日本経営工学会論文誌
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67 巻, 1 号
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原著論文(調査研究)
  • 金川 秀也, 石田 真之
    2016 年 67 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル フリー
    日経225平均株価指数の日次収益率に対してブラック・ショールズモデルと複合ポアソン過程によって構成されたジャンプ拡散過程によってモデリングを行った場合に、複合ポアソン過程から発生した日次収益率のジャンプ時点を推定する.特に一日の終値による日次収益率は完全な離散データであるため、これらの時系列データから連続部分とジャンプ部分を分離することは容易ではない.本報告における複合ポアソン過程を同定する手法は、ヒストリカル・ボラティリティを基準として振幅の大きなジャンプを判別するため、株価の連続部分のモデル形(ブラック・ショールズモデル)をフルに使用しておらず、株価データから得られるトレンドとボラティリティの推定値しか必要としない.ヒストリカル・ボラティリティの観測期間の選び方で大きく分析結果が異なることから、これまで曖昧であったヒストリカル・ボラティリティ算出のための適切な株価観測期間が存在することを実証する.またジャンプ時点を抽出する問題はリスク管理の観点から極めて重要であり、提唱された手法は株価モデルへの頑健性が高いことから、応用面から有効であると期待される.
原著論文(理論・技術)
  • 門松 誠, 瀬尾 明彦
    2016 年 67 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,タッチパネルの操作法がパネルの設置環境に応じた全身の姿勢や操作時の身体負荷に与える影響を明らかにすることである.被験者11名を対象に,正面に設置したタッチパネルのスイッチを押す課題を行わせた.実験条件は,タッチパネルの操作法を2条件(操作回数:1回,10回),設置環境は高さ3水準(肩高,腰高,膝高)と面角度2水準(水平0°,垂直90°)の組み合わせの6条件で,計12条件とした.その結果,操作法が全身の姿勢と身体負荷に与える影響はタッチパネルが腰高では小さく,肩高や膝高で認められた.肩高では,1回操作よりも10回操作では頸部を前屈させて上肢を外転した肢位を取っていた.ただし関節トルクの増加は頸部のみで上肢は変化がなかった.腰高では,面角度が垂直の場合に,1回操作より10回操作でやや体幹を前傾させて腕を挙上させる肢位を取っていたが,有意な変化ではなかった.膝高では,面角度が垂直の場合に,1回操作では体幹を大きく前傾させる中腰の姿勢を取っていたが,10回操作では体幹の前傾が浅く,膝関節を深く屈曲させる蹲踞の姿勢を取る場合が多く見られた.これにより,1回操作に対して10回操作では,腰部と頸部の負荷は下がるが上肢の負荷が上がる姿勢を取るとわかった.
  • 神田 翔平, 高橋 勝彦, 森川 克己
    2016 年 67 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル フリー
    近年,見込み生産(MTS)および受注生産(MTO)を同一設備内で行う動的MTS/MTOハイブリッドシステムの開発・解析が盛んに行われている.MTS/MTOハイブリッドシステムは, MTS専用マシンおよび状況によってMTS生産とMTO生産に切り替えが可能なハイブリッドマシンの2種類で稼働している.一方,顧客からの需要は,長期契約などがあり品切れ損失が大きい優先需要と,確率的な需要で品切れ損失の小さい一般需要の2クラスに大別できる.本研究では,動的MTS/MTOハイブリッドシステムにおいてMTS需要を2クラスに分類し,一般需要をある優先度でのみ受け入れるフレキシブルサービス規則を取り入れた在庫管理方針を提案した.提案した方針は状態推移図を用いたマルコフ解析により解析し,MTO待機顧客数やシステム運用費用を計算した.数値実験により,提案した在庫管理方針はシステム運用費用やMTO待ち行列長などの削減効果があり,提案した在庫管理方針の有効性が示された.
  • 肥田 拓哉, 三浦 一記, 江口 正修, 梶原 康博
    2016 年 67 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル フリー
    これまでにOWASに準拠した作業姿勢設計支援システムの開発を行っている.このシステムにより作業負担を軽減できる作業姿勢を再設計することはできたが,再設計により作業動作が増えることで作業時間が長くなるという課題があった.この対策として作業者に作業補助具を装着させ,作業動作を増やさずに作業負担を軽減することが考えられる.しかし,OWASでは作業補助具を装着した状態での評価は想定されていない.そこで本研究では,作業補助具を装着することによる負担軽減の大きさを定量的に求め,OWASに準拠した作業負担評価を可能にする手法を提案した.さらに提案手法を本システムに実装し,適用例により手法の実用性を検証した.
  • 朝倉 涼次, 勝又 大介, 玉置 研二
    2016 年 67 巻 1 号 p. 37-48
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル フリー
    機器の故障原因の迅速な特定のために,原因特定に要する作業時間の期待値に基づいて作業を指示する方法を提案する.本方法では,故障原因特定のための2種類の作業,すなわち故障原因の候補を絞り込むための診断作業と,真の故障原因を特定するための確認作業をノードとするグラフィカルモデルを用い,グラフィカルモデルを分割した小規模なグループごとに期待値最小となる作業順序を決定する.故障原因を乱数で発生させるモンテカルロシミュレーションを用いて提案方法を評価し,従来の作業指示方法と比較して原因特定にかかる作業時間を短縮できることを確認した.
  • 門松 誠, 瀬尾 明彦
    2016 年 67 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,押し込み動作の種類と作業条件が全身の姿勢や動作時の身体負荷,作業のしやすさに与える影響を評価し,押し込み動作の条件と全身の姿勢生成の関係および動作時の身体負担を明らかにすることである.被験者10名を対象に,右手により把持対象を50Nの力で押し込む課題を行ってもらった.実験条件は,押し込み動作の種類2条件(瞬発的,持続的),押し込み方向2条件(前方,下方),作業点の高さ3水準(肩高,腰高,膝高)を組み合わせ,計12条件とした.その結果,押し込み動作の種類が全身の姿勢に与える影響は肩高や腰高で小さく,膝高で大きくなった.前方・膝高の条件では,持続条件で蹲踞の姿勢を取る割合が瞬発条件よりも大きく,膝関節の屈曲をさらに動員させて身体を上下に調整させるとわかった.また,押し込み方向が姿勢に与える影響は大きくなかったものの,前方押し込み動作では腰部椎間板圧縮力が大きく,下方の作業動作は肩関節トルクや肘関節トルクが大きくなる等の身体負荷の差は明確に示された.作業点の高さによる姿勢の違いは顕著にみられており,肩高では上肢を前方に挙上させて上肢動作によって力発揮を行うのに対し,膝高では膝関節の屈曲や体幹の前傾を利用して中腰や蹲踞の姿勢より押し込み動作を行うとわかった.また,押し込み力自体は作業点が下がるにつれて増加しており,膝高の値が肩高よりも20Nほど大きくなることが確認された.さらに,全ての作業条件で瞬発動作の値が持続動作よりも約20Nも大きく,これに伴い瞬発動作の上肢負荷や腰部椎間板圧縮力は持続動作よりも増加することから,作業動作の種類が身体負荷に影響を与える因子であると示された.
  • —レストランにおける職種による差異の分析—
    野中 朋美, 藤井 信忠, 新村 猛, 高橋 俊文, 貝原 俊也
    2016 年 67 巻 1 号 p. 59-69
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/02
    ジャーナル フリー
    本稿では,異なる職種における顧客接点と顧客志向性を考慮した従業員満足度モデルを提案する.レストランを対象にアンケート調査を実施し,共分散構造分析により顧客サービス向上と従業員満足の意識との関係構造をモデル化する.レストラン店舗では,調理場やフロア,配膳・洗い場などの職種によって,サービス生産における役割や,顧客接点,必要とされるスキルや技能が異なることに着目し,それらによる従業員満足度構造の違いを共分散構造モデルのパスで示すことにより陽にモデル化する.日本国内に存在する和食レストランチェーンを対象にアンケート調査を実施し,職種による従業員満足度構造の差異を明らかにする.
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