在庫管理の問題は各種の不確実な情報のもとで,いつどれだけの量の発注を行なうのかに集約される.需要の情報における不確実性は顧客側より発生するものであり,構築されるサプライ・チェーンの下流からの不確実性であるといえる.一方,サプライ・チェーンの上流からの不確実性も存在する.生産工程での故障,原材料不足,過負荷により十分な供給が実現されない場合がある.また,生産業者での製造や検査の不備,輸送中の破損等から,小売業者への納入品に不適合品が含まれることは必ずしも否定できない.本研究では,基本的な在庫管理方式である定量発注方式と定期補充方式を取り上げ,不適合品の混入による不確実性の在庫システムへの影響について考察する.特に,不適合品の混入が在庫政策や在庫システムの運用費用にどのような影響を与えるのかをそれぞれの在庫管理方式において検証し,いくつかの知見を導く.同時に,それぞれの在庫管理方式における不適合品の混入による影響の違いについて検討する.
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