日本経営工学会論文誌
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64 巻, 3 号
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原著論文(理論・技術)
  • 千葉 龍介, 赤坂 文弥, 舘山 武史, 下村 芳樹
    2013 年 64 巻 3 号 p. 377-385
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    サービスの設計において,コンテンツの品質を向上することにより顧客満足度を向上させることが可能である.しかしながら,企業·団体が投入可能なリソースは有限であることから,顧客満足度を向上するリソース配分を設計する必要がある.また,リソースには金銭的·時間的など様々な種類があり,いかなる種類のリソースをどの程度投入するかの意思決定も必要とされる.本論文では,サービス工学に基づく顧客満足度の評価とParticle Swarm Optimizationを用いて,これを解決する.また,動物園サービスを事例として,提案手法の有効性を検証する.
  • 嶋田 敏, 多比良 恵, 原 辰徳, 新井 民夫
    2013 年 64 巻 3 号 p. 386-398
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    顧客満足度はサービスの品質と顧客の期待との差分である.顧客はサービスに関する情報に基づいて期待を形成するため,提供者から顧客へとサービスの情報を伝達することは期待形成の補助となる.本研究では,この補助によりサービスの品質に応じて顧客に期待を形成させることで,顧客の異質性に対応することを目指す.本論文では,サービスの受給プロセス中の情報を顧客の期待およびサービスの品質へと結び付け,それらをシミュレーションにより算出可能なサービスのモデル化を提案する.さらに,スタンドカフェを題材に,商品が提供されるまでの待ち時間について,情報伝達の違いによる顧客満足度への効果に対する解析を行う.
  • 竹山 湧祐, 石田 崇, 後藤 正幸
    2013 年 64 巻 3 号 p. 399-408
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    パターン認識問題において,因果モデルと確率予測モデル,双方の特徴を持つ手法であるベイジアンネットワークが注目されている.本研究では,ベイジアンネットワークモデルのクラスを対象としたベイズ最適な予測法を新たに提案する.一般に,モデルクラス内の全モデルの事後確率による混合モデルが予測に対してベイズ最適だが,一般のモデルクラスでは混合モデルは複雑なモデルになるため,解釈容易性を持つ因果モデルとしての有用性を失ってしまう.そこで,モデルクラスをうまく構成することにより,ベイジアンネットワークの特徴を活かした混合モデルを構成し,さらにノード間の因果関係の強さを定量的に評価する方法を提案する.また,株の売買指標の予測問題に適用し提案手法の有効性を示す.
  • 小林 稔, 村松 健児
    2013 年 64 巻 3 号 p. 409-419
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    本論文では,今日の製造業のビジネス環境を反映したスケジューリングのベンチマーク問題を提案する.さらに,O2O-テクノロジによってこの問題を解いた結果を示す.この問題は,多品目多段工程多機械(代替機械を含む)の生産プロセスを対象としており,決定の局面は,製造オーダの発行からロットサイズの決定,ロット順序の決定,差し立て(使用機械の決定),負荷の平準化などから成る.提案する問題のデータは以下の状況を反映している.1. 納期を遵守して,余分な仕掛りを持たないで,スループットの向上ができないと利益の確保が難しい状況,2. 品目別出荷要求の量と時点の時系列データに大きな変動があり,品目間格差が大きい状況.
  • 菅間 敦, 門松 誠, 瀬尾 明彦
    2013 年 64 巻 3 号 p. 420-427
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,仰臥位での上方押し作業における作業位置が上肢負担に与える影響を定量的に評価し,上肢負担の小さい作業位置を明らかにすることを目的とした.実験は11名の被験者を対象とし,仰臥位において上肢を挙上し,作業部を片手で鉛直上向きに押し込む静的作業を行ってもらった.実験条件は,矢状面における押し込み部の水平位置(耳位置,肩位置,肘位置)と高さ(上肢長比60%, 75%, 90%)をそれぞれ3条件ずつ組み合わせた計9条件とした.上肢負担は,関節トルク,筋電図,主観評価によって評価した.実験の結果,肩の位置かつ上肢長比90%の高さで上肢負担が小さく,最も作業しやすいことがわかった.立位では肘の高さかつ身体に近い位置が正常作業域とされているが,仰臥位では異なる作業域を推奨する必要があることが示された.
  • 齊藤 哲, 光國 光七郎
    2013 年 64 巻 3 号 p. 428-437
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    企業がBPRを行うには,業務機能の詳細化だけではなく,業務間連携の設計が必要になる.しかし,一般にBPRプロジェクトは機能中心に詳細化が進められるため,連携の設計が置き去りにされることが多い.これらの問題を解決するには,機能の詳細化だけではなく,連携も同時的に詳細化するモデリングアプローチが必要となる.本稿は,G-RD(Global Relations Diagram of Function and Demarcation: 機能と責任境界·管轄の全体連携図)というモデリングアプローチを用いて,機能と連携を同時的に設計した事例を通して,G-RDを活用した業務設計方法を提言し,その有効性を評価する.
  • 岩間 大輝, 石田 崇, 後藤 正幸
    2013 年 64 巻 3 号 p. 438-446
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    本論文では,データ圧縮手法の一つであるベイズ符号化法を利用した自動文書分類手法を提案する.ベイズ符号化法は有限長のデータ系列に対してベイズ最適性を保証したデータ圧縮手法である.データ圧縮を用いた文書分類手法は辞書式のZIPフォーマットを用いた手法や,統計型のContext Tree Weighting (CTW) 法を用いた手法が提案されている.これらの手法ではあらかじめ個々の文書に対してデータ圧縮処理を行い,その圧縮率を用いて文書間の類似度を測り分類を行う手法である.一方,本手法ではベイズ符号化法がデータを圧縮する際に情報源の確率構造を陽に推定し,副次的にその確率構造を出力が可能であることを利用する.個々の文書ごとに推定された確率構造を用い,それらの距離によって文書同士の類似度を測ることにより文書分類を行う.さらに提案手法を著者判定の文書分類問題に適用し,その有効性を示す.
  • 窪田 諒, 市来嵜 治, 小森 俊和, 松本 俊之, 江利川 秋浩
    2013 年 64 巻 3 号 p. 447-459
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,事務機器など手組み付けの多い製品を想定し,部品の組み付け順序や部品同士の関連性を考慮したキッティング·トレーを用いて,訓練を受ける作業者が組み立てと分解·キット作業をする訓練を提案した.また,S.L.P. (Systematic Layout Planning) 法を応用した,部品の関連性を考慮したキッティング·トレーの設計手順を示し,それに基づきキッティング·トレーを作製した.木製バイク模型の組立作業を対象にした実験により,提案する訓練を一般的な訓練と比較した.その結果,提案する訓練は一般的な訓練に比べて,訓練中の習得を早め,訓練から7日後においても動作と作業手順の想起の早さが維持されるだけでなく,製品の構造に関する記憶が促進·維持されることが確認できた.
  • 平野 健次
    2013 年 64 巻 3 号 p. 460-471
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    本論文は,ビジネスシステムの設計や改変に関わる能力を改善するために,Business system transformation model(BSTM)を用いて,事業計画に関する意思決定過程で行われる議論を促進するための方法を提案する.この方法は,関係者間の議論に関する情報を蓄積し,それらの情報を議論の改善や事業計画の修正に利用することによって,適切な事業の設計や改変に貢献するものである.本方法をある東証一部上場企業における製品企画活動に適用して,アンケートとヒアリング調査によって利用効果を明らかにすると共に,利用効果の順位付けデータを分析した結果,提案した方法が有益であることが認められた.最後に,会議の議論を記録するための工数に関する諸問題と可能な解決策について議論する.
  • カスモ サラー, 池田 太将, 圓川 隆夫
    2013 年 64 巻 3 号 p. 472-479
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    本論文では,作業変動を吸収するための助け合いゾーンをもつ分割方式のセル生産において,工程間にバッファを導入する効果を解明する.そのためにラインバランスの観点からバッファをもつことを前提としたDLB (Dynamic Assembly-Line Balancing) の枠組みを援用しながら,セル生産に適したワークの受け渡しルールやその意思決定単位を取り込むことによってモデル化しスループットに与える影響をシミュレーションによって検証する.その結果,作業の変動が小さいときには逆に助け合いの効果を抑制するものであり,変動が大きいときのみ両者が変動を吸収する補完効果をもたらす等,セル生産におけるバッファ導入に対する有用な示唆が得られた.
原著論文(事例研究)
  • 加幡 美音, 開沼 泰隆
    2013 年 64 巻 3 号 p. 480-487
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    2011年の東日本大震災において,震災発生後に一部の被災者に対して救援物資が不足し,供給活動が上手く機能しなかった問題を受け,救援活動を行う上で救援物資の「サプライ·チェーン·マネジメント」の取組みが重要であると考えられる.本研究では,東日本大震災の事例から,災害時の救援物資のサプライ·チェーン·マネジメントに必要な原理を明らかにし,その観点から,数量化Ⅲ類を用いて適切な災害救援活動が行われたのかという検討を行った.
  • 足立 幸子, 池上 敦子, 宇野 毅明
    2013 年 64 巻 3 号 p. 488-497
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/24
    ジャーナル フリー
    事業所におけるスタッフの毎日の勤務を決定する問題をスタッフスケジューリング(勤務表作成問題)という.一般に人件費は抑制されることが多いことから,スタッフスケジューリングは実行可解を求めることすら難しいことが多く,長い時間を費やす作業である.さらに訪問介護事業所においては,サービスの利用者が必要とする介護サービスに対して,適切なヘルパーを割り当て,ヘルパーの勤務可能性と移動時間も考慮する必要があるため,さらに難しい問題となる.訪問介護事業所でのITによる支援は事務手続きに関するものが主体であり,実用的な自動スケジューリング機能は提供されていないと言っていいだろう.他の最適化問題を含め,最適化手法を用いた支援システムの研究は多くあるが,実際に計画を作成する際に必要となる労力やコスト,つまり勤務表作成にかかる労力がどの程度削減できるのか,作業のボトルネックはどの部分になるのか,という点を明らかにしようと試みた研究はほとんど行われていない.我々は「勤務表作成者の負荷の軽減」を目標とし,最適化技術を用いたスケジューリング機能に重きを置いた勤務表作成支援システムの構築に関する研究を行ってきた.本論文では,このシステムを用いて実際に行われた勤務表作成の作業を観察することで,最適化システムの導入でどのような作業効率化が図れるか,システムが持ちうる問題点はどこにあるのか,といった点を明らかにし,良いシステムをデザインする上での指針を得ることを目的とする.
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