日本経営工学会論文誌
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68 巻, 1 号
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原著論文(理論・技術)
  • 黒木 学, 山下 遥
    2017 年 68 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    本論文では, p次元多変量データがqj次元線形構造を有するk個のクラスターによって特徴づけられるとき (0 ≤ qjp - 1; j = 1, ..., k), このデータを解析するクラスター分析法として, 改良型k-planes法を提案する. 改良型k-planes法は, 多変量データを0次元線形構造を有するk個のクラスターによって特徴づける場合にはk-means法と一致し, 共通のq次元線形構造を有するk個のクラスターによって特徴づける場合にはBezdek et al. (1981a, 1981b), Bradley and Mangasarian (2000), 黒木他 (2004) によって提案されたk-planes法と一致する (0 ≤ qp - 1). また, 改良型k-planes法は, いくつかのクラスターに対して共通の線形構造を導入することができるという点で, Bezdek et al. (1981a, 1981b), Bradley and Mangasarian (2000), 黒木他 (2004) よりも柔軟なクラスター分析法となっている. 加えて, 解析結果を視覚的に表現するために, (1) k個のクラスターのそれぞれを特徴づけるqj次元線形構造を含むk個のq次元超平面を構成し (q = max{qj |j = 1, ..., k}), (2) これらすべてと可能な限り“直交”するp - q次元超平面を求め, (3) この超平面へ個体布置を行う, といった手続きを提案する. 最後に, 数値実験と適用例をとおして, k-means法, k-planes法, 改良型k-planes法の性能を比較し, 改良型k-planes法の有用性を示す.

  • 平野 健次
    2017 年 68 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究では, ビジネスを立案する際に発生した諸問題や失敗の原因を発見するために, 意思決定過程の議論を感情属性に着目して可視化し, 分析する方法を提案する.ビジネスの改変が困難な状況にあるときには, ビジネス会議の際に感情的な意見が発生することがある.このような意見は, 利害関係者間の見解の相違や, 事業変革が困難な状況にあることを特定するために役立つ.また意思決定過程で発生する感情的な意見を追跡することによって, ビジネス改変上の失敗や成功の要点を特定することができる.これらを踏まえ, 本研究では, 最初にビジネス会議における意見の性質を整理し, 議論の分析に役立つ感情属性を導入する.次に顔文字で表現される感情要素を含む意見の性質から, 議論の構造を数量化理論3類により可視化する.この方法は, ビジネス会議での意見の対立や決裂, さらに問題を解決していく過程の認識をし易くする.さらに, 本方法をビジネスシステムトランスフォーメーションモデル (BSTM) に蓄積された幾つかの事例に適用し, 提案した方法の有用性を示す.最後に, 運用上の問題と本方法の可能性について検討する.

  • 黄 立群, 清水 友也, 松川 弘明
    2017 年 68 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究では1つのサプライヤーと1つのバイヤーから構成される2段階サプライチェーンにおける供給契約問題を対象とする.市場の需要は不確実であり,需要予測は生産開始時と販売シーズン開始時の2回行われる.バイヤーは最初の需要予測に基づいてサプライヤーに一定量Qの初期発注をすると同時に,将来の需要の変動を見込んでオプションqoを購入する.バイヤーは販売シーズンが始まる直前に2度目の需要予測を行い,初期発注量とオプション量の合計Q+qoと比較してオプション行使量qe (≤ qo) を決める.バイヤーの意思決定変数がQ, qoqeであるのに対し,サプライヤーの意思決定変数はオプション価格poおよびオプション行使価格peであり,バイヤーの意思決定変数はサプライヤーの意思決定変数の関数である.本研究ではバイヤーもサプライヤーも自社の利益を最大にする最適な意思決定を行うことを前提に,サプライヤーの利益を最大にするオプション価格poおよびオプション行使価格peを求める方法を提案することを目的とする.そのために,本研究では2つのステップで構成する最適化方法を提案する.まず第1ステップでは与えられたオプション価格とオプション行使価格の下でバイヤーの利益を最大にする最適発注量Q, 最適オプション購入量qo, および最適オプション行使量qeを決定する.第2ステップではpopeの関数であるQ, qoおよびqeをサプライヤーの利益最大化モデルに代入し,最適オプション価格poおよび最適オプション行使価格peを求める.サプライヤーの利益最大化条件がpopeの7次連立方程式になったため,本研究ではMathematicaを用いた数値計算で最適popeを求めた.さらに,数値例を用いてpopeの最適性を示すとともに,パラメータを変化させたときの考察を行い,サプライヤーとバイヤー両方の利益が多くなることを示した.

  • 林 建太朗, 伊呂原 隆, 佐々木 喜仁
    2017 年 68 巻 1 号 p. 33-46
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    物流センター内の作業では, オーダーピッキングが時間と費用の大半を占める.ゆえに, オーダーピッキングに関しては, 様々な研究がなされてきた.しかし, それらはオーダーにのみ注目したものである.近年, 需要の多様化から一度しか注文されない低需要の商品や, たくさんの顧客から注文される高需要の商品が発生してきている.ゆえに本研究では, 高需要の商品に対してはその商品のみを一括でピッキングするというカテゴリーピックを提案し, 低需要の商品に対しては従来通りのオーダーピッキング (本研究ではマルチピックと呼ぶ) を用いることを考える.この2種類のピッキング形態を適切に使い分けることで総作業時間が短縮することが示された.

原著論文(事例研究)
  • 滝 聖子, 角田 陵輔, 高野倉 雅人, 山田 哲男
    2017 年 68 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2017/05/15
    ジャーナル フリー

    1950年代にL. M. ギルブレスらは家庭内の作業に育児があるという問題点に着目し, その作業改善のための研究を行った.しかし, 現在の日本における母親の支援や問題解決には至っていない.そこで, 本研究では育児作業をする母親の負担軽減を図るために, 事例を通じて育児中の母親の負担について定量的に把握することを目的として, 日本で乳児を育てている母親の6か月間のライフログを収集し, 分析する方法を提案する.そして, 子供の月齢によって変化する母親の行動と育児中の高強度の活動(身体的負担の大きい行動)について分析し, 事例を明らかにする.さらに, 高強度の活動と判明した外出行動について, その割合が子供の月齢によってどのように変化するかについても考察する.

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