腸内細菌学雑誌
Online ISSN : 1349-8363
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ISSN-L : 1343-0882
33 巻 , 1 号
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総 説<特集:腸内菌叢はコントロールできるか?>
  • 堀米 綾子, 江原 達弥, 小田巻 俊孝, 清水 隆司
    2019 年 33 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    母乳は乳児にとっての最良の栄養源である.乳児の腸内細菌叢はビフィズス菌優勢であり,このことが児の健康に大きく貢献していると考えられている.母乳中にはさまざまな抗菌活性因子,免疫性因子,ビフィズス菌増殖因子が含まれており,これらが複合的に作用して乳児のビフィズス菌優勢な腸内細菌叢を形成するものと推測されるが,その詳細は未だ十分には解明されていない.一方,人工栄養児の腸内細菌叢は,母乳栄養児のそれと比較してビフィズス菌が少ないなどの差が認められることが古くから指摘されており,人工乳のさまざまな改良が腸内細菌叢改善の観点からも試みられてきた.本稿では,母乳中の因子による「乳児型」ビフィズス菌の増殖およびその他細菌の排除の仕組みに関する最近の知見について,主要なビフィズス菌増殖因子であるヒトミルクオリゴ糖(HMOs)の話題を中心に,われわれの研究成果も交えて紹介する.また,腸内細菌叢改善の観点からの人工乳の改良の歴史と現状,今後の可能性についても併せて概説したい.

  • 牧野 博, 久保田 博之, 石川 英司, 酒井 隆史, 松田 一乗, 秋山 拓哉, 大石 憲司, 久代 明
    2018 年 33 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    胎児の腸内は基本的に無菌状態であり,出生時に母親由来および環境由来の細菌に暴露されることで新生児の腸内細菌叢の形成が始まる.本稿では,まず母親の腸内および腟内細菌叢の重要性について述べ,新生児の腸内細菌叢の形成にビフィズス菌の母子伝播,出産形態,授乳形態などの因子がどのように関わっているかを概説する.また,無症状ながら乳児期特有に認められる病原性細菌の感染と定着事例を報告し,最後に新生児・乳児を対象としたプロバイオティクス生菌菌末の介入試験について紹介する.

報 文
  • 石塚 譲, 出雲 章久, 安松谷 恵子, 西田 眞治, 斉藤 恵子, 小森 勉, 忽那 圭子, 横山 晃一
    2019 年 33 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    ブロイラー(Ross 308種)雄を用い,増体,飼料効率,腸内微生物叢および免疫応答の強化に対するプロバイオティクスの効果を検討した.試験は,Enterococcus faecium BIO株の生菌または死菌を標準飼料に添加した区(生菌区および死菌区),抗菌性飼料添加物を添加した区(抗菌区)および無添加区(対照区)の4区とした.試験飼料は14日齢より49日齢まで給与した.免疫は,T細胞依存性およびT細胞非依存性免疫に及ぼす効果および遅延型過敏症反応に及ぼす効果について試験を行った.T細胞依存性抗原はヒツジ赤血球,T細胞非依存性抗原はブルセラ菌(Brucella melitensis)とした.遅延型過敏症反応への効果は,供試鶏の肉垂へのヒトγグロブリン免疫後の皮内反応で検討した.腸内微生物叢に与える効果は 1)そ嚢,2)十二指腸,3)空・回腸,4)盲腸の4部位で,検出対象の菌は,1: Escherichia coli, 2: Bacillus属,3: Enterococcus属, 4: Lactobacillus属, 5: Clostridium perfringens, 6: Campylobacter属, 7: 総嫌気性菌,8: 真菌とした.肉質への効果は,ムネ肉を用い,加熱損失,剪断力価,圧搾肉汁率および水分含量を測定した.その結果,49日齢時の体重に試験区間での有意な差は認められなかった.また,T細胞依存性抗原とT細胞非依存性抗原に対する28-49日齢時の抗体価およびヒトgグロブリンに対する遅延型過敏症反応のいずれも, 試験区間での有意な差は認められなかった.腸内微生物叢は,そ嚢では生菌区の真菌数が死菌区および抗菌区と比較して低く(P<0.01),空・回腸では抗菌区のEnterococcus属の菌数は生菌区,死菌区および対照区と比較して少なかった(P<0.01).生菌区の真菌数は,ほかの区と比較して少なかった(P<0.01).盲腸ではBacillus属の菌数は,生菌区および死菌区が抗菌区および対照区と比較して多かった(P<0.01).また, 抗菌区のEnterococcus属の菌数は, 死菌区および対照区と比較して少なかった(P<0.01).ムネ肉の加熱損失は,抗菌区で高く生菌区および死菌区と差が認められた(P<0.01).また,ムネ肉,モモ肉およびササミ肉の肉量に試験区間での有意な差は認められなかった.以上から,E.faecium BIO株は,生菌,死菌ともに増体や免疫応答の強化に対して有意な効果は認められなかった.一方で,E.faecium BIO株の生菌は,真菌数やBacillus属の菌数に対して,またE.faecium BIO株の死菌は,Bacillus属の菌数に対して有意な効果を持つことが判明した.

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