近年のインターネットを通じたeコマースの急速な進展により,商品の流通コストの削減や納入リードタイムの短縮に向けたサプライチェーン全体の合理化が求められている.商品の商流と物流の接点になる物流センターの役割が高まっており,そこでの効率向上が重要なテーマになってきている.このような問題意識のもとで,本稿では顧客からの注文に基づいて商品棚から商品を回収する物流センターでのオーダーピッキング作業に着目し,この作業を効率化するための方法を考察する.センター内に垂直ならび水平方向に通路を配置したトラディショナル・レイアウトを評価の基準にして,1)作業フロアのレイアウト変更と2)商品の保管位置の変更による効果を検証する.論文の前半では,物流センター内に配置される通路の幅と商品棚の大きさが十分に小さいと仮定したもとでの数理モデルを構築し,上記1)と2)を個別に実施した場合の効果をピッキング作業者の移動距離の観点から評価する.また,論文の後半では,上記1)と2)を組み合わせた複合方策を提案し,その効果を評価している.方策1では,商品の集積地点を倉庫フロアの下辺中央に移動すると共に斜めの通路を導入する.更に,出荷頻度に応じて商品を2段階に分けた上で保管位置を決めるクラス別保管が行われる.方策2では,商品の集積地点を倉庫フロアの下辺中央に移動すると共に,倉庫フロアを45度の斜め線で区切ってクラス別保管が行われる.結果として,提案したいずれの複合方策も,基準とするトラディショナル・レイアウトでの作業に比べて作業者の平均移動距離が25%以上短縮されることを明らかにした.
J1リーグの年間スケジュールの作成を対象に,2段階のアプローチを適用する.2重総当たり戦のためのスポーツスケジューリングに対し,第1段階で,与えられたチーム数に対して対戦可能なhome-away table(許容HAT)を最小ブレーク数で作成し,第2段階で,シードチームの対戦や各チームの移動距離を考慮して,作成されたHATにチーム割当を行う方法である.既存研究では,許容HAT作成をHAパターン作成と許容(全チーム間で対戦可能)となるHAパターンの組合せを,分けて段階的に行われてきたのに対し,本研究では,基本制約に対するブレーク数最小の許容HATを直接作成する高速アルゴリズムを提案するとともに,一般的に考えられる制約も加えた場合のモデルを構築し,2018年の実データに対し,J1リーグの年間スケジュールを作成した結果を報告する.
Hoeffding probability inequality has been known as the best theoretical way for evaluating the upper bound of upper probability about the average of some random variables based on limited stochastic properties such as the expectation, variance and codomain in each random variable. In this study, based on Hoeffding probability inequality, we address a numerical analysis procedure for improving the performance to evaluate the upper bound of upper probability about the average of some random variables.