本稿では,外食産業のディナーレストランにおいて顧客の注文変化に合わせて従業員の調理プロセスと調理場所を改善する方法について提案する.レストランでは,顧客の注文は日々変動するが,調理師は調理時間を改善するために調理場所の変更を行わない.本稿では,第1に調理作業計測をもとに標準調理時間を計算するシステムを開発し,原材料や調理プロセスを設計するレシピシステムに組み込むことで,作業計測をしなくても調理時間を計算できるようにした.第2に,POSデータ,レシピシステム,勤怠管理システムを活用し,顧客の注文数と調理場所別の作業負荷との関係を分析した.分析の結果,1)レシピシステムは標準調理時間の計算は可能であるが,実際の調理現場では段取り替え作業が発生するため,補正指数が必要である.2)現場管理者は,顧客の注文数と調理師の作業負荷を比較することで調理場所の問題点を発見して改善することが可能であることがわかった.
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