近年における経営環境は多品種少量化,製品ライフサイクル短期化等の市場の構造的変化が急速であり,供給側主導の大量生産を目的とした生産システムの在り方が問われ,セル生産システムが注目されている.これらの生産方式の比較は多くの研究が報告されているが,各々の限定された観点からの検討であり,事例研究で指摘されている多数の制御要因を統合的に数理的モデルとして構成し,シミュレーション研究した例は少ない.そこで,作業時間および作業者の熟練度が確率変動を有すると想定し,さらにセル生産方式における付加作業,多能工化率,プロセス難易度,作業者一人が受け持つ作業数の増加に対する困難度,それを補う作業支援システムの整備度を制御要因とした数理的モデルを検討する.また,多様なプロダクトミックスを想定し,各制御要因を変化させたシミュレーションにより生産性および製品在庫量を評価値として各生産方式を評価する.以上の検討により生産方式の各制御要因と効率の関係を明確にし,生産方式選択の基本的指針を提案する.
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