時系列データの予測モデル理論には様々なものがある.その中で, 近年灰色理論を用いた予測モデルとその応用に関する研究が行なわれている.この理論に基づいた予測モデルをGMモデルと呼ぶ.GMモデルの特徴の一つは, 時系列データの累積値を用いるところにある.こうすることで, 変動する時系列データを扱いやすくすることができる.現在, 灰色理論は自動制御以外にも様々な分野で応用されている.しかし, 灰色理論のモデル式を導く演算は高次で大きな数値を用いるため, とくに行列演算などには工夫が必要である.本研究では, 時系列データを定数C, 期間K, 係数αより表現したとき, パラメーターを求める方程式を導く.次に, C, K, αを変化させたときのパラメーターに与える影響について解析した.このため, 時系列データの期間が長くなると, 演算時に誤差が発生しやすくなることを明らかにした.つまり, GMモデルを用いた長期の時系列データ予測には誤差が発生しやすい.そこで, 本研究では, 時系列データの期間をグループに区切ることで新たな時系列データに変換する.これを期間圧縮と呼ぶことにする.次に変換された時系列データを用いて予測を行った後, 圧縮されている時系列データの予測値を解凍することにより, 圧縮前の時系列データの予測値を求める方法を提案した.この結果, 予測モデルの精度を上げることが可能になった.
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