クロスドッキングセンター内の出庫エリアにおいて,シュートからドックへの商品の運搬時間を削減するためどの店舗宛の商品をどのシュートに落とすか,どの店舗行きのトラックをどのドックに到着させるかを考えることは重要である.しかし,運搬時間のみを考慮し需要量の大きい店舗が特定のシュート・ドックに偏ると混雑が発生し,本来想定しているよりも長い作業時間を費やしてしまうことがある.本研究では,商品運搬時間の削減と混雑緩和のトレードオフに着目したシュート・ドックへの店舗割り当てモデルを提案する.また,厳密解法の適用が困難な大規模問題を解くため,遺伝的アルゴリズムと局所探索法を組み合わせた近似解法を提案する.
アジャイル型開発手法(アジャイル型)の適切な選択はプロジェクトの成否に影響するため,アジャイル型の有効領域の理論的研究が必要性とされている.アジャイル型では反復的開発により,曖昧な要求等による手戻り作業の兆候を早めに察知できるが,反復型開発の調整工数(オーバーヘッド)が追加工数となる.本研究では,従来の反復型開発の工数計算モデルに加え,手戻り作業の発生の抑制効果を導入し,アジャイル型の有効領域をより総合的に考察できる基礎数理モデルを提案する.数値実験により,手戻り発生の抑制効果が大きいほどアジャイル型の有効領域が広くなるが,有効領域はオーバーヘッドの影響をより強く受ける場合があることを示した.
In this paper, the point of service encounters was considered based on the difference with the production area. Based on the servuction system which captures service at a production-like standpoint, the research theme of industrial engineering is discussed. As a result, three sub-systems in the servuction system and five factors in the service system are discussed. Finally, an example of the research theme in each system is shown.
近年の情報技術の発展に伴い,大規模データを取り扱う方策の一つとして物理的に離れた場所に存在するデータベースへのデータの格納がある.このようにして分散保持されたデータから知識発見を行う手法として分散データマイニング (DDM) が注目されている.この手法の1つにForreroらによるConsensus Based Distributed Support VectorMachines(D-SVM) と呼ばれる手法が存在する.D-SVMは任意のネットワークモデルのもと,大域的なSVMのパラメータを学習することができるが,学習時の計算回数と通信コストが各データベースに保持されたデータの統計的特徴に影響を受けることが知られている.他方,ネットワークの構造として,例えば拠点間を相互にセキュアに接続することで互いの情報をやり取りするようなネットワーク構造を考えることができる.D-SVMのような任意のネットワークモデルに対応可能な手法よりも,このようなネットワーク構造のもとで効率的にSVMを学習することができれば実問題においても有用であるといえる.そこで本研究では,分散して存在するデータベース同士が互いに全て接続されているようなネットワーク構造を仮定し,データの転送制御に基づいたD-SVMの学習法を提案することで学習に必要な計算回数と通信コストを削減する手法を提案し,人工データ,ベンチマークデータを用いた評価実験によりその有用性を示す.
現在,行政,医療,学校など様々な分野で既存要素の統廃合が進んでいる.また今後予想されるさらなる高齢化社会,若年者人口減少,労働者の不足などを大きな社会問題として抱えている.そのような問題に対応するために,各分野での類型化を実施して対象毎の特徴を明らかにし,効率的な改善が必要である.またビッグデータ環境が広がり,多くのデータを取り込み,解析を実施するためには,整備された解析環境が必要である.またオープンデータやWebAPIを利用することで,新しい要素を取り入れた解析が可能になる.本研究ではこのようなビッグデータ環境の中で類型化を実施するための類型化解析基盤の構造およびフローを整理し,任意の規模で類型化を実施できる環境を提案する.類型化にはDEAを用い,各要素の特徴を明確にするとともに改善指標を示し,結果を可視化する.その類型化解析基盤を用いて,実際にある医療機関の類型化を実施し,特徴を持った分類と現実的な時間内での計算を確認する.
経済のグローバル化によって多くの企業が海外へ進出し,生産拠点の海外移転などグローバル生産が広がっている.しかし,さまざま理由により海外生産から撤退する企業も多いのが現状である.そのような状況のなか,企業はOJTやOff-JTを通して人材育成を図っている.また,企業から教育機関に対する人材育成への期待は高く,大学ではそれに合わせた教育方法やカリキュラムの改革が求められている.そこで本研究では,経営工学を学んでいる大学生を対象として,グローバル生産について効果的に学習できるボードゲームを開発し,それを用いた教育方法を提案した.その教育効果を検証するため,従来法である書籍による教育と提案法である開発したゲームによる教育を比較したところ,グローバル生産に関するクイズにおいて,提案法は従来法よりも正答数が有意に多くなった.以上より,開発したゲームを用いた教育方法の効果を検証することができた.
In recent years, under the limited information that the means and variances of the failure and repair times are just given, the method of evaluating MTTF in the two-component standby redundancy system with priority has been proposed. In this study, by expanding the idea to evaluate MTTF proposed in the previous research, an evaluation method for the variance of the failure times in the aforementioned system is established under the premise that the means and variances of the failure and repair times are just given. Through numerical verification, the usefulness of the evaluation method constructed in this study is reconfirmed.