腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
Print ISSN : 1343-0882
ISSN-L : 1343-0882
21 巻 , 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総説
解説
  • 渡辺 幸一
    2007 年 21 巻 3 号 p. 199-208
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/17
    ジャーナル フリー
    ヒト腸内には多種多様の腸内細菌が生息し,栄養,免疫賦活あるいは病原性菌の腸管内での定着・増殖抑制など様々な面で深い影響を及ぼしている.そのため,腸内フローラの機能とヒトの健康の関係を解明するためにはその構造を正確に解析する方法の開発は重要な課題である.細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列が微生物の系統分類のみならず,迅速・かつ正確な分類同定に有効であることが証明されて以来,分子生物学的手法は急速に発展した.これに伴い,腸内フローラの解析法は,FISH法,DGGE法あるいはTGGE法,クローンライブラリー法,定量的PCR法,T-RFLP法が開発され,大きく変貌した.ここでは,代表的な分子生物学的手法を簡単に説明するとともにその応用と課題について解説する.
実験講座
  • 森田 英利, 藤 英博
    2007 年 21 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/17
    ジャーナル フリー
    近年,自動シークエンサーやコンピュータの能力が向上したため,細菌のゲノム配列は短期間で決定できる時代になり,細菌のゲノム情報は加速度的に蓄積されている.乳酸菌に限っても,2007年5月時点で14菌種19菌株のゲノム配列が公開されている.多くの乳酸菌ゲノム情報が公開されたため,乳酸菌における近縁菌種・菌株の比較ゲノム解析が可能となり,新たな視点から菌種・菌株の特性を解明できるようになった.また,マイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析も乳酸菌の研究に応用されつつある.乳酸菌研究もゲノム情報を積極的に活用する時代になり,乳酸菌のゲノム情報は新たな研究成果を得るために不可欠な基盤と考えられる.
ノート
  • 内山 成人, 上野 友美, 鈴木 淑水
    2007 年 21 巻 3 号 p. 217-220
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/17
    ジャーナル フリー
    大豆イソフラボンのエストロゲン様作用/抗エストロゲン作用による健康ベネフィットが期待されているが,最近はその代謝物であるエクオールの生理作用が注目されている.エクオールは,腸内細菌により産生される活性代謝物であるが,その生成には個人差が存在し,エクオールを産生できない非産生者がいる.エクオール非産生者では,大豆イソフラボンを摂取しても十分な効果が期待できないと考えられる.そこで,我々は,食品として利用可能なエクオール産生菌を探索することを目的として,ビフィズス菌と乳酸菌(ラクトバチラス属)についてスクリーニングを行い,さらにヒト糞便中からの単離を検討した.ビフィズス菌と乳酸菌(ラクトバチラス属)の登録株213株のエクオール産生能を評価したが,いずれの菌株にもエクオール産生能は認めなかった.健常成人の糞便よりエクオール産生菌として新たに3菌株を単離し,1菌株に乳酸生成を認めたため16S rDNAシークエンス解析により同定した.その結果,Lactococcus garvieaeと同定され,菌株名を“ラクトコッカス20-92”とした.ラクトコッカス20-92によるエクオールの生成は,増殖後の菌数が定常状態になって発現するという特徴を示した.我々は,エクオール産生菌として食品に利用可能と考える乳酸菌(ラクトコッカス20-92株)を単離することに初めて成功した.これにより,今後,ラクトコッカス20-92株の食品への応用が期待できるものと考える.
  • 内山 成人, 木村 弘之, 上野 友美, 鈴木 淑水, 只野 健太郎, 石見 佳子
    2007 年 21 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/17
    ジャーナル フリー
    我々がエクオール産生乳酸菌としてヒト腸内より単離したラクトコッカス20-92株は,Lactococcus garvieae(以下Lc. garvieae)と同定された.ラクトコッカス20-92株の安全性評価のために,Lc. garvieaeの食歴およびヒト腸内常在性について検討した.イタリアの伝統的チーズおよび日本人の健常人女性より採取した糞便からのLc. garvieae検出は,Lc. garvieaeに特異的なPCRプライマーを用いたRT-PCR法あるいはリアルタイムPCR法により行った.イタリアおよび日本で入手したイタリア産の伝統的なチーズ7種類(トーマ・ピエモンテーゼ,ラスケーラ,ブラ・ドゥーロ,ブラ・テネーロ,ムラッツアーノ,カステルマーニョ,ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノ),21検体にLc. garvieaeが検出された.また,ヒト糞便サンプル135検体中,49検体にLc. garvieaeが検出された(検出率36.3%).本研究結果より,Lc. garvieaeが伝統的に食されてきたチーズ中に存在していることが確認できたことから,その食歴を明らかにすることができた.さらに,健常人の腸内に常在していることも明らかとなり,Lc. garvieaeの安全性は高いものと考えられた.したがって,ヒト腸内由来のラクトコッカス20-92株も,同様に安全性の高い菌株であることが示唆され,今後,食品としての利用が可能と考えられた.
feedback
Top