近年, プロペラにおける強度は適切な設計基準の確立のために重要な問題となってきた.特に, プロペラの疲労強度は重要なことである.
筆者らは, 可変ピッチ・プロペラ (C.P.P.) のひずみ測定とプロペラ材の疲労試験を行なった.そして, プロペラの疲労寿命の検討を行なった.
また, 本文は, 翼の疲労強度に関する研究の過去の結果についても解説した.
結論としては次のようなことが得られた.
(1) スリップリングをプロペラ・キャップの後方におき, さらに, 水中におけるゲージおよびリード線の保護は樹脂 (スーパーボンド, アラルダイト, ハマタイト) を三層にコーティングするような簡便な測定法を開発して, 短期間の測定を実施した.
(2) 翼応力は穏海時で平均応力3kg/mm
2, 変動応力±2kg/mm
2, また, 最大応力としてクラッシュ・アスターン時の変動応力振幅で12.5kg/mm
2を示した.
(3) 翼材の疲労限は測定応力よりもはるかに高いものであった.
(4) 荒海時の影響を考慮した応力ひん度と腐食疲労試験のS-N曲線とを使って翼の疲労寿命を計算したが, 初期の設計寿命よりも非常に長いものであった.過去に起こった翼の疲労破壊について説明するためには, 修正マイナー則, あるいはコルテン・ドーラン則を適用しなければならない.
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