腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
Print ISSN : 1343-0882
ISSN-L : 1343-0882
23 巻, 4 号
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総  説
  • 福田 真嗣, 大野 博司
    原稿種別: 総  説
    2009 年 23 巻 4 号 p. 271-278
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/06
    ジャーナル フリー
    近年,ヨーグルトなどの乳製品を摂取することで腸内フローラの改善による疾患の改善・予防効果が明らかになると共に,ビフィズス菌や乳酸菌を直接利用するプロバイオティクスの有用性が,健康維持・予防医学の面から認識されている.腸管出血性大腸菌O157は志賀毒素を産生し,下痢や,重症例では時に死に至る溶血性尿毒症症候群を引き起こす最もポピュラーな食中毒原因菌のひとつであるが,これまでにプロバイオティクス投与によるO157感染症の予防効果が多数報告されている.プロバイオティクスは多種多様な生理活性を持つことが知られているが,O157感染症に対する防御効果は①O157の腸管への付着抑制効果,②志賀毒素産生抑制効果,③O157の増殖抑制効果に大別される.プロバイオティクス菌株によってO157感染症に対する防御効果の種類は異なるが,それら防御効果の詳細な分子機構についてはいくつかの報告があるのみに留まっている.本稿では腸管出血性大腸菌O157:H7に対する感染防御能を有する種々のプロバイオティクスを用いた in vitroあるいはマウスモデルを用いたin vivoでの研究について紹介し,プロバイオティクスによるO157感染防御効果に関する研究の現状と,今後必要とされるであろう研究の展開について議論したい.
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