日本経営工学会論文誌
Online ISSN : 2187-9079
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67 巻, 2 号
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原著論文(理論・技術)
  • 松川 弘明, 劉 唐
    2016 年 67 巻 2 号 p. 73-82
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー

    近年サプライチェーンリスクマネジメントに関する研究が注目を浴びている.特に東日本大震災以降,ダイヤモンド型サプライチェーン(SC)の存在が明らかになり,調達先の調達先の所在地や経営状況を含めた情報収集が急ピッチで行われている.これはすなわちSCにおけるモノの流れを見えるようにするためであり,本研究ではこのようなSCの見える化のための効率的な方法を提案し,有効性を検証することを目的とする.具体的にはSCにおける物流情報を収集するSC見える化システム(SCVS)を構築し,3段階からなるSCを対象に,ロールプレーによる実験を行った.その結果,受発注の経験がない被験者でも本研究で開発したSCVSを用いることにより,調達先や調達先の調達先が被災したために発生する損失を最小限に抑えることができ,SCVSを用いないときに比べて利益を増やすことができた.特に,途絶企業と直接つながっていない企業も利益を増やすことができたことは,川上と川下双方向の見える化の必要性を強くサポートするものであり,間接被害を防ぐためには調達先の調達先だけでなく,販売先の情報も把握する必要があることを示唆する.本研究ではさらにSCの途絶リスク対策として,冗長性,頑健性,および柔軟性の3つの強化策と柔軟性とその他の2つの強化策との組み合わせを加えた計5つの強化策についてシミュレーションを行い,本研究で設定したシステム条件のもとでは在庫を増やす冗長性強化策は必ずしも最善策ではないことを確認し,どの強化策がSC途絶リスク対策として有効であるかは企業内部条件とその企業が置かれている環境に依存することを示した.

  • 橋本 佳弘, 市来嵜 治, 篠田 心治
    2016 年 67 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー

    近年の製造企業において,生産準備プロセスの短期化がますます求められている.組立工場の生産準備において,最適な組立順序の決定は重要である.しかし,実際には技術者の経験に基づき,限られた組立順序の中での検討にとどまっていることが多い.そこで本研究は,先行研究で提案された「位置関係マトリクス」を用いた,網羅的な組立順序導出法の考え方を提案した.網羅的な組立順序導出には,組立過程で作られるすべての中間製品の導出が必要である.そこで,完成品から部品を分解することで,実行可能な中間製品を効率的かつ網羅的に導出する方法を提案した.さらに,それらの中間製品から組立順序を導出する手順を示した.提案方法を13部品と24部品からなる2製品に適用し,その有効性を確認した.

原著論文(事例研究)
  • 大宮 望, 山本 久志, 大場 允晶, 丸山 友希夫, 中邨 良樹
    2016 年 67 巻 2 号 p. 92-99
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー

    近年,情報システムは企業にとって経営上,なくてはならない存在となってきている.情報システムの保守工程は,開発工程より費用が多く掛るといわれており,経営課題の一つとなっている.その原因の一つに,バグに関係する問い合わせがある.この問い合わせは,発生することを予測することが出来ないため,準備が出来ずに対応に多くの時間を要する.バグに関係する問い合わせが発生する要因については,様々な研究がなされているが,明確な分析はなされていない.そこで本研究では,バグに関係する問い合わせの内容,時間及び件数をクラスタ分析し,考察することによって,その発生要因を明らかにする.これをもとにバグに関する問い合わせの発生を,予測するモデルを提案する.これに加えて,予測モデルを実現場で利用するために「情報提供シート」も合わせて提案する.

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