本研究では,両手での下方押し込み作業に着目し,作業位置の違いが上肢および腰部負担に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.被験者10名に対し,力覚センサ上に取り付けた作業面を鉛直下向きに150Nの力で押し込むよう指示した.そして,作業面の高さ3条件(胸高,腰高,膝高)と体幹から作業面までの距離3条件(上肢長比100%,75%,50%)を要因とし,発揮力,関節トルク,筋電図,主観評価を計測した.その結果,作業面が高くなると肩や肘への負担が大きくなること,低い位置では上肢への負担が小さくなる反面,腰部に負担がかかることが明らかとなった.本研究は,現場での作業改善および負担の少ない環境構築に有用なデータになると考えられる.
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