腸内細菌学雑誌
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18 巻 , 1 号
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総説
  • 名倉 宏
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 18 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/04
    ジャーナル フリー
    粘膜は多種かつ多量の感染性抗原や食物抗原に曝露されているが, その粘膜表面は粘膜免疫機構による極めて巧妙なバリア機能によって保護されている. この粘膜での生体防御機構は腸管の機能や構造の恒常性維持の主役を果たしている. 神経線維と免疫担当細胞との形態上の密接な連関かつ腸管粘膜で構築されており, 免疫系も一部中枢神経系や視床下部—下垂体—副腎軸を介した内分泌系によって制御されているが, 近年肥満遺伝子 (ob gene) の転写産物であるレプチンも食物摂取のみならず, 代謝系, 内分泌系および炎症免疫系の反応の制御にもかかわり合っていることが知られるようになり, これらの生体制御系がお互いに密接に関連し合っていることが明らかにされつつある. こうした腸管粘膜での粘膜免疫機構やその制御機構の破綻が腸管粘膜の生体防御機能を障害し, 炎症性腸管障害の主要な病因となっている.
  • 名倉 泰三, 八村 敏志, 上野川 修一
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 18 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/04
    ジャーナル フリー
    アレルギー発症と腸内細菌叢に関する疫学的調査から, ヒト腸内に生息するBifidobacteriumLactobacillus などの乳酸菌がアレルギーの予防に寄与することが推測される. 乳酸菌はTh1免疫応答を亢進させることで, アレルギー発症に関わるTh2免疫応答を抑制することが報告されている. 難消化性オリゴ糖の摂取は, 腸内に住み着いている乳酸菌, 特にBifidobacterium を増殖させることがよく知られている. 我々は, オリゴ糖の一種であるラフィノースがTh1/Th2応答に与える影響について, 卵白アルブミン特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウスを使って調べた. トランスジェニックマウスへの卵白アルブミン経口投与によって誘導された腸管膜リンパ節細胞のIL-4産生や血中IgE上昇は, ラフィノース添加食によって有意に抑制された. ラフィノース食によって培養可能なマウス盲腸内細菌の菌数変化が認められなかったため, この免疫応答の変化に関係する腸内細菌の種類は不明であるが, ラフィノースの摂取は, 経口抗原によって誘導される不利益なTh2応答を抑制することが示唆された.
報文
  • 山野 俊彦, 高田 麻実子, 福島 洋一, 飯野 久和
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 18 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/04
    ジャーナル フリー
    健康な女子学生24名 (20~22歳, 平均年齢21.2歳) を無作為に2群に分け, Lactobacillus johnsonni La1株を1カップ120gあたり1×109cfu含む発酵乳 (試験食), またはL. johnsonii La1株を含まない発酵乳 (プラセボ食) を1日1カップ, 21日間連続摂取する無作為二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を実施した. 試験食摂取期における糞便中Bifidobacterium ならびにLactobacillus 菌数は, 発酵乳非摂取期と比較して有意に増加し, レシチナーゼ陽性Clostridium 菌数は有意に減少した. これに伴い糞便pHの有意な減少, 糞便中短鎖脂肪酸 (SCFA) 濃度の上昇傾向が認められた. コロニーPCR法による糞便中L. johnsonii La1株の同定を行ったところ, L. johnsonii La1株は, 発酵乳非摂取期またはプラセボ食摂食期では検出されなかったが, 試験食摂食期において, 試験食摂取後全例で検出された. 試験食摂取期における便秘傾向者の週あたりの排便回数は, 発酵乳非摂取期間と比較して有意な増加が認められた. 以上の結果から, L. johnsonii La1株は生菌としてヒト腸管へ到達し, これを含有する発酵乳の摂取により腸内細菌叢および糞便性状を改善し整腸効果が得られ, プロバイオティクスとしての有用性が示唆された.
  • 松本 一政, 高田 敏彦, 結城 功勝, 川上 幸治, 酒井 隆史, 野本 康二, 木村 一雅, 松本 圭介, 飯野 久和
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 18 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/03/04
    ジャーナル フリー
    4'-galactosyllactose (4'-GL) を含む2~4糖を主成分とする新規な組成のガラクトオリゴ糖 (新GOS) 液糖のプレバイオティクス作用を調べるため, 1) 22菌属62菌株の腸内細菌構成菌株による新GOS構成オリゴ糖構成分子のin vitro における資化性, および2) ヒト飲用試験における腸内菌叢への影響を解析した. in vitro 資化性試験においては, 新GOS2糖はBifidobacterium 属の6菌種に属する15菌株, Lactobacillus 属の7菌種, Bacteroides vulgatus, Clostridium perfringens, Enterococcus faecium, Streptococcus salivarius およびEscherichia coli によりよく資化され, この資化性は乳糖のそれに近似していた. 新GOS3糖の資化性を示したのは, Bifidobacterium 属の6菌種, Lactobacillus 属の3菌種, B. vulgatus, C. clostridiiforme, B. fragilis, Eubacterium rectale, C. perfringens であり, 4'-GLもこれと同様の資化性を示した. 新GOS4糖はBifidobacterium 属の5菌種およびB. vulgatus のみによりよく資化され, L. reuteri, E. rectale, C. perfringens にも資化されたほかは明確な資化能を有する菌種は認められなかった. 糞便中のBifidobacterium 数およびその総菌数に占める割合が少ない(Bifidobacterium 数の平均値 : 109.4CFU/g糞便, 占有率 : 12%) 被験者22名 (平均年齢39±10歳) を無作為に11名ずつの2群に分け, それぞれに新GOSを2.5g/日あるいは5.0g/日を2週間飲用させた. 飲用前期2週間, 飲用期の1週目, 2週目, および飲用終了後の2週間のそれぞれ最終日に, 被験者の糞便を回収し, 糞便内菌叢, 有機酸, 腐敗産物 (アンモニア, インドール, パラクレゾール, フェノール), 胆汁酸, β-グルクロニダーゼ活性, 水分含量, およびpHを調べたところ, 以下の結果を得た. 1) 飲用前期に比べて新GOS飲用期においてはBifidobacterium 数およびその総菌数に占める割合が有意に増加した. この増加の程度は5.0g飲用群でより顕著であった. 2) 飲用期の総菌数が飲用前に比べて増加した. これに伴い優勢菌群に含まれるbacteroidaceaeも増加したが, 総菌数に対する割合は変化がないか, むしろ低下した. 通性嫌気性菌ではLactobacillus 属の増加傾向が認められた. 3) 有機酸については, 5.0g飲用群で総量およびコハク酸の有意な減少が認められた. 4) 胆汁酸は, 5.0g飲用群で飲用1週目に一次胆汁酸の減少が認められたほかは有意な変化は認められなかった. 5) 腐敗産物, β-グルクロニダーゼ活性には新GOSの飲用による影響は認められなかった. 6) 新GOS飲用中の糞便水分含量, pHともに正常な範囲で推移した. 以上の結果より, 新GOSの飲用が健常な腸内フローラを維持しつつBifidobacterium を選択的に増加させることが明らかとなった. さらに, コハク酸量や胆汁酸濃度の減少で認められるような腸内微生物代謝に対する新GOSの影響が示唆された.
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