日本経営工学会論文誌
Online ISSN : 2187-9079
Print ISSN : 1342-2618
ISSN-L : 1342-2618
77 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著論文(調査研究)
原著論文(理論・技術)
  • 澤永 遥加, 楊 添翔, 後藤 正幸
    2026 年77 巻2 号 p. 72-84
    発行日: 2026/07/15
    公開日: 2026/08/15
    ジャーナル フリー

    近年,ECサイトなどで推薦システムが広く活用されている.ユーザの付与した評価値が利用可能な場合,モデルが算出した予測評価値の高い順にアイテムを推薦する手法が主流である.特に,このような手法においてはレビュー文を活用することで予測精度が向上することが知られている.その代表例として,Transformational Neural Networks (TransNet)が挙げられる.TransNetは,ユーザが過去に購入または閲覧したアイテムに付与した評価値とレビュー文を活用し,未購入アイテムに対する評価値を予測する.この際,評価値予測は回帰問題として定式化され,二乗誤差などの連続値を想定した損失関数を用いてモデルを学習する.これは,評価値を複数の評価段階が等間隔に並んでいる間隔尺度として扱ってモデルを構築していることを意味する.しかし実際には,評価値は大小関係のみに意味があり,差は一定ではないため,順序尺度として扱う方が妥当である.このような背景から,本研究では,TransNetを援用し,順序尺度である評価値の特性を反映した推薦モデルを提案する.具体的には,評価値予測を包含関係のある多クラス分類問題として定式化する.これにより,評価値の間隔を柔軟に学習することが可能となり,予測精度の向上が期待できる.最後に,複数の実データセットを用いた実験により提案手法の有効性を示す.

  • 長久保 伊吹, 堀川 三好, 岡本 東, 堀川 真伸
    2026 年77 巻2 号 p. 85-93
    発行日: 2026/07/15
    公開日: 2026/08/15
    ジャーナル フリー

    高速道路トンネルにおける火災時の濃煙空間では,避難者の位置を広範囲かつ低コストで把握する技術が不可欠である.本研究は,この課題に対し,スマートフォンが発するWi-Fiプローブ要求を利用した新たな人流解析手法を提案する.提案手法は,プライバシー保護を目的に複雑化するMACアドレスのランダム化に対応するため,MACアドレスに依存しない6種類の特徴量を利用する.安価な機器の利用とリアルタイム性を確保するため,事前の大規模な学習を必要としない教師なし学習を適用し,モバイル端末の台数を推定する.提案手法の有効性を検証するため,実際のトンネルで避難行動を模擬した実証実験を行った.その結果,複数Wi-Fiパケットキャプチャを一定の間隔で配置することで,滞在人数の時系列変化を高い精度で可視化可能であることを示す.端末台数推定では,特に少人数グループにおいて先行研究のRSSI閾値ベースの手法を上回る精度を達成し,エリアごとの滞在人数が時間経過と共に移動する様子を時系列で可視化できることを実証した.一方で,大人数グループでは推定誤差が増大する課題や,実環境では歩行者自身の身体による電波遮蔽の影響で,実際の人数より少なく推定される傾向があることも明らかになった.

原著論文(事例研究)
  • 木村 瑠太, 多田 竣汰, 志田 敬介, 中嶋 良介
    2026 年77 巻2 号 p. 94-106
    発行日: 2026/07/15
    公開日: 2026/08/15
    ジャーナル フリー

    製造業の生産現場において作業者の労働環境を整備するためには,日常的に作業時の作業負担を評価し,継続的な改善活動を実施することが重要である.本研究では,実際の作業時に生じる作業負担を自動評価する方法について議論している.具体的には,マルチカメラを用いて作業者の作業の様子を撮影し,画像解析によって得られる2次元骨格データを用いてOWAS(Ovako Working Posture Analysis System)に基づき作業負担を推定する方法を考案した.また,実際の物流工場の生産現場に適用した結果,OWASにおける作業の負担度合いを示すAC(Action Category)を85.9%の精度で推定可能であることが確認された.ただし,特に高負担な作業であるAC4の推定精度には課題が残り,自動評価の結果に対して最終的に人間の判断を介入させることで,実務の場で有用な手法となりうることが示された.

  • 高橋 啓, 岩本 空, 松田 圭央
    2026 年77 巻2 号 p. 107-121
    発行日: 2026/07/15
    公開日: 2026/08/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,辛子明太子製造工程におけるたらこの自動形状分類とアニサキスの自動検知を目的とする.本研究では,単一の機械学習器により,一本物と切れ子を分類し,たらこ表面のアニサキスの有無を検知する.ここでは,切れ子は一本物よりも少なく,アニサキスが付着しているたらこは付着していないものより少ない.つまり,データインバランスが生じている.本研究では,この問題を補うためにGANを用いた非対称データ拡張を行う.その結果,提案手法により精度が向上することが確認された.また,実測値と機械学習の精度を考慮したシミュレーションにより,検知の自動化によって作業時間を大幅に短縮できることがわかった.

feedback
Top