見から, カワラノギクを栽培のもとではなく, 自然の条件で保全する方策を提案した。
  • 金 範洙, 安部 大就, 増田 昇, 下村 泰彦, 山本 聡
    1991 年 55 巻 5 号 p. 205-210
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では自然地域内の樹林地, 水辺空間, 自由広場といった多様なオープンスペースを対象として, オープンスペースの物的諸特性と利用者の行動面-心理面の2側面との相互関係からレクリエーション価値の評価を試みた。その結果, 広場型オープンスペースは自然性の評価は低いが, 心地良さに関連する開放性と総合的満足度の心理面での評価が高く, 利用面では地形によって利用形態が異なるものの, 平坦な地形では滞留型利用, 傾斜地形では休養型利用が中心となることが明らかとなった。また, 樹林型オープンスペースでは落葉広葉樹林が針葉樹林に比べ心理面での評価が高く, 行動面では地形に応じて利用形態が異なることが明らかとなった。
  • 谷中 英記
    1991 年 55 巻 5 号 p. 211-216
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    近郊レクリエーション林の園路密度の大小はその収容力を左右する。欧州や日本での近郊林調査の結果から森林の主機能・位置・規模等に規定され多様な園路密度をもつ4タイプの近郊林を類型化した。第1の近郊林型は居住地近辺の大緑地やレクリエーション専用林で非常に高い園路密度150-250m/haをもつ。第2の近郊林型は都市林, 経済林を兼ねる都市近接林で75-120m/haの高密度園路網をもつ。第3の型は都市周辺から近郊に至る平坦地の林業優先の大規模国有林や中低山帯の近郊林で, 中程度の園路密度25-40m/haをもつ。第4の近郊林タイプは自然環境や景観保全目的の都市林や, 経済林を兼ねる大規模平地林等で園路密度は低く10-25m/ha程度である。
  • 香川 隆英
    1991 年 55 巻 5 号 p. 217-222
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本報告の目的は, 森林のアメニティの構造を明かにすることである。そのため, 異なる属性の人々に, 異なる種類の森林 (人工林, 二次林, 天然林) のアメニティを評価させる手法をとってきた。造園雑誌54 (5) で, 京都北山の人工林のアメニティを明かにしたのに引き続き, 本報告では二次林および天然林のアメニティの構造を解きほぐした。二次林については, 現地でAHP (Analytic Hierarchy Process) を応用した集団の意志決定手法を用い, 触覚や聴覚嗅覚に関わる林内環境因子がアメニティを規定することを示し, 天然林では, アンケートを用いたAHPにより, 森の奥行きや生態的自然度の高さがアメニティの主因子であることを示した。
  • 愛甲 哲也, 浅川 昭一郎, 小林 昭裕
    1991 年 55 巻 5 号 p. 223-228
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    自然公園の適正な利用密度を考える際利用者の混雑感の特性をとらえることは重要である。本研究では, 自然の中で低密度な利用が望まれる国立公園での登山利用者の利用密度に対する反応 (混雑感) の特性を明らかにするため, 大雪山国立公園内の登山道を事例にし, その利用状況と利用者の混雑感との関連を分析した。その結果, 混雑感は, 利用区間の滞留人数や他パーティとの交差数などの実測値よりも, 利用者が知覚した出会った人数とより強い関連をもつことが判明した。また, 混雑感は, 実際の利用状況や知覚した人数だけでなく, 利用者の事前経験などの属性の影響を受けることがわかった。
  • 小林 昭裕
    1991 年 55 巻 5 号 p. 229-234
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    釧路湿原を事例とし, 固有性・象徴性, 環境保全性, 環境教育性, レクリエーション性に対する価値評価を求めた。その結果, 湿原景観のもつ固有性・象徴性, 環境保全性, 環境教育性に対する回答者の価値評価は, 湿原の自然性に依存し, 人工的な景観要素が景観の価値を軽減する傾向が確認された。また, 景観的に価値の高い場合, レクリエーション的価値は他の価値に比べ低く評価のばらつきが大きかった。一方, 回答者の釧路湿原への事前の経験や情報, 環境保全に対する興味の度合いにより価値評価が異なった。事前の経験や情報が豊かな回答者では, 提示した画像以外の視覚的情報が加味されるとともに, 人間の活動に伴う湿原生態系への影響を憂慮する傾向が示された。
  • 谷川 耕一, 糸賀 黎
    1991 年 55 巻 5 号 p. 235-240
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    地域開発を行う場合, 土地自然の潜在力に応じた保全計画が必要となる。本研究では, 土地自然の持っている価値を, 植生, 地形, 動物生息といった面から総合的に把握することを目的とした。林道計画, ブナ原生林伐採が社会的問題となった。東北白神山地を対象地域に選び, メッシュ法等を用いて考察を行った。動物, 植物にとって高い土地評価を得る環境は, 林業利用においても同様であることがわかった。対象地域において, 野生動物の保護を含む自然環境の総合評価を行う基礎的データを得ることができた。
  • 堀 繁, 鑪迫 ますみ
    1991 年 55 巻 5 号 p. 241-246
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    国立公園における保護計画の計画思想とその変遷を明らかにする目的で, 最も厳しい保護の図られる区域である特別保護地区 (昭和24年に制度化) 全187ケ所の分析を行った。その結果,(1) 初期にあった風景興味対象保護が徐々になくなり, 近年は自然保護一辺倒になっていること。(2) 自然保護も, 博物学的観点から, 植生分布的観点へ, さらに自然環境保全的観点へと変化してきていること。(3) 初期にはバラエティに富んだ点的なものを公園内に散りばめることによって利用者に多様な魅力を提供していたが, 近年は広域に指定した骨格要素を少数もうけるのみで利用者への配慮が無くなっていること。などが明らかになった。
  • 番匠 克二, 堀 繁
    1991 年 55 巻 5 号 p. 247-252
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    国立公園の利用拠点計画の考え方を明らかにするために, 集団施設地区のタイプと立地及びその変遷を分析した。その結果,(1) 新規整備型や自然近接性・隔絶性の強い地区が多いこと,(2) 削除した中に実態的な利用拠点も多く含まれること,(3) 多様なタイプ・立地の指定から画一的な指定へと変わり, 理想に合わない地区の削除もおこなわれるようになったこと,(4) 計画思想の変遷に国民休暇村制度が影響を与えていること, などが明らかとなった。
  • 田代 順孝
    1991 年 55 巻 5 号 p. 253-258
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究ではアメリカの地域公園システムの管理運営におけるパークディストリクトの役割について, E. B. R. P. Dを事例として分析した。 課税権, 徴税権をみとめられた行政体手ある公園区が多様な公園地の種類を用意し, それらを専門職の採用により重層的且つ複合的に管理運営しうる運営手法の効果が認められた。
  • 杉本 正美, 包清 博之
    1991 年 55 巻 5 号 p. 259-264
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, ランドスケープ・スペースに具体的に音を導入する際に必要となる音演出のシステムの構築を前提とした “音プログラムユニット” と演出条件を設定するための基本的な考え方を明らかにした。また, 福岡市植物園を対象に, 人間の行動の観点, サウンドスケープの観点及び環境の物的特性の観点などからの具体的なアプローチを展開した。この結果, 音演出のためのプログラムユニットの設定及び音演出の条件に関する幾つかの示唆を得た。
  • 永松 義博
    1991 年 55 巻 5 号 p. 265-270
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    身体的にハンディキャップをもった人々の公園利用への関心が高まり, 設計基準等も整備されつつあるあるが, 視覚障害者にとっての配慮は, まだ完全とはいえない。快適に適応できる屋外遊び空間 (盲人公園) を計画していくための手がかりを得ることを目的として, 盲学校生徒の余暇活動の実態を明らかにした。盲学校のクラブ活動では, 盲男子は活動的で組織的なスポーツに人気が高く, 盲女子では文化系クラブの入部が多く, 直接実生活と結びついた活動が目立っている。彼らの戸外活動への関心は高いものの, 積極的な余暇時間の活用はみられず, 余暇活動として発展していない点が指摘される。
  • 野口 学, 田畑 貞寿
    1991 年 55 巻 5 号 p. 271-276
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    夜間利用を考慮した公園や緑道の設計計画の諸要因を導き出すためには, 夜間における公園利用者の行動, 意識等の適切な評価が必要である. 本研究では調査対象地として日比谷公園 (東京都), 山下公園 (横浜市), グリーンパーク遊歩道 (武蔵野市) を取り上げて, 直接面接法によるアンケート調査と公園平面図等による図上計測を行い考察した. その結果, 夜間利用を考慮した公園や緑道の設計計画の諸要因において重要な位置を占める要因は, 「樹木被覆地率」と「照明計画」等であることが明らかになった.
  • 三島 孔明, 藤井 英二郎
    1991 年 55 巻 5 号 p. 277-282
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    色彩に対する脳波の時間経過に伴う変化について分析した。視覚対象として色布を用い, 黄, 緑, 白, 青, 黒, 赤, 紫, 灰の順に被験者に提示した。分析には, それぞれの対象物を提示した直後から5秒後, 5~10秒後, 10~15秒後の各時間帯におけるα波, β 波, θ 波の出現量の8色に対する相対値を用いた. その結果, α 波, β 波, θ波の相対値の分布範囲とその経時的変化に各色の特徴がみられ, 男女間にもその違いがみられた. 特に, 女性では, 黄においてα波, β波, θ波すべてが高い値を示したのに対し. 黒, 青, 紫ではそれらのすべてが低い値を示す傾向がみられ, 対照的であった. また, 女性ではβ波の値が明度と対応する傾向がみられた。
  • 安部 大就, 増田 昇, 下村 泰彦, 山本 聡, 近藤 歩
    1991 年 55 巻 5 号 p. 283-288
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究では, 淀川支流のひとつである天野川の下流部をケーススタディとして, 画像処理システムを用いたフォトモンタトジュ法により, 河川の断面構造と構成部位別の素材を操作した河川空間整備シミュレーションモデルを作成し, モデルに対する評定調査を通じて研究を進め, 河川空間における自然性と親水性の創出に関わる整備手法の開発に寄与することを目的とした。その結果, 親水行動や快適性といった親水性の向上を図る上では, 水辺での人間の活動空間を単に確保するだけでは不十分であり, 水辺での人間の活動空間を確保しつつ, かつ, その空間の構成素材に芝生を導入することによって, 初めて, 効果が現れることを明らかにした。
  • 下村 泰彦, 増田 昇, 山本 聡, 安部 大就, 田村 省二
    1991 年 55 巻 5 号 p. 289-294
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    本研究は, 公共空間と接道部空間とを相互に関係づけながら, フォトモンタージュ法を用いて景観シミュレーションモデルを作成し, 景観モデルの評価を通じて今後の街路修景・緑化手法に関する有効な知見を得ることを目的とした。その結果, 公共緑化に関しては, 壁面状況の良悪に係らず, 高木の樹冠を大きくすることによって景観の向上が認められ, 修景・緑化効果を明らかにすることができた。特に, 歩道中央植栽は, 修景・緑化効果を十分に発揮することが明らかとなった。接道部緑化に関しては, 壁面状況, 植栽形式に係らず, 接道部を緑化することによって景観が向上することを明らかにし, 接道部緑化の修景・緑化効果を確認することができた。
  • 斎藤 馨
    1991 年 55 巻 5 号 p. 295-300
    発行日: 1991/03/31
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    景観計画における情報化に関する研究・開発が進展し, 次第に成果が明らかになりつつある。今後はその応用・発展が期待される。本研究はこうした状況における情報処理手法を計画的応用の可能性から考察し, 以下の結論を得た。
    ・景観計画における情報化には, 可視化 (Visualization) 手法の応用が効果的である。
    ・可視化を応用した景観計画手法を景観情報処理と定義し, 計画への摘要区分として広域景観計画, 地区景観設計, 計画・設計調整を実例によって明かにした。
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