腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
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ISSN-L : 1343-0882
31 巻 , 4 号
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総  説 <平成28年度日本ビフィズス菌センター研究奨励賞受賞>
  • 菅原 宏祐
    2017 年 31 巻 4 号 p. 179-185
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル フリー
    近年の研究からヒトの腸内には固有の腸内細菌種が生息しており,腸内菌叢として様々な疾病と関連することが示されている.Bifidobacterium属細菌は,ヒト腸内菌叢の主要構成菌属であり,有益な生理機能が多数報告されている.一方,Bifidobacterium属細菌には多くの菌種が知られており,ヒト常在性ビフィズス菌(Human-Residential Bifidobacteria, HRB)とそれ以外のビフィズス菌(non-HRB)に分けることができる.筆者らは HRBの特徴とその生理機能の機序解析に焦点を当てた研究を行った.HRBとnon-HRBの本質的な差異として葉酸産生能を比較した結果,HRBはnon-HRBと比較して葉酸産生能が高いことを見出した.さらに,HRBに属するBifidobacterium longum subsp. longum BB536における生理機能の分子機構をメタボローム, メタトランスクリプトーム,メタゲノム解析からなるマルチオミクス解析を用いて解析した.その結果,B. longum BB536は腸内細菌との相互作用により腸内代謝産物へ影響を及ぼすことが示された.これらの結果から,ヒト常在性ビフィズス菌は直接的に代謝産物を産生するだけではなく,腸内細菌種の構成および活性に作用することで腸内環境を変化させ,宿主の健康状態に影響を与える可能性が考えられた.
総  説 <特集:脳神経系と腸内細菌叢Microbiota>
  • 鈴木 チセ
    2017 年 31 巻 4 号 p. 187-195
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/03
    ジャーナル フリー
    精神的ストレスは精神疾患のみならず様々な疾病の危険因子でもある.健康の阻害要因であるストレスを腸管の側から,すなわち食品によってストレスを軽減することを目的に,マウスのうつ病モデルである慢性社会的敗北ストレスモデルを用いて,精神的ストレスが腸管に及ぼす影響を網羅的に解析した.本稿では,慢性社会的敗北ストレスモデルの実験方法やストレス負荷マウスの特徴について解説するとともに,筆者らの行った盲腸のメタボローム解析,盲腸・糞便の菌叢解析および回腸末端の遺伝子発現のマイクロアレイ解析の結果について,宿主の腸管の遺伝子発現と腸内細菌の構成,宿主および腸内細菌の代謝物という腸内エコシステムの観点から考察する.また社会的敗北ストレスを負荷したマウスの行動変化や身体的な変調を軽減する食品成分の探索について最近の研究例からその可能性について紹介する.
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